Peter Cetera。Chicago
の偉大なるオリジナルメンバーにしてヴォーカリスト兼ベーシスト。高域からファルセットに抜ける美声と甘いマスクで女性ファンを魅了した。彼が以前ご紹介した“17”を最後にデビュー前の前身バンドThe Big Thingから数えて約20年の活動に終止符を打ち、独立したのは既説の通り。そんな彼が独立後最初に制作したアルバム。
「Glory Of Love」は古巣Chicagoでのヒット曲、「素直になれなくて ~Hard to Say I'm Sorry」ばりのPeterの美声が堪能できるバラード。きらびやかなピアノのイントロからAメロはドラムなし。ディストーションギターのカッティングで盛り上げリズムイン!~サビの間奏でドラムオフ、2コーラス目は最初っからドラムありというChicagoバラード定石...定石通りと判っていても引っかかってしまうw
「Queen Of The Masquerade Ball」。ちょっとGenesis(後期)っぽいようなカラーがある。堅い打ち込みのベースとドラムで堅いノリを出す曲。途中のオルガンソロがはっとするくらい周りと違っていておとなしめの音なのに際立っている。カランとした音のリズムギターのカッティング&アルペジオがアメリカっぽくないな。このカラーはたしかにChicagoには、ない。
「The Next Time I Fall」はフェアライト(サンプラー+シンセサイザー+シーケンサーの当時先端の総合ミュージックワークステーション)の力を借りた厚くて荘厳なバックとピアノに支えられたAmy Grantとのデュエット。2/4を所々に挟むとか、サビが11小節構成だとかさりげなく凝っている。
通して聴くと新味は出てる。Chicago時代の美声も健在。「Glory Of Love」も映画の主題歌になって大ヒット。「The Next Time I Fall」もこれに続き、本作もかなり売れた。そういう意味では「成功」なんだろう。
....ただ、ちょっと彼には合わないんだな。
なぜかと考えるとバックが打ち込みだから。
彼の美声はChicagoという大きなバンドで輝いていた声。ファルセットへの移行のタイミングや、長音のピッチ安定前のうねりとかこのあたりの彼の「味」が堅い打ち込みだと味でなくて「ズレ」と聞こえてしまう。やっていることは機械でしかできない複合超絶リズムなどではないので、バックを生バンドでやればもっと良かったのに、と思える惜しい、盤です。
【収録曲】
1. Big Mistake
2. They Don't Make 'Em Like They Used To
3. Glory Of Love
4. Queen Of The Masquerade Ball
5. Daddy's Girl
6. The Next Time I Fall
7. Wake To Love
8. Solitude/Solitaire
9. Only Love Knows Why
Peter Cetera HomePage
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購入金額
3,200円
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購入日
1986年頃
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購入場所
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