レビューメディア「ジグソー」

巡る輪廻とパラドックス、ハードなSFです

本の蟲。
実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。

ついに(ほぼ)ラスト!小説家谷甲州のSF連作“航空宇宙軍史”シリーズ。
この巻だけ上下分冊。そしてかなり他の作品と趣が異なる。一応単発でも楽しめるけれど、すべての既刊を読んだ後読むことを強くオススメする。

というのはこの巻で今までちりばめられてきた多くの単長編が統合される。
・なぜ航空宇宙軍が外宇宙へ出て行くのを強硬にまで推し進めたのか
・なぜ汎銀河連合が地球人と似ているのか
という様な根底を貫く設定の理由が明かされる。

またタイムパラドックスや超光速移動をした際の情報密度と時間の問題など最もSFっぽい設定を持った作品でもある。

本作にて、

の「星空のフロンティア」で語られたオディセウス0号機を追っていったジョー・シマザキの遭遇した「超光速シャフト」とはなにかという問題や、

で出てきたサイボーグ=「作業体K」の後日譚などが語られる。さらにタイムパラドックスが絡み合い、SG(射手座重力波源)という重力特異点から得た情報をもとに人類=航空宇宙軍側が滅ぶ未来を「観た」人類がその未来を改編すべく様々な手を打ち、でも時間の因果に絡め取られていくさまが語られている。ここに輪廻転生やタイムパラドックスが入りくんでおり、場面も近未来から異世界(異星)の戦闘、パラドックスでもう一度同じ場面が出て..などかなり込み入っているので、記憶が薄れないうちに一気に読破するのが吉。

谷甲州の構築された世界観が観える作品。クラークの「2001年宇宙の旅」を、ホーガンの「星を継ぐもの」を読み終わった後のような読後感があります。
航空宇宙軍史シリーズ
航空宇宙軍史シリーズ
この“航空宇宙軍史”シリーズはもともと「“航空宇宙軍史”シリーズ」として刊行されたのは本作で終了。ただ彼にとっての初単行本である「惑星CB-8越冬隊」や他社から刊行された「戦闘員ヴォルテ」は同じ設定上で語っても破綻のない、「外伝」とも呼べるもの。ここらをもう少し語ります。このシリーズにはもう少しおつきあいくださいw

*2分冊なのでAmazonは上巻に繋いであります。購入額は上下巻合計
  • 購入金額

    1,160円

  • 購入日

    1996年頃

  • 購入場所

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