吉田美和。DREAMS COME TRUE
のボーカリストであり、作詞家。DREAMS COME TRUEのグループ活動としては彼女は後になるほど作詞とボーカルが中心で、ほとんどの曲は相方の中村正人が書く(吉田の曲がないわけではないし、デビューの頃はむしろ吉田の曲の方が多いが)。そんな彼女がデビューから6年目、グループの方が吉田作詞-中村作曲体制が固まってきた頃に出したソロ1作目。
歌詞が、いい。つい聞き込んでしまう。何気ない日常が、恋の終わりの残り香が、女性の普段の心情が(←想像)綴られる。そして全曲彼女の作曲。とても、ストレート。フュージョンなど歌なしの曲を多く聴くcybercatはボーカル付きの曲でも歌詞を「音」としてしか聴いてないことも多いが、このアルバムはガツンと来る。またそれに合わせてかバックの音像処理も近い。生っぽくダイレクトに、迫る。曲もバラエティに富んでいて、「DREAMS COME TRUE」としてイメージが固まってしまったグループ活動とは離れ、自由。「泣きたい」。非常に近いMichael Breckerのサックスとツリーチャイム、ピアノではじまる「何が始まるのだろう?」と興味を引くイントロ。徐々にDavid T. Walkerのフルアコが加わって、曲に入るとパーカッションとドラムが近いところで鳴る。その上で存在感がある吉田の声が♪線引いたように/恋人じゃなくなる/考えてできるの?/あなたは平気ってこと?♪、♪これ乗り越えたら/友達になれる/何言ってるの?/すごく嘘っぽい♪。“友達”という中途半端を許さない別れた恋人への心情が吐かれる。
「パレードは行ってしまった」はすごく、ジャジィ。5拍子のイントロ、3拍子のAメロ、弱音器をつけたGreg Adamsのペットがむせび泣き、Harvey Masonのドラムが大きく録られたBメロは歌付きなのに5拍子。複雑なリズムでもノリ切る吉田の歌唱力が素晴らしい。Harveyのパンと張ったスネアの音が気持ちよい。
「A HAPPY GIRLIE LIFE」。ちょっと蓮っ葉にダミ声に近いようなパワフルさで彼女が嘯くブルース。♪はじめっからもっと胸なんかもバーンとしてて/おヒップなんかもバツンとしてたらよかったな/姿形だけであなたがぎゃふんとしてすでにこてんぱん/く~/おしかったな/でもま/ないなりにそれなりにハッピー♪吉田の声が腹から出ている。声が“強く”生きる力がわいてくる。Chuck Raineyのベースソロと、つづくJai Windingの和音で攻めるピアノソロが“アメリカ!”って感じ。
声の力。歌の力。詞の力。3拍子揃った作品。聴く時には歌詞カード片手に!
【収録曲】
1. beauty and harmony
2. つめたくしないで
3. 泣きたい
4. バイバイ
5. パレードは行ってしまった
6. A HAPPY GIRLIE LIFE
7. DARLIN
8. 冷えたくちびる
9. 奪取
10. 生涯の恋人
11. beauty and harmony~reprise
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購入金額
2,800円
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購入日
1995年頃
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購入場所
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