レビューメディア「ジグソー」

ねんがんのRAIDカードをてにいれたぞ!



LSI-LOGIC/62098B2-RAIDコントローラを搭載する、HP製ハードウェアRAIDカードです。

以前より、データの堅牢性向上とストレージの読込速度向上のため、ストレージのRAID5運用を検討していたのですが、ようやく条件に合致する製品を見つけたので導入してみました。


出来る限り安価に、高速なRAID5を導入したいと言うことで、オンボードRAID+マッハドライブとか色々試行錯誤していたのですが、読込速度はともかくとして、書込み速度が非実用的過ぎて話にならず。

結果として、一括購入したHDDは「マルチタスク作業時の、ストレージ負荷分散」という方向で運用していましたが、やはりデータの堅牢性という側面から不安が拭いきれず「いつかはRAID5」と思い続けてはや半年。

ようやく今回、正規運用に漕ぎ着ける事が出来たという訳です。


512MBキャッシュ+BBUでBBWCらしい。
512MBキャッシュ+BBUでBBWCらしい。

P400本体。キャッシュ実装済み。
P400本体。キャッシュ実装済み。

BBU。これをメモリに直結する。充電式で最低でも三年くらいは使えるらしい。
BBU。これをメモリに直結する。充電式で最低でも三年くらいは使えるらしい。

オマケで付いてたケーブル。本来は別売。
オマケで付いてたケーブル。本来は別売。



今回入手したカードは、既にオプションであるBBWCが実装されています。

BBWCは、512MBのキャッシュメモリとバックアップ・バッテリによって構成され、急な停電等が起こってもキャッシュ内データを再起動まで保持する事が可能で、BBWC非搭載のカードより高速かつ堅牢な動作を提供するユニットです。


高速なRAIDカードは、パリティ演算専用のチップを搭載するだけでなく、大容量のキャッシュメモリを搭載することによって、データ復号時の読込遅延や、パリティ演算による書込遅延発生を抑え込むことで、高速な動作を維持しています。

しかし、これらのメモリは速度を稼ぐ関係上、高速に動作する揮発性メモリ(DRAM)を使わざるを得ません。

最近は高速・高耐久のSLCフラッシュを使い、不揮発性のキャッシュを搭載する試みが行われていますが、凄まじい回数のリード/ライトが発生する場所だけに、最新のSLCでもキャッシュとして使うには速度・耐久性共に不足気味というのが現状です。


ただ、揮発性メモリは高速かつ半永久的に劣化しないものの、その名の如くデータが揮発、つまり「電源が切れるとデータが消失する」という弱点があります。

つまり、ここに「データが残っている状態で、突発的にPCの電源が切れた場合、そのデータは消失」します。
BBWCがないと、データが飛ぶ危険あり
BBWCがないと、データが飛ぶ危険あり

高速なRAIDカードにとって、高速に動作するために用意されたキャッシュメモリ自体が、実は「データの堅牢性を阻害する最大の弱点」というわけです。

BBWCは、その弱点であるキャッシュメモリをバッテリによって保持することで、この問題を解消しています。

突発的な電源断が起きても、BBWCバッテリが瞬時にキャッシュメモリに電力を供給し、データを保持。
PCが再起動した後、キャッシュメモリ内のデータをHDDへ自動的に待避し、データ消失を防いでくれるのです。
あってヨカッタBBWC
あってヨカッタBBWC

ちなみに、これの有無によってP400ではパフォーマンスへの影響だけでなく、利用出来る機能にも差が出ます。


具体的には、

・PC起動状態でのアレイ拡張
・PC起動状態での論理ドライブ拡張
・PC起動状態でのRAIDレベル変更
・PC起動状態でのストライプサイズ変更
・RAID6の利用

・・・が、BBWCが無いと利用出来ません。
-----------------------
上記修正。
コメント欄であるように、ちゃなさんの情報によると、BBWC無しでも問題なく上記機能は利用可能との事です。
HPのP400用BBWCのマニュアルから拾った情報なのですが、メーカーが間違えてるってどうなの-!




まあ、個人レベルでの利用においては、PC起動状態でのアレイ拡張&論理ドライブ拡張くらいしか使わないですが。

「データを保持したまま、HDDの追加による容量拡張が出来る」という利点は非常に大きいですが、物凄い時間がかかる作業ですし、滅多に使う事も無いでしょう。(業務ではチョコチョコと依頼のある作業ですが)

パフォーマンスについても、接続するストレージの性能のほうが大きく影響する傾向がある(但しBBWC搭載によるキャッシュ拡張時は、遅いHDDでもパフォーマンス低下が起こりにくい)ので、やはり突発的な電源断時における高耐久性という点にこそ、BBWCの意義があると思います。


