レビューメディア「ジグソー」

明るい!美しい!楽しい!究極の3D映像デバイスはこれだ!

この度は貴重なレビューの機会を頂きまして、誠にありがとうございます。
この場をお借りして御礼申し上げます。

SONYが満を持して発表したヘッドマウントディスプレイ、それがHMZ-T1です。
近未来的なフォルムと3D対応の720p有機ELディスプレイ、HDMI対応など最新のトピックがぎっしり詰まったこのヘッドマウントディスプレイを試す機会を頂きましたので、早速いろいろな角度から検証してみたいと思います!
外箱
外箱


特徴はなんといってもヘッドマウントディスプレイという点に尽きます。
映画やゲームなどの映像を楽しむ場合、一般的にはテレビなどのディスプレイデバイスか、あるいはプロジェクターでの投影などの方式しかありませんでしたが、このMHZ-T1は頭部に装着するという、新しいジャンルのディスプレイデバイスとなります。
ヘッドマウントユニットには有機ELパネルが組み込まれており、レンズを通して見ることであたかも目の前に巨大なディスプレイが存在しているか如くの画像を見ることが可能です。

HMZ-T1はHDMI入出力および画像処理を行う回路が搭載されたプロセッサユニットのHMZ-T1Pと、ヘッドマウントディスプレイのHMZ-T1Hの2つのユニットから構成されています。

・プロセッサユニット HMZ-T1P

HDMIの入出力端子を備えたユニットで、ヘッドマウントディスプレイ HMZ-T1Hへの電源供給もこのユニットが担います。
サイズは180(W)×168(D)×36(H)mmと比較的小さく、重量も600gと割と軽量です。
接続はフロント部分にHMZ-T1H用のコネクタが、背面にはHDMI×2と電源ケーブルの接続コネクタがあります。
HMZ-T1P
HMZ-T1P

背面にはHDMI端子が2系統ありますが、片方が入力、他方がスルー機能用の出力端子となります。
HDMIはスルー機能が付いており、再生デバイス→HMZ-T1P→HDMI対応TVという順序で接続が可能です。
リアコネクタ
リアコネクタ

詳しくは後述しますが、実用的に使うのであれば、このスルー機能は非常に重要かと思います。
※当方の環境ではTVがHDMIに対応していない古い型のため、スルー機能についてはテストしておりません。

HMZ-T1Pですが、消費電力15Wの割にはかなり熱を持ちます。
放熱用のスリットから覗くと、内部にそこそこ大きなヒートシンクが見えますので、発熱しやすいパーツがあると思われます。

・ヘッドマウントディスプレイ HMZ-T1H

頭部に装着するディスプレイ本体です。
重量420gとかなりヘヴィな上、重心がかなり前になりますので、装着すると予想外に重量を感じます。
表示パネルは有機ELによる720pで、とても明るく、かつクリアな映像です。
HMZ-T1H
HMZ-T1H

3Dはその方式上どうしても暗くなりがちなのですが、HMZ-T1は左右の瞳に別々のパネルで映像を表示するため、きわめて明るい画質を得ることが可能です。
詳しくは後ほど確認することにします。

HMZ-T1はヘッドマウント方式のため、頭に装着します。
額に当たるパッドと、頭の後ろに位置する2本のバンドで固定しますが、位置決めがかなりシビアです。
瞳の前にレンズがあり、そのレンズでパネルを拡大して表示しているために、少しでも瞳の位置がずれると像がぼやける、にじむなどの正常な画像では無くなってしまいます。
この誤差がかなりシビアで、がっちりと固定しないとなかなか安定した映像になってくれません。
調整用バンド
調整用バンド

人によって装着方法に誤差はあるかと思いますが、私の場合は鼻に当たるパッドは触れる程度にして、鼻では無く額のパッドで重心を支え、頭部のバンドで引っ張り上げるような感じで装着したところ、一番良い感じになりました。
バンドが緩いと遊びが出てしまうため、使用時に頭を動かすと像がにじみやすくなってしまいます。
とはいえ、あまりにきつすぎるのも装着に違和感を感じますので、なかなか調整が難しいところです。
装着イメージ
装着イメージ


