レビューメディア「ジグソー」

原点

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。アーティストの原点たるインディーズ版は(版権の問題以外にも)そのアーティストにとっては完成度の面で納得がいかなかったり、機材や予算の都合でチープな音になってたりして、ある程度売れるようになった後に再録されることはほとんどありません。でもそういった盤にはそのアーティストが一番世に出したかったことが、自分の音楽の核(コア)が刻まれていることも多く、その人を理解するのに大変タメになります。そういった盤をご紹介します。

菅止戈男って書いてあってすぐに読める人は少ないだろうが、これはスガシカオの本名。ジャケットの彼はトレードマークのサングラスもかけず、鋭い視線で遠くを見ている。

Tower Records系のbounce recordsから出された4曲入りのミニアルバム。つかラストの1曲は3曲目のデモテープバージョンでフェードインして1コーラスでフェードアウトしてしまうのでオマケみたいなもの(といってもこの曲のコアがザクッと切り取られていて非常に興味深いけれど)。
装丁も少しアカ抜けない??
装丁も少しアカ抜けない??
「やがて」。声が若い!ベースの採るラインとざくっとした録音のドラムがいいですな。ワウのかかったギター、ファルセットコーラス(女声のようにも聞こえるけれどクレジットにはコーラスはシガしかとっていないようなので)、ボコーダーが結構ドロくさくファンク!

「あいとはいったい」はややスローなベタウチの16ビートに“シンセブラス”丸出しのブラスラインが乗っかり、ベースはヴインヴィン唸り、オルガンがCOOLなファンクチューン。間奏のねばっこ~~いギターがクロい。

「愛について」は唯一メジャーデビュー後再録された曲。でも再収録ではなく再録音なのでこの音源ではない。ラストのクラビとオルガンが強調されたファンキーでソウルフルなプレイがイイナ。メジャー盤はラッパのラインが強調されており、もう少しスロー。でもメジャー盤でもキーボード以外ほぼひとりでやっているので、音の良さは機材と録音の良さ(ちなみに本盤ではギターとベース、ドラムスは他人がやってる)。

「愛について(Original Demo Tape)」は非常にチープな音でドラムもリズムマシン丸出しで、バランス的にも少し声が引っ込みすぎていて、まさにシロウト録音っぽいんだけれど現在の彼につながるコアが感じられる。他の2曲が再録されていないので、この曲の路線がスガのプロでの路線。

モノはオークションで落としました。戦ったなぁ~(^^ゞでもAmazon見ると最高値は10万近いじゃないか...(^^ゞ

スガの本質を識って彼を理解したいなら必聴で。今のスガで満足しているならばスルーで...

【収録曲】
1. やがて
2. あいとはいったい
3. 愛について
4. 愛について(Original Demo Tape)


  • 購入金額

    26,800円

  • 購入日

    2010年10月14日

  • 購入場所

    Yahooオークション

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