実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。
しつこく小説家谷甲州のSF連作“航空宇宙軍史”シリーズ。
時系列的には前回の短編集
を少し遡り、「地球-月連合」よりの圧力を跳ね返すべく、制限された軍備の中で輸送船から仮装巡洋艦への艤装変更や陸戦隊を組織して開戦への坂道を転げ落ちいてく「外惑星連合」の開戦直前のあたりの話。
すべてが「外惑星連合」の視点で書かれている。当然“航空宇宙軍史”シリーズなので、設定は宇宙だし谷甲州ならではの緻密な計算された世界観などがベースにはあるが、本作は長編ということもあり、短編でよく見られる技術的、あるいは地図的な計算に基づいたネタを核にドラマが進む、というハードSFなものではなく、SFの設定でいわば普通の人間ドラマが進んでいく。
内容的には政治的駆け引きも含むハードボイルドスパイ小説と戦記物のオープニングにあることが多い「仲間の結集」のような話を絡めたもの。
主旋律?のハードボイルドスパイ小説の方は、「外惑星連合」内での主戦派、穏健派の政治的駆け引き、連合の一国(一星?)のクーデターによる政権奪取というバックグラウンドに「外惑星連合」内の内通者“烏”を絞り込むミステリ要素とRAMカード上の暗号の解読とスパイ小説らしいフレーバーを効かしたもの(21世紀の終わりに「数メガバイト程度のRAMカード」や「磁気ディスク」が「どこにでもある」かどうかは\(^^\) (/^^)/オイトイテ..(^^ゞ)。“烏”は意外な人物で、最後のどんでん返しもあり....
一方以前
で活躍した「タナトス戦闘団」の結成秘話?も語られる。ダンテ隊長ことフェルナンデス大尉が、戦時特例措置にて給料は大尉と変わらない「名ばかり少佐(のちに中佐)」に任命され、「航空宇宙軍」との戦闘を想定した「外惑星連合」初の陸戦隊の組織編成を任される。現場型の人間であるダンテの後に良き女房役となる、事務処理能力の高い副隊長ランスことローレンスとの意気投合、3人のエキスパートが当たっても解読不可能だった上記RAMカードを解読したはみ出し技術将校ロッドことロドリゲス、単純で怪力、けんかっ早いラスことラッセルなどタナトス戦闘団に欠かせないメンツとの出会いと、初期は反発(血の気の多いヤツらで殴り合いになることも多い(^^))していた彼らが、どういう風に「戦闘団」としてまとまっていったか、ということが語られる熱血物語でもある。宇宙に出る時代の人間が自分の出自(メスティーソだのイギリス系だの)でとっくみあいになるのがナンダかな...と思いながらも、もう20年以上も前に書かれた小説当時の状況と相も変わらない理由で、戦争・内紛・テロが起きている現状からするとたかだか百年くらいでは人間は変わらないかと思ったり....訓練を繰り返し互いの長所を認め合っていく様などはちょっとスポ根マンガの風合いもあり...
SF嫌いの人でも楽しめる、小説です。
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購入金額
470円
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購入日
1988年頃
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購入場所
makibisiさん
2011/09/06
cybercatさん
2011/09/06
>SF好きなので、興味をそそられます。^^;
自分はSF一辺倒ではないのですが、でもハヤカワ文庫系のジャンル(SF/ミステリ/ファンタジーなど)が多いので、まだまだこの分野行きます。
当面後数作はこの連作行きますのでお楽しみに?