HP P400 SmartArray の持つもう一つの特徴は、管理ソフトウェアが非常に使い易いことです。

流石にサーバーシェアが世界的に大きい会社の製品だけあって、本当に良く出来ています。
業務用ですから、ブラウザベースによる遠隔管理も当然可能ですが、ローカル環境での管理も非常に簡単。

初期セットアップを含めて「RAID-BIOSを一切弄る必要がない」ので、日本語環境で全てを操作することが出来ます。

AACUの画面。左上のプルダウンから操作するカードを選択する。
AACUの画面。左上のプルダウンから操作するカードを選択する。

論理ビュー管理画面。設定操作はこちらで行うことが多い。
論理ビュー管理画面。設定操作はこちらで行うことが多い。

物理ビュー画面。HDDの状態などが見れる。
物理ビュー画面。HDDの状態などが見れる。

管理画面切り替えは「表示」のプルダウンから。
管理画面切り替えは「表示」のプルダウンから。

コントローラ設定。キャッシュの利用割合などを設定出来る。
コントローラ設定。キャッシュの利用割合などを設定出来る。

アレイアクセラレータ(キャッシュ)の設定。BBU無しの場合は有効にしないと機能しない。
アレイアクセラレータ(キャッシュ)の設定。BBU無しの場合は有効にしないと機能しない。

HDD自体のキャッシュ利用設定。ONだとBBWCがあってもデータが飛ぶ。
HDD自体のキャッシュ利用設定。ONだとBBWCがあってもデータが飛ぶ。

コントローラのステータス画面。状態が一目瞭然。
コントローラのステータス画面。状態が一目瞭然。

ログ表示画面。RAID関連のイベントは全て記録される。
ログ表示画面。RAID関連のイベントは全て記録される。

物理ビューのHDDステータス画面。
物理ビューのHDDステータス画面。

文章よりも、直接画面を見てもらうほうが分かり易いので、基本操作系を全部貼り付けてみました。
このように、RAIDの知識がある程度あれば、殆ど迷うことなく設定が出来ます。

アレイ作成については、論理ドライブがない場合、ACUの初回起動で自動的にウィーザードが立ち上がりますので、こちらも迷う事は無いかと思います。




・・・で、こちらのHDDを4本使って構築したアレイにて、CDM3.0-64計測。


HDD物理キャッシュON。BBWC設定R/W-50/50%
HDD物理キャッシュON。BBWC設定R/W-50/50%

HDD物理キャッシュOFF。BBWC設定R/W-25/75%
HDD物理キャッシュOFF。BBWC設定R/W-25/75%


5900Rpmの、データ保管向けSATAドライブでアレイを構築しても、このパフォーマンス。

この性能で、中古市場じゃ一万円切ってる訳ですからコスパは非常にいいと思います。

なお、BBWC搭載状態ではHDD物理キャッシュをOFFしても、設定次第でパフォーマンス低下は実用範囲内で収まるため、出来ればHDD本体側のキャッシュはOFFしたほうが安全です。

HDD物理キャッシュをONした場合、

『BBWCがあっても突発電源断によるデータロストが発生する』場合があります。

ま、UPSあればOKなのですが・・・・ウチ、未だに付けてないんでOFFです。
安全性優先のRAID5ですから、速度は実用範囲ならOKなのですハイ。


まあ、そういう性格のカードなので、SATA3全盛となったSSD等の速度追求には向いていません。

・・・が、SASドライブにも標準で対応していますので、こちらのようにSASドライブでSSD並みの快適性を狙うという楽しみ方もあります。



こちらのちょもさんは、このカードを使って『HDD並みの容量に、SATA3-SSD並みの速度』を構築されております。


本製品の弱点は、SATA3に対応していないこととRAID-BIOSの起動完了にかなり時間がかかる(40秒くらいかかる)ことですが、その辺はもうこの手のカードを使う以上、避けられない事なので割り切る他ないですね。

データ保持ドライブの作成において、ほぼ理想的な堅牢性、速度、容量を確保出来る製品と言えます。


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・・・さて、購入の当日に書いたのがここまで。
書き終えて、あとはSS撮って載せれば終わりと思ってた矢先に、いきなり画面が真っ青に(汗)

Stop 0x0000007A.....対象デバイスは、この P400 でした。


まあ、ちょもさんのレビュー読んで不安には思っていたのですが、このカード「クライアントPCでの運用」を行うにあたり、一つ大きな欠点を抱えています。

それは、チップの発熱量が大きいにも関わらず、大風量のサーバー運用前提という性格から、

『薄いヒートスプレッダが貼り付けてあるだけ』という、極端な冷却性能の低さ。


そのうちヒートシンク買ってきて、追加してやらないと駄目だな・・・とは思っていましたが、試験運用開始の当日に来るとは。

今後、我が家のデータ保管を一手に担うストレージの要が、この体たらくでは洒落になりません。


そこで、着荷翌日に対策工事を実施することになりました。






対策内容
ヒートスプレッダを撤去し、ヒートシンクに交換。
ヒートスプレッダを撤去し、ヒートシンクに交換。
PCI冷却セット。今回、ファン金具は←の四角いやつだけ使用。
PCI冷却セット。今回、ファン金具は←の四角いやつだけ使用。

