所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。ムーブメントの一番最初、先頭に位置する人は開拓者としてその名を残すこともあれば、あまりに開花が早すぎてその分野での一般的な知名度がむしろ低くなってしまうこともあります。特に最近の日本においてそういう状態になっているアーティストのムーブメント先端を奔っていた時代のアルバムをご紹介します。
Dan Siegel。80年代LAフュージョンシーンの中心の一人。1982年、Larry CarltonやTom Scottを擁して名盤「Dan Siegel」でメジャーデビュー。当初大いに取り上げられたが、80年代後半日本には独自の「ジャパニーズフュージョンシーン」が形成され、その源流たる彼はマニアのみ遡る様なポジションに。
しかし実は彼はそれより遙か以前に完成されていた。メジャーデビュー盤に先立ち3枚の作品をインディーズレーベルで残している。本盤“TROPICAL SHOT -THE BEST OF DAN SIEGEL-”はそこからのベスト選曲...つか、2枚目の“THE HOT SHOT”全曲と3枚目“OASIS”を(たぶん収録時間の問題で)ラスト2曲を除いて曲順もそのままにくっつけたお手軽“BEST” (^^ゞ(発売元テイチクの手抜k..タイムリーな企画かな?)
しかし内容は、特に81年録音の“OASIS”からの曲がイイ!これがインディーズに埋もれることなく、アナログ時代の名盤がCDで再発(当時)されたと言うことがスバラシイ!!後の「ジャパニーズフュージョンシーン」に対する影響アリアリ!!
「FIRST DANCE」は初期CASIOPEAの様な(時期的には並行しているので影響を受けたのはCASIOPEAと思うけど)、タイトなリズムに比較的クリーンな歪みの(変な日本語だなw)ギターでメロがなぞられる佳曲。オルガンの音色のバッキングがCOOL。「リズムマシン」って感じのハンドクラップとミュートされた胴鳴りがあまり感じられないタムの音が時代を感じるけど。
「SUGAR BABY」。キャッチーなJeff HomanのサックスのメロとメロディアスなRob Thomasのベースラインが、こっちはまるで中期THE SQUAREの様相。中間部のコード弾き主体のDanのメロディアスなピアノソロがステキ。和泉宏隆に影響??
「EAT AND RUN」はヴァイオリンも操るベーシストRobのヴァイオリンでリードされるスリリングなF1テーマ「TRUTH」バリのインストロックチューン!8分音符で刻まれるエレキギターとハーフオープンハイハット4つ打ちで刻まれるドラム...途中のヴァイオリンソロは40小節以上にも及ぶ弾きまくりっっ!!Danはここではバッキングに徹してマス。
日本が「ASAYAKE」や「TRUTH」のヒットでどちらかというとわかりやすいロック基軸の「ジャパニーズフュージョン」が形成されていく中で、Dan本人は早々にsmooth jazz方面に離脱。日本ではそっち方面が20世紀末の盛り上がりだったことを考えると10年は先行。それ故に「フュージョンキーボーディストのDan Siegel」は知らない人が多いんじゃないだろうか。
ぜひ聴いてもらいたい名盤です。
【収録曲】
1. THE HOT SHOT
2. SWEET TALK
3. A GENTLEMAN’S RETREAT
4. ONCE UPON A TIME
5. THE TWISTED
6. THE WILD WEST
7. WALLFLOWER
8. FULL MOON
9. OBLIVION
10. FIRST DANCE
11. SUGAR BABY
12. OASIS
13. VALDEZ IN THE COUNTRY
14. PENSION PLAN
15. EAT AND RUN
Dan Siegel Music
「FIRST DANCE」
まさに「ジャパニーズフュージョン」の原点
アメリカ本国ではこっちの方向は深掘りされることなく、smooth jazzの方向にシフトしていくが日本においてこのポップさが進化していった。
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購入金額
3,000円
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購入日
1985年頃
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購入場所
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