正直言って、リリース当初からSandybridgeーEには然程の興味が無かった。
何故かと言えば、利用状況における利点が見い出せなかったから。
エンコード支援機能であるQSVも、GPU積んでないから使えない。
計算速度が速いだけ(重要なことだけど)だから、それを持て余す程度にしかPCを使わない身としては、完璧に性能が無駄になる。
消費電力も大きいし、値段も高い。
うん、普通にSandybridge使う方が賢いじゃん。
こんなの、一部のエンスー以外が買う理由無いと思うんだけどなぁ。
なーんて事を周囲に言ってた訳だ、うん。
自分が買っちまった後、またも「てめえ、自分の発言に対するプライドが無ぇのか!」と散々に怒られたけども、まあ、何だ、
細けぇ事はいいんだよ!
ま、ご存知とは思うが、一応本製品の概要。
LGA2011ソケット用の、SandybridgeーEコア採用。
このコアは、Core-i系第二世代であるSandybridgeをベースに、リングバスその他を拡張して8コア化したもので、本来はサーバー向けCPUであるXeon用として設計されたものだ。
メインストリーム向けに作られたSandybridgeは非常に高速なCPUだが、Core-i系第一世代のハイエンド構成であったX58の性能からすれば、僅かにではあるが総合性能で劣っていた。
また、SandybridgeのチップセットであるP67やH67、Z68にはワークステーション向けとしては、致命的な弱点があった。
X58との比較で、メモリの搭載量で劣っており、PCI-Exの帯域も細かったのだ。
一般的な利用法では、メモリスロットは四本で十分。PCI-Exの帯域が不足することは滅多にない。
しかし、ワークステーションってのは、「メモリはあればあるほどいい」「ビデオカードを複数搭載するのは当たり前」「SAS-RAIDカード積ませろ」・・・・なんてな要求が出て当たり前の世界。
現行のX58比較で、CPUは総合性能で劣り、メモリ搭載量が減り、PCI-Exの帯域が細い。
つまり、Sandybridgeでは「X58の後継には成り得ない」訳だ。
Intelもそんなことは最初っから判っていたので、Sandybridgeのリリースより前から「次世代Xeonと同じプラットフォームで、ワークステーション向けのプラットフォームを作る」計画を立て、それを公表していた。
それが、Sandybridge-EとX79である。
ただ、この製品の開発は決して順調では無かった。
最初に公表されたスペックと比較し、後々削られた点がいくつか見受けられることなどからも、その難産っぷりが想像出来る。
結局、当初予定よりSATA6Gポートは10から2へ、PCI-Ex3.0対応は見送りとなった。
この辺りのお話は、SandybridgeーEのリリース二ヶ月前くらいに出た、X79スペックダウンの報道で起きた騒動によって、知っている人も多かろう。
ただ、これらのゴタゴタを経てリリースされたSandybridgeーEは、X58の後継として見劣りするような代物でなかったことだけは確かだ。
CPU性能は50%近い向上を見せ、メモリ帯域も搭載数も30%以上の向上。
2ポートだけとはいえSATA6Gへの対応も果たし、PCI-Exの帯域はX58より拡張された。
難産ではあったが、SandybridgeーEは見事にBloomfield(X58-i7)の後継に相応しい性能を持って登場したのである。
本製品で採用されたLGA2011は、とにかく巨大なソケットである。
ダイ面積がSandybridgeの倍以上だから、そらフットプリントがでかくなって当たり前なんだけども、初見であの大きさを見ると、結構びびること請け合いだ。
Xeon E5-2650同様、SandybridgeーEのCPUにはクーラーが付属しない。
クーラーは別売されており、Intel純正にはサイドフロータイプのものと、簡易水冷のものがある。
今回、メインマシンの更新ということで、FX8150で利用していた大型水冷ユニット「Reserator-1」を流用することとし、LGA2011用リテンションも購入していたのだが・・・
採用したマザーボードのソケット配置の問題から、今回流用を断念。
Xeonレビューで購入したCORSAIR CWC H-60を流用することにした。
TDP130Wという公称値から、水冷とはいえミドルレンジであるH-60で大丈夫かと少し不安だったが、「Prime95で一時間フルパワー動作させても50℃を超えない」ため、全く問題は無かった。
コアの数とか考えると爆熱系かと思ったのだが、OCしなければ2600Kと大した差がない。
上位モデルであるH-80あたりの購入が必要と考えていただけに、これは嬉しい誤算。
H-60が意外と高性能って可能性もあるが、TDP95WであったXeon E5-2620(2.0G/6C/12T)が最大で40℃前後だった事を考えると、やはり発熱自体が低いか、ヒートスプレッダーによる熱伝達率が良いのだろう。
第三世代のIvybridgeが、そのヒートスプレッダー性能というかソルダリング廃止に伴う熱伝達性能の低下が一部問題になっている事を考えると、ソルダリングって結構重要なんだな、と。
次に、CPUの性能試験を実施してみる。
私はベンチマーク取得を単なる参考としか考えていないので、実際の利用環境でしか取らない。
そのため、あくまで参考値として捕らえて欲しいのだが、比較対象とする数値も大体似たような利用環境なので、多少は目安になると思う。
まず、こちらが3930Kの結果。
さくっと150超え。FX8150の倍ですよ? ハイエンド向けに相応しい性能。
こちらは、同一のSandybridgeーEコアを採用するXeon E5-2620の結果。
同じ6C/12Tだが、動作クロックで3930Kより40%弱劣る。
計測値の比率を出すと、3930K:2620=100:62.1 ということで、Sandybridge系が動作クロック比で素直な性能向上を見せる事が判る。
E5-2620の時にも同じような事を言ったが、性能が素直に上がるというのは地味に重要なことだ。
シュリンクの変更やアーキテクチャの更新による性能向上が「出来るに越したことは無い」が、大幅に弄ることなく性能が伸びるということは、製品として売りやすいしアーキテクチャも長く使えることに繋がる。
こちらは、メインストリームであったSandybridgeの2600Kで取ったもの。
2600Kは3.4G/4C/8Tだから、単純比較で3930Kと約33%くらいの差があるわけだが、ベンチ結果も100:65.9ということで、殆ど単純比較そのままの結果となっている。
一応取ったので、Cinebench結果。
他にも3DMarkとか取ったけど、そちらは先日レビューしたHD7770で掲載したので、気になるようなら参照してほしい。
私自身は、この性能が必要な作業とかするの? と問われたら間違いなくNOと言える。
しかし、X79プラットフォームの持つ性能といい、2011ではミドルクラスである3930Kでこの性能といい、体感速度におけるレスポンスの良さといい、文句付けるべき点が微塵も無いのも、また事実。
確かに、現行のIvybridgeとの価格差を問われると、マザーボード混みだと微妙(X79のマザー価格は安いものでも25000円くらいする)なのだが、CPU価格差的には「価格差に比例した速度が得られる」訳で、十分にその価値がある。
X79プラットフォームの持つ拡張性や、Ivyを超える性能が必要な人にとって、間違いなく「買っておいて損は無い」製品だ。
最後に、ちょっとしたオマケ。
実は定番なコレも取ったんだけど、2600Kと結果が同じだった。
このベンチ、カンストがあったんですなwww
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購入金額
43,500円
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購入日
2012年05月頃
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購入場所
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