拡張スロット固定ネジをスペーサに交換、その上から金具でファンを固定。
拡張スロット固定ネジをスペーサに交換、その上から金具でファンを固定。


・・・以上、対策完了。


対策実施後、10時間ぶっ通しのファイルコピー(1.5TBを二つのドライブから一斉に流し込み)による耐久動作試験を実施。
見事、熱暴走することなく負荷に耐え切りました。

ヒートシンクの熱離れも想像より良く、チップを効果的に冷却出来ているようです。
流石は老舗のアルファ製、一個600円でも十分過ぎる性能です。
短絡防止のため、ヒートシンクと端子の間には樹脂シールを付けてある。
短絡防止のため、ヒートシンクと端子の間には樹脂シールを付けてある。


ちっとばかりサイズが大きかったのですが、邪魔な箇所を一部切り飛ばして合わせ、基盤に収めることが出来ました。

これで、動作上の問題点は克服出来たと判断して良いでしょう。



ここから先はおまけ。
ここから先はおまけ。



・HP P400 SmartArray ドライバ&アプリケーションのダウンロード先

HP P400 SmartArray

操作系のPDFマニュアルもこちらでDL出来ます。



・Windows7-64Bitでの導入手順

*以下の準備は、必ずHDDをP400から外した状態で実施して下さい。

*下記内容の情報の真偽については保障しません。
 あくまで、『ウチではこれでOKだった』ということです。

*ファームウェアとドライバは、必ず最新のものを利用して下さい。
 HDDの種類(特にSAS)によっては、認識すら出来ない場合があります。

*ファームウェアの更新で確実を期すなら、DVDISOのほうをDLして、DVD起動で更新して下さい。
 Windows上でのオンラインROMフラッシュは、OS環境によっては失敗することもあります。



1.以下の三つをダウンロードする。

デバイスドライバ


アレイ・コンフィギュレーション・ユーティリティ(以下ACU。管理ツール)

2012/03/04:ACUの直リンクが間違っていたので修正しました。


ファームウェア(オンラインROMフラッシュ)



2.ドライバをインストールし、再起動する。


3.ACUをインストールし、再起動する。

 検証した結果、ACUのバージョンは"8.70.9.0"が最良。
 2012/01/08現在の最新バージョンは"8.75.12.0"だが、こちらはWindows7では正常に
 起動出来ない。


4.オンラインROMフラッシュを実行し、ファームウェアを最新バージョンへ更新する。
 作業完了までの間、他のプログラム等は一切起動せず、常駐アプリも停止させること。

 アップデート・プログラムは五分以上無反応になるが、これで正常。
 アップデート完了が表示されるまで、絶対に電源を切ったり、アプリを強制終了しないこと。
 停止させたら最後、カードが死にます。

 更新完了度、シャットダウンする。


5.HDDを接続し、電源を入れる。


6.RAID-BIOSに勝手に入った場合、ESCを押下してBIOSを抜ける。


7.ACUを起動し、全てのHDDが正しくACU上で認識しているのを確認し、画面指示に従ってアレイを構築する。

-----以上-----
  • 購入金額

    9,700円

  • 購入日

    2012年01月04日

  • 購入場所

コメント (11)

  • JUN8731さん

    2012/01/09

    Raid環境に憧れ続けていますが、
    未だに踏み切れていない私です。

    大変参考になりました!!!
  • notokenさん

    2012/01/09

    最近のRAIDコントローラはバッテリーまで搭載するとはすごいです。

    RAIDはあくまでBackupではないのでBackupは忘れないようにしてくださいね。(物理障害耐性はあるが、ウイルス、誤に削除耐性はない)
  • 下小川さん

    2012/01/09

    なるほど、漠然と「高性能RAIDカードにはバッテリーがついるのあるんだー」くらいにしか思ってなかったのですが、そういう原理だった訳ですね。勉強になりました。
    てか単機HDDしか触ってないんでそのキャッシュ無しの数値でもオッソロシク速く見えるんですが…
    ユーティリティもさすがHP、勝手にイメージしていたものと全然違いました。

    にしても冬場の初日でアツアツになるとはさすが轟音サーバー向け!さりげにヒートシンクも加工済みで導入お疲れ様です。

    やっぱり光るファンはOWLだな!(ソコカヨ)ケーブル長い上にまとまってないから油断するとすぐケーブルバラバラになるんですよねソレ。
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