レビューメディア「ジグソー」

Peter Ceteraの美声の到達点

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。バンド、というのは難しい。複数の人が関わる故のクリエイティヴな出会いや爆発がある一方、同じ方向を見、ましてや商売にする場合ツアーでは家族以上の時間をともに過ごす。売れない間は生活のタメにガマンしていたことが、考え方の少しの差が、目線の角度の若干の違いが、その後のメンバーを分かつことがあります。その直前、デビュー当時から苦楽をともにしたメンバーと阿吽の呼吸で成したアルバムをご紹介します。

Chicagoはブラスロックというジャンルを築いたアメリカンバンド。The Big Thingという前身バンドからChicago Transit Authorityという改名前、現在のChicagoまで45年近くも活動する老舗バンド。その原点The Big Thingからずっとボーカリスト(のひとり)としてバンドを支えつづけたPeter Cetera。彼の離脱は皮肉にもこのアルバムの前作“16”の商業的成功によると言われている。生活に心配もなくなりソロ活動を充実させたかったPeterとあくまでバンド優先の他メンバーとの考え方の差、ブラスロックという分野を確立したバンドにいたにもかかわらず、バンドへのブラス導入に積極的ではなかったPeter。Peterは20年近く在籍したこのバンドを本作を持って脱退することになる。これは拳銃暴発事故で亡くなったTerry Kathを除けばメジャーデビュー後初の脱退者であった。

そんなPeterと他メンバーの最後の共同作業が本作、“17”。

素晴らしい。捨て曲なし。新局面を出したような新しい曲。いままでの路線を推し進めた曲。そして定番の(というか前作に含まれる「素直になれなくて(Hard To Say I'm Sorry)」の大ヒットでそうなった)バラード...バラエティに富んでいるがその時点で15年を越えるバンド歴がきちんと一つの方向性を出している。3曲目までが特にダイナミックなうねりを感じる。

スタートは「Stay The Night」。プロデューサーのDavid FosterとPeter Ceteraの共作。スネアドラムのバックビートから始まるハードなナンバー。Aメロはフランジャーがかかったようなシンセベースで入る。転調してサビに行くとコーラスが「ザ」Chicagoだが、間(ま)が感じられるアレンジで新局面。

一転して「We Can Stop The Hurtin'」。キレの良いギターと琴のようなシンセのフレーズ、打ち込みのベースでファンキーに始まる。ギターのカッティングはかなりクロい。ラッパのオブリガードとブリッジのアレンジがサスガで「ブラスロックのChicago」本領発揮!

「Hard Habit To Break(忘れ得ぬ君に)」。全米3位のヒットチューン。前作でできたChicago=バラードの路線を邁進する王道バラード。ここでPeterと交互にボーカルをとるのはBill Champlin!

Peterの美声ではじまり、ピアノの4つ弾きで徐々に入ってくるリズム...う~ん、王道だ!2回目のリズムオフからの復帰時、4拍目でなくその裏から入るところ、ブラスのブリッジの間奏がコーラスのコラージュであるような手法であること、フェードアウト時にまったく違うメロディーに行くところなどがちょっち王道から外れてるけど(あれ(^^ゞずいぶんあるな..)。

このほかにも全米3位のバラード「You're The Inspiration(君こそすべて)」、ファンキーな「Along Comes A Woman(いかした彼女)」とシングルヒットも満載。

ここまでChicagoのシングル曲で10曲連続でメインボーカル(他者とのダブルメイン含む)をつとめたPeter。この“17”で他とは袂を分かつ事になったが、ソレまでの集大成として素晴らしいアルバムとなった。その後ChicagoがPeterと声質の似たベーシストJason Scheffを迎えることになるのはやはりPeterの影響が大きかったことをうかがわせる。
Peter Cetera最後のメンバーショット
Peter Cetera最後のメンバーショット
15年の歴史と新たな発展が見える名盤です。

Amazonに繋ごうとするとエキストラトラックを加えた紙ジャケ版SHM-CDが!(試聴ファイルがあるのでこちらに繋いでます)
...買ってしまいそうな自分がコワイ(^^ゞ

【収録曲】
1. Stay The Night
2. We Can Stop The Hurtin'
3. Hard Habit To Break(忘れ得ぬ君に)
4. Only You
5. Remember The Feeling(想い出に生きて)
6. Along Comes A Woman(いかした彼女)
7. You're The Inspiration(君こそすべて)
8. Please Hold On
9. Prima Donna
10. Once In A Lifetime

Chicago Official HP
  • 購入金額

    2,500円

  • 購入日

    2011年12月10日

  • 購入場所

13人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (4)

  • ちょもさん

    2012/02/10

    懐かしい・・・我が家にはLP版があります。
    最近聞いてないなぁ。
  • cybercatさん

    2012/02/10

    ちょもさん、コメントありがとうございます!
    >懐かしい・・・我が家にはLP版があります。
    自分は17はなかった気がする。でも16はLP「も」だったような...(^^ゞ
  • ワタイツさん

    2012/02/11

    >Peterと他メンバーの最後の共同作業が本作、“17”。
    Chicagoの節目の一枚として、Cetera脱退を知ってる人には有名な1枚ですよね。
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