MM型でありながら針の取り外しは出来ず、針交換時にはメーカーまたは正規代理店に送るよう指示されています。もっとも、針先の寿命は約2,000時間と書かれていますので、針の交換が必要になるほどの使い方は滅多にないような気もします。
外観上気になるのは、カンチレバーが異様に長く、またカートリッジ本体よりも前方で盤面に接地するという、国産ではまず見られない構造となっているということです。この妙に長いカンチレバーはごく普通のアルミ製であり、国内メーカー製であればもう少し違ったアプローチとなるそうな仕様です。
音質は極めて個性的です。普段どちらかといえば個性が弱いオーディオテクニカ製品を中心に使っていることもありますが、あまりにも傾向が違いすぎて同じシステムから出ている音とは思えないほどです。
どうやら根本的な発想として「倍音を綺麗に聴かせる」という方向性があるらしいのですが、倍音ばかりを強調してしまうような印象があります。骨太のロックや切れの良いギターサウンドなどは望むべくもありません。アコースティックギターの弾き語りのような楽曲であれば独特の空間を作り上げてくれて面白い音になりますが。意外と良かったのは「Clapton Chronicles:The Best of Eric Clapton」に収録されている「Change The World」辺りを鳴らした時でした。
使っていて気になるのはスクラッチノイズが妙に多くなることでしょうか。AT33Rなどではそれほど耳障りなノイズがなかったようなレコードを再生しても、意外なほどノイズが目立ちます。本当に盤質が綺麗なレコードであれば良いのですが、古い中古盤が中心の私にとっては極めて扱いにくいものがあります。
標準価格は手持ちで最も高額なカートリッジで、針の寿命もあるので一見使えそうな製品なのですが、癖が強すぎてどうしても出番が限られてしまうカートリッジです。
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購入金額
4,980円
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購入日
2011年08月16日
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購入場所
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