装着位置の調整がシビアということは、一度バンドの位置を調整してしまうと、個人用のデバイスとなりがちという欠点も存在します。
一人で使う時は良いのですが、家族など複数人で使う時は、毎回バンドの位置調整を行う必要があります。
毎回調整を行うのはかなり面倒ですので、自分専用のディスプレイと割り切った方が良さそうです。
家電量販店にHMZ-T1のデモ機があるのを見かけますが、店頭デモの限られた時間でベストな装着位置を見つけるのは、かなり大変では無いかと思われます…

ぴったりの装着位置を探すには、実際に画像を表示しながら微調整するのが一番はやいと思われます。
ですので、まずは適当にバンドの長さを調整したら、早速装着してみます。
個人差はあると思いますが、私の場合は頭の後ろのバンドでHMZ-T1を引っ張り上げ、額に当たるパッドと後ろのバンドで支えるような装着にしたところ、一番画像がクリアに見えました。
前述のように、レンズを通して有機ELパネルを見ることになるため、瞳の位置にはかなりシビアです。
文字がぼやけてしまう場合は、額のパッドの厚めのBタイプに交換し、瞳の前後位置を調整するなどの対策が必要になるかと思われます。
レンズ部分
レンズ部分

装着すると瞳の前をHMZ-T1が覆ってしまうため、HMZ-T1のスイッチ部分を見ることは出来ませんが、ボタンに凹凸が付けられており、操作は簡単です。
操作パネル
操作パネル


なによりも一番驚いたのは、有機ELパネルによるコントラストの良さと、その明るさです。
3Dでも明るく、コントラストの良い画質を得られるのは、ヘッドマウントディスプレイ方式だからこそ実現できたのだと思います。
なぜヘッドマウントディスプレイが3Dに適しているのか、3Dテレビの原理も踏まえつつ考察してみたいと思います。

・立体視の仕組み

人間の目は数センチずれた位置に2つあるため、右目・左目で得る画像は少しずれています。
この“ずれ”を脳が処理することで、物体の前後情報などの立体感を得ています。
3Dディスプレイは、左右の目に別々の画像を送り込むことで“ずれ”を認識させ、立体に見えるように工夫しています。
このため、3Dディスプレイでは左右の目に異なる画像をどうやって送るか、という点が一番重要なポイントとなります。
いくつか方式がありますが、現在主流の2つについて、確認してみたいと思います。

・フルHDが可能だが画面が暗いアクティブシャッター方式

液晶テレビ・ディスプレイで一般的な3D方式として、アクティブシャッター方式と偏光フィルター方式が挙げられます。
アクティブシャッター方式は、TVに表示される画像を右目・左目と高速に切り替え、めがね側にある液晶シャッターのON/OFFを同期させることで左右の目に異なる画像を映します。
ディスプレイに右目用の画像が映っているときには左目のシャッターを閉じ、右目だけ見える状態にします。
同様に、左目用の画像が映っている時には右目のシャッターを閉じ、左目だけに映像を映します。

この方式では、左右の瞳は画面全体を見ることが可能なため、左右の瞳にフルHDの画像を映すことができるのがメリットです。
ただし、右目→左目とシャッターが開く・閉じるを繰り返すため、常にどちらか片方の目には何も映っていない状態となり、明るさが半減してしまいます。
さらに、他方の目の映像が映り込む「クロストーク現象」を防止するために偏光フィルターが用いられており、最悪のケースでは1/4程度にまで明るさが減ってしまいます。
店頭で3Dめがねを装着してテレビを見ると「暗い」と思うのは、このためです。
また、アクティブシャッター方式はめがねに液晶シャッターと同期するための回路、電源を搭載する必要があるため、重量が増す上に高額というデメリットもあります。
さらに、左右の瞳用の画像を高速で切り替える必要があるため、ディスプレイ側も倍速、4倍速に対応する必要があり、コストが増加します。

画面を明るくすることで輝度の低下はある程度避けられますが、やはり常に左右のどちらかの瞳が閉じている状態になるため、例えば白は突き抜けたような白にはならず、ぱっとしない薄いグレーのように感じる違和感はぬぐい去れません。

