Bill Champlin。あの、ブラスロックバンドChicagoの中期(名作“Chicago 16”)からつい最近(2009年)までバンドを支えたマルチプレイヤー(キーボード/ギター/ボーカル)。この作品はChicago加入後10年以上が経ち、毎年のように立て続けにソロアルバムを出していた頃の一枚。
とにかく器用。Chicago本流よりもさらにハードなロックあり、ジャズテイスト溢れるアレンジあり、ブラコンあり、「ど」バラードあり、ブルースありと彼の歌とプレイの巧さが光る。ボーカルはもともと定評あるが、このアルバムで感心したのはギターとキーボード、特にオルガンの上手さ。パーカッシブに設定した音色でリズムを刻むとコロコロと鳴るアタックが気持ちイイ!!一方長音系のグリス奏法などはそれはそれで切れが良いし。
でなんと言っても出色は「Turn Your Love Around」。元はといえばBillがGeorge Bensonに提供した曲。共作者はAIRPLAYの
Jay GraydonとTOTOの
Steve Lukather。元曲もフュージョン、という言葉の意味が正しい様な、スピーディーでスマートなロック+ポップ+ソウルなナンバーだったが、これにさらにジャズテイストをちりばめてある。イントロはもろ4ビートで始まり、Tom Savianoのアルトが粋なフレーズを吹く。歌が始まると例の♪Turn your love around/Don't you turn me down♪のサビまでCOOLなブラコン路線でブリッジ部はまたジャズ...今度は短いながらもセンスのいい音色と旋律でBillのハモンドが挟まれる。惜しむらくはリズムが打ち込みなので、ボーカルのあるブラコンっぽいところはそれでも良いんだけれど、イントロやブリッジのジャズ風アレンジの部分も、モロ打ち込みリズムとサンプリング音なのでちょっと、ね。やっぱりシンバルの音が一種類しかないとか、うねりがないとか...そんな音でジャズやると↓↓Steve Jordanのように「堅いリズムも叩ける」ドラマーの「プレイ」だったらどんなに素敵だったかと...
続く「Just To Be Loved」は、キーボード演奏である事が奏法で判るハーモニカのサンプリング音で始まる、6/8のブラコンナンバー。Larry Carltonと一緒に良くやっていたGreg Mathiesonとの共演。このスムーズなブラコンは打ち込みがばっちり決まってる。
「In The Heat Of The Night」は前述のGreg Mathiesonがプロデュースした事のある
Abraham Laboriel(, Sr.)がベースをとる唯一の非打ち込み曲(と言ってもドラムスは打ち込み)。べったべたの「ど」ブルースで泣きのギターとシャウトするボーカルが聴ける。
なんにしても多才な人。還暦過ぎてから四半世紀いたChicagoを飛び出していこう、と言う人ですから。これからもお元気で!
【収録曲】
1. I Must Have Been A Fool
2. Turn Your Love Around
3. Just To Be Loved
4. Proud Of Our Blindness
5. Come On In
6. Sound Of The Rain
7. Through It All
8. In The Heat Of The Night
9. Little Sister
10. Light Up The Candles
Bill Champlin HP(「Turn Your Love Around」のライヴビデオあり)
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購入金額
2,854円
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購入日
1994年頃
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購入場所
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