福耳はもともとBARBEE BOYSの杏子、山崎まさよしとスガシカオの3人で組まれたライブ用のスペシャルプロジェクト。その流れで同じメンツで杏子の「星のかけらを探しに行こう」をリメイクしたシングル「星のかけらを探しに行こう Again」を出したところ爆発的に売れた。
ただこういった一時的なプロジェクトは、基本的に他のバンド・フィールドで活動するアーティストが一時的に集まり共演するため、その起因となるものが去ったあと同じ形を保つのは難しい。福耳も当初の3人は未だ離脱はしていないものの、各人のスケジュールの都合なども影響し、どんどん参加人数が増え、また一部はすでに去っている。現在は前述の3人にCOIL、元ちとせ、スキマスイッチ、あらきゆうこ、秦基博、長澤知之らが加わった所属事務所オフィスオーガスタの同窓プロジェクトの様相を呈している。シングルこそ核の3人+その他の形式を採っているが、アルバムでは3人のうち一人も参加していない曲もあり、オフィスオーガスタコンピレーションアルバムの状態。でもその分?各構成メンバーものびのびやっている。今回のこのアルバムは“ACOUSTIC WORKS”の名の通り、福耳名義、あるいは構成メンツの曲がアコースティックアレンジで収められている。そのうち過半は新録。とても、いい。いずれも実力のあるアーティストの作品が生で迫る。
「星のかけらを探しに行こう Again <2010 Acoustic ver.>」。言うまでもなく彼らの出世作。cybercatが彼らと出会った曲。でもこれは元の3人ではなく、杏子と「さだまさよし」ことCOILの岡本定義と山崎まさよしの3人による。2本のアコギを中心に杏子がちょっとけだるげに歌うボサノヴァ風アレンジ。どこかメディタラニアン風のオブリやエンディングソロがちょっとスパニッシュ?
「奏(かなで)」は列車で旅立つ彼女を見送る男の詩。スキマスイッチの二人によるスタジオライヴ一発録り。ミスタッチもあるが、そんなことはどうでも良いくらいエモーショナルで二人の気持ちがシンクロしている。ブリッジ~ラストのサビのあたりが感情の高まりとピアノのダイナミクスさが潮流のように押し寄せてくる。♪突然ふいに鳴り響くベルの音/焦る僕/解ける手/離れてく君/夢中で呼び止めて/抱きしめたんだ/君がどこへ行ったって僕の声で守るよ/君が僕の目の前に現れた日から何もかも違くみえたんだ/朝も光も涙も歌う声も君が輝きをくれたんだ♪元アレンジも結構名曲だが、これは!このアレンジの方が断然いい!!この一曲だけのために買っても良いくらい。
「そろそろいかなくちゃ」は新録でなく2000年のスガシカオのアルバム“4Flusher”から。最近エレキファンクの割合が増えているスガだが、フォークファンクというかブルースファンクというか、スガの原点に近い曲。無機質にワンコードでつづくAメロと間奏~ラストのダイナミックさとの対比、スライドギター風のボトルネック奏法がイイ感じだ。どの曲も個々を取り出すとすばらしいクオリティ。またアーティストも色々な組み合わせがあって、その組み合わせがいつもと違う輝きを放っていて「違った味」が楽しめる。でも結局「福耳」って何なのか、というのが明確でなくてオフィスオーガスタの才能あるアーティストが発表の場を持ちました、という感じがして統一感が今一歩。そんなわけで☆-1はその部分。個々の曲は珠玉の名曲です。
【収録曲】
CD
1. intro
2. 星のかけらを探しに行こう Again <2010 Acoustic ver.>
3. 奏(かなで)
4. プール
5. そろそろいかなくちゃ
6. ピアノとギターと愛の詩
7. 渚にて
8. Choose the Light 2010
9. train
10. 明日のラストナイト
11. 恋するサンビスタ~Happy Tune 250%~
12. なごり雪
13. やわらかなサイクル
DVD
1. 星のかけらを探しに行こう Again <2010 Acoustic ver.> (Music Video)
2. やわらかなサイクル (レコーディング・メイキング)
3. なごり雪 (レコーディング・メイキング)
4. ピアノとギターと愛の詩 (レコーディング・メイキング)
5. 星のかけらを探しに行こう Again <2010 Acoustic ver.> (レコーディング・メイキング)
福耳 OFFICIAL WEBSITE
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購入金額
2,572円
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購入日
2012年01月12日
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購入場所
Joshin
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