・明るさはあるが解像度が減る偏光フィルター方式

偏光フィルター方式は偏光フィルターが組み込まれためがねを装着することで、左右に別々の画像を映すことが可能です。
アクティブシャッター方式のように複雑な機構のめがねが必要ないためコストが安く、ディスプレイも高速で左右の瞳用の画像を生成する必要がないため比較的安価ですが、画面に右目・左目用の画像を1ラインずつ交互に表示し、それぞれを左右の瞳に割り振るため、解像度が半分に減少してしまうデメリットがあります。
また、偏光フィルターが効果的に機能する範囲は限定されており、前後方向など視聴する距離に制限が出てしまいます。

このように、1枚のディスプレイで左右の瞳向けの映像を映す方式には、特殊なめがねや偏光フィルターが必要になるなど、複雑な仕組みが必要となります。
また、1枚のディスプレイで左右の瞳に異なる絵を映すため、たとえば左目用の画像が誤って右目に届いてしまうことによる画像のブレ、いわゆる「クロストーク」が問題となります。
クロストークは1枚のディスプレイを使って左右それぞれの瞳用の画像を表示する一般的なテレビでは、避けられない問題となります。

・クロストークを完全に排除可能なヘッドマウントディスプレイ方式

HMZ-T1を装着して観た3D映像は今までに体験したことがない明るさ、かつ高コントラストで、画像の美しさは際だっています。
これは、ヘッドマウントディスプレイ方式が3Dに最適な方法であり、完全にクロストークを排除可能だからこそ実現が可能です。
HMZ-T1は左右の瞳それぞれに有機ELパネルがあり、2枚のパネルを使用してそれぞれの瞳に映像を送るため、1枚のパネルの表示を切り替える必要はなく、従来の3Dディスプレイのような画面が暗くなるデメリットが一切生じません。
さらに、左右の瞳それぞれのパネルを用いることで、反対の目に映像が届いてしまうクロストークを完全に排除することが可能です。
1枚のディスプレイで左右の目に違う画像を映すテレビではクロストークの回避がとても難しいのですが、ヘッドマウントディスプレイであれば左右の目にそれぞれ別のパネルを割り当てることが可能で、クロストークの発生は起こりません。
ヘッドマウントディスプレイ方式を採用したことにより、HMZ-T1は有機ELパネルの美しさをそのまま映し出すことが可能となっています。

HMZ-T1は有機ELパネルによる黒の表現性の良さと、パネル全体をゴーグルの中で包み込んでしまう装着構造がコントラストの良さを際立たせている印象を受けます。
さらに、アクティブシャッター方式のような暗さもなく、パネルの明るさがそのままの情報として瞳に伝えられますので、とても明るく、きわめてコントラストの良い映像を得ることが可能です。
ヘッドマウントディスプレイ方式を採用したHMZ-T1は、まさに“究極の3D映像デバイス”と言えるかと思います。

気になる“画面の大きさ”ですが、目の前に小さいスクリーンがあるようにも、映画館で中央より少し後ろの席で見ているようにも感じられ、不思議な距離感です。
視野角は45度となっていますので、計算すると何となくのスクリーンサイズを導き出すことが可能です。
PCを使っている方は、23インチ液晶を60cmの距離から見た感じに近いといえばなんとなく解るかと思います。
そう言われると結構小さく感じますが、2m先にテレビを置いている場合、70インチ相当のサイズですからかなり大きいと言えるでしょう。
レンズを通して拡大されていることもあり、画面までの距離感は人によって様々かと思いますが、私の感覚ではメーカー公称の「仮想画面サイズ750インチ相当(仮想視聴距離20m)」はちょっと大げさかな、という感じです。
そこまで巨大に映るわけではないのですが、実際に映画やゲームなどで使ってみましたが、映像を楽しむには最適の視野角だと思います。

※スクリーンサイズについて
角度が45度、67.5度、67.5度の二等辺三角形ですから、画面までの距離を決めれば底辺(スクリーンの横幅)を計算式で出すことが可能です。
下記サイトで入力指定を高さと角度に設定し、高さhに任意の数字を入れ、角度θに67.5を入れるとスクリーンの幅を算出できます。
http://keisan.casio.jp/has10/SpecExec.cgi

