NAZCA(ナスカ)は伝説のバンドMARIAH(マライア)のメンバーだった笹路正徳(キーボード)と土方隆行(ギター)に、ベースとボーカルの坂井紀雄、ドラムスの藤井章司を加えたプログレバンド(結成時点ではドラムスは辻野リューベン)。音楽的ベースとなるのはMARIAHと同じくプログレなのだが、MARIAHがクラシックにも造詣が深い清水靖晃(サックス)を軸に据えた実験的プログレッシヴロックであれば、NAZCAは商業プログレと揶揄される事もあった。しかし、アプローチとしてはASIA
と変わらず、また構成メンバーも非常にテクニシャン揃いであったため、音楽的には良質のものができあがった。本作は彼らの3rdアルバム。「HEART MUSIC」。イントロは16ビートの5拍子!同じ変拍子でも7拍子のせわしなさに比べて、5拍子は字余り的な所在無さがあるが、16ビートにすることで緊張感に変わっている。曲に入ると8ビートになり、土方のブリッジ近くをピッキングしていると判る「カラン」としたアルペジオをバックにキャッチー。エンディングはまた5拍子に戻るがラストの2小節にわたるキメがすごい!
「DOES SOMEONE OWN YOUR HEART」はミディアムへヴィなロックチューン。タムを使った藤井のへヴィなリズムパターン。坂井の弱シャウト気味のハリのあるヴォーカルでキャッチーなメロディだ。間奏の太い音のキーボードソロが笹路らしい。
「THE FORCE」は組曲風に曲調がコロコロかわる。導入はギターのリフで4/4(8/8)+7/8の複合リズム。イントロに当たるところは土方の気持ちよく歪んだギターソロ風。ラストで音を伸ばしたら、藤井のスネアロールで曲に入る。Aメロに入るとギターのリフが気持ちイイ、キャッチーなロック。...と思ったら一転してBメロでは4/4(8/8)+9/8の変態リズム。間奏はギターのオーバーダブによるハモリと似た旋律で追いかけるキーボードのロンド風。終わり方も比較的唐突で展開したまま戻ってこず、そういう意味ではプログレ王道かもしれない。タイトルはSTAR WARSからとったのかもしれないが、確かにそういう高揚するイメージがある。
本作は、ポップさを兼ね備えたプログレとして良い調合を見いだしたアルバムで、どの曲もシングルカットできそうな高品質なものであったが、NAZCAは本作で活動を停止してしまう。後に笹路はNAZCAを母体にドラムスを青山純にチェンジしたSASAJIE'Sで活動するが、さらにポップスゾーンへの浸透を深め、PRINCESS PRINCESSの奥居香らとのコラボが話題になる。そして20年が経ち、NAZCAはCDの再発(2ndはそもそも一度もCD化されていないが)もなく、忘れられようとしている。
MARIAHに比べると尖ったところに欠け、SASAJIE'Sよりキャッチーさに欠ける微妙な立ち位置なんだけど、和製ASIAとして捉えるとかなり完成度が高いと感じる作品です。再発希望で!
【収録曲】
1. HEART MUSIC
2. DOES SOMEONE OWN YOUR HEART
3. SOMETHING FOR THE CHILDREN
4. THE FORCE
5. WHAT ABOUT LOVE?
6. WHO'S GONNA LOVE ME NOW?
7. ALIAS
8. THANK YOU LOVE
9. THE DREAMER
10. ONE TO ONE
11. SAMARKAND
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購入金額
3,200円
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購入日
1987年頃
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購入場所
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