ヨーロッパユニバーサリスシリーズ3作目となる作品です。
追加パックが3つ含まれたお買い得品、でした。(過去形)
日本語ローカライズを担当していた会社が、解散して、プレミアム価格となっていて、お勧め出来るものでは無くなったのが残念です。(英語版、特にsteamダウンロード版は週末セールで格安だったりしますので、英語に抵抗が無い方は、そちらを是非お試しください)
2作目から、グラフィックとゲームエンジンを一新しています。
その為、非電源系ボードゲーム感が強かった前作に比べて、コンピュータゲームだなあ、という綺麗さになりました。
とはいえ、このゲームの肝である、「歴史の流れをシミュレートしている感覚」は健在です。
前作では、ポップアップする史実イベントによって、各国の歴史を再現する部分も多かったのですが、今作では、そういった固有の史実イベントは少なくなって、各国の地政学的要因をシミュレートして、それっぽさが再現されていると思います。
このゲームの魅力の一つは、プレイアブル国家に制限が無い事ですね。
アフリカ、アメリカ、アジアの規模の小さ過ぎる部族、国家を除いて、どこの国からでも始められます。
しかし、プレイ可能である事と、難易度格差が小さい事とは、別物であり、選択可能であるから、と言って、ゲームのプレイ可能期間を全う出来る訳ではありません。
特に、歴史の授業で一度は聴いた事があるような、マヤ、インカといった南米文明、北米のネイティブアメリカン部族、アフリカの部族国家は、史実での滅亡年代以降、存在する事は稀有だったりします。
具体的には、対策なしに隣にヨーロッパ国家が来たら、滅亡以外の道は無い、絶望してください、という感じ。(システムの穴を突けば、手段は無いとは言わないけど)
そういった当時の格差を表現する為に、技術グループというものが設定されています。
ラテン、東欧、ムスリム、インド、中華、アフリカ、新大陸、というグループ分けがなされており、先に上げられている順番に、技術レベルを上げる為の費用効率が悪くなっていきます。
東欧辺りは、ラテンと比べて80%程度ですが、新大陸グループは10%の効率です。
技術レベルは、上がる事により、少しずつ(おおよそ、1レベルで1%位の補正)、そのジャンルの数値を強化していきます。
1%程度、と考えると格差、少なくね? と思われるかもしれません。しかし、ラテングループ同士ならともかく、ラテンと、例えば新大陸グループの差となると、ラテンが1%増える事は、新大陸から見ると10%以上上がっているように感じる訳です。想像以上の壁が間にあります。
また、前作からの違いとして、軍事レベルでは、兵士ユニットそのものは強化されない、というものがあります。
特定のレベルに達すると、強くなった部隊が使用可能になる、という形式で、自動的に強くなるわけでは無く、旧式化した部隊を新しく編成し直す予算が掛かります。
この方式では、大国もレベル上がっただけでは強化されないのですが、編成しなおす予算が出せるので、それほどのブレーキでは無く、むしろ、小国の方が、なけなしの予算で編成していた部隊が旧式化して、再編成しないと周囲に対抗できないのに予算が無くて、無理。という事態になりやすいですね。
また、アメリカ大陸には、当時『馬』が生息しておりませんでした(生物学的には北米原産なのですが、原種が絶滅して以降、繁殖していなかった)ので、新大陸グループは騎兵を編成できるのが、西部開拓時代の技術レベルの時点、という鬼のようなハンデがあります。<年数的には、開始年代から200~300年後、終了年度まで100年しか無い(笑)
この「騎兵が使えない」というものが、何故、鬼のようなハンデなのか、と申しますと。
戦争でユニット同士の戦闘を処理する時に、兵士数以外に勝敗を決する数値がありまして、それが、士気となっています。
騎兵は、この士気に対するダメージが大きく、そして、移動速度が高いユニット(歩兵の2倍程)です。
士気とは、読んで字の如く、やる気ですので、無くなると、敗走します。
敗走した部隊は、辿り着いた場所で戦闘が無い場合に士気や兵数が回復していきます。
しかし、敗走先に敵がいた場合は、士気がゼロの状態で戦闘になります。そして、士気がゼロの場合、戦闘が始まった瞬間に敗走するのです。
敗走時には、相手の攻撃力に応じて戦死者も出ますが、逃散という形で離脱して、戻ってこない兵士もいますので、かなりの速度で兵士数が無くなります。
歩兵の2倍、速度と士気に対する攻撃力を持っているという事は、多少、歩兵よりも少なくても、勝てる力が有るという事。しかも、勝利した後、敗走する歩兵を追い越して、逃げ込む先に行けるという事です。
つまり、歩兵は一度負けたら、騎兵が逃げる先に進軍しない事を祈る事しか出来ないのです。
このような強力なユニットを使用する事が出来ない状態で何百年も戦わなくてはならない事を考えると、ハンデの大きさを感じてもらえるのではないでしょうか。
更には、同じレベルでも、費用効率が高い技術グループほど、強いユニットが編成できます。
新大陸グループでは、ヨーロッパからの侵略者たちに対して、そもそも、技術レベルの格差が10倍有る上に、何かの奇跡で同じレベルになっていた場合でも、ヨーロッパ側の足元にも及ばないユニットしか編成出来ないという事になります。
実際に、こういう状態でヨーロッパの国と戦争に入ると、コンキスタドーレスVSインカ帝国さながらに、1000人のヨーロッパ軍を30000人で攻撃したら、30000人が全滅して、相手は殆ど無傷という事が起きます。
まあ、この辺りは、パラドックスインタラクティブの歴史ストラテジーゲームならば、普通の仕様ですね。
国盗りゲームとしてのバランスを云々するなら、有り得ない事ですけれども、このゲームの肝の部分は、歴史の流れのそれっぽさですので、プレイヤーが担当しない国家以外は、史実の如くに興亡していくのがコンセプトなので、問題無し。
2と比べて、領地に建てられる施設の種類が増えたり、国家元首の能力を補佐する宮廷顧問(歴史に名を残す有名人も登場)が増えたり、と新しい要素があります。
国家体制も、王制だけではなく、共和国、教皇領、交易同盟、部族国家など、様々な体制があります。
それぞれの体制で、デメリット、メリットがあり、面白いです。(デメリットしかないように見えるものもあったり(汗))
国ごとの史実イベントは削られていますが、ゲームエンジンの挙動とAIの設定によって、史実の国家らしさがあって、凄く歴史に介入している感覚を味わえます。
IF展開でも、その国らしさを持った史実とは違う立ち回りがあって、「もし、○○が滅んでいたらフランスはこんな風に動くんだ、なるほど、フランス様らしいなあ」と感心したりします。
想像力をかなり必要とするゲームなので、国産ストラテジーな野望シリーズとか、○○志シリーズのような武将、王が活躍するシーンを見る事は全くできないと言っても良いです。
それでも、そういう事が枝葉末節なんだなあ、と感じる事が出来る良いゲームだと私は思います。
冒頭にも書きましたが、ローカライズを担当していた会社の解散によって、製品の価格が暴騰してます。
私も、このパックに入っていない最後の拡張パックを購入する前に暴騰しまして、未入手ですし、バグや修正などのパッチも、途切れてしまっていて、切ない気持ちです。
何かの奇跡で定価以下で入手出来て、年表を見てワクワク出来る人なら、楽しめると私は思っています。
一般論で言うと、英語が読めて、このコンセプトが面白そうだな、と思った方がいらっしゃったら、steam版などが安くてお勧めです。
紅茶や、ワインを片手に、歴史の流れを感じましょう!
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購入金額
11,667円
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購入日
不明
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購入場所
Amazon
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