まずはゲームで3Dを試してみることにしました。
HMZ-T1が対応しているゲーム機PlayStation3で、3Dが可能なタイトルであるGT5をプレーしてみました。

PS3にHMZ-T1を繋ぐと、自動的に3D対応デバイスである旨の表示が出ます。
画面のインチサイズ設定画面が開きますので、ここでは72インチの設定にしてみました。
このインチサイズを元に3Dの深度を設定しているようですので、あまり大きくしすぎてもNGのようです。
続いて、GT5のゲーム設定画面から3D表示をONにすることで、3Dでゲームが楽しめます。

実際に走ってみた感想は…
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおー!車を運転しているよ!!!」といった感じ。
周囲の視界が遮られ、画面しか見えていないが故の臨場感と、奥行きのある3D映像でゲームの臨場感が凄いことに。
カーレースの場合、カーブの手前で減速するなど、距離感がとても重要になります。
最初のうちは2Dで慣れていたこともあって壁にぶつかったりと上手く走れませんでしたが、慣れてくるとブレーキングポイントなどの把握がしやすく、3Dのメリットが生きてきました。
3Dで遊ぶGT5の面白さは半端なく、この手のゲームには最適という感じでした。

これは面白い!!

音質もHMZ-T1のバーチャル5.1chのおかげか、テレビでプレーするよりも臨場感があり、ゲームに没頭することが可能です。
カーレースの場合はコントローラーでの操作も簡単なので、ディスプレイ以外見えないヘッドマウントディスプレイでも大丈夫でした。
ただし、ステアリングコントローラーを使っている場合は、周りが見えないというデメリットが出てきてしまう可能性がありそうです。

続いては、PCでnvidia製ビデオカードとNVIDIA 3DTV Playを使用して、3Dの実験を行ってみました。

まずは、HMZ-T1を繋ぐ前に事前準備を行います。
nvidia製ビデオカードにはステレオスピコック3Dという機能があり、一部のゲームでも3Dで楽しむことが可能ですが、NVIDIA 3DTV Playを利用することで数多くのタイトルで3Dを楽しむことが可能です。
NVIDIA 3DTV Playは有料のソフトウェアで、価格は39.99USDですので日本円にして約3,200円程度となります。
NVIDIA 3DTV Play
NVIDIA 3DTV Play

さらに、3DTV PLAY SUPPORT UPDATE UTILITYのパッチを当てることで、HMZ-T1で3Dを楽しむことが可能となります。
3DTV PLAY SUPPORT UPDATE UTILITY Download

上記の設定を完了したら、HDMIでHMZ-T1を接続します。
今回はGTX570にメインディスプレイのDELL 2407WFPとHMZ-T1を接続し、サブディスプレイのSAMSUNG SyncMaster 204BはHD3000のHDMIに接続して使用することにしました。
HMZ-T1を接続すると自動的に検出されますが、そのままだとサブディスプレイ扱いとなり3Dは利用不可となっています。
3DTV Playを使うには、HMZ-T1をプライマリディスプレイに設定する必要があります。

これが少し不便で、HMZ-T1をプライマリにしてしまうと、スタートメニューやタスクバーなどがHMZ-T1に出力されるようになります(変更可能です)。
また、HMZ-T1装着時にサブウィンドウにアプリケーションが立ち上がってしまうと、一度HMZ-T1を外してディスプレイを見る必要があります。
マルチディスプレイでHMZ-T1を使うのはHMZ-T1の脱着が必要なため、ちょっと面倒です。
私の環境では、メインモニターが縦1200pxのWUXGAですので、HDMIのパススルーは使用せずにメインモニターとして繋げましたので、不便に感じました。
ダウンスケール表示になってしまいますが、1920x1080での利用も可能ですので、フルHD解像度のモニターをお使いの方は、HMZ-T1のHDMIパススルー機能を使って1台のディスプレイ構成にして使うのが良さそうです。

解像度ですが、HMZ-T1のネイティブ解像度は720pですので、1080pに設定するとWindowsの文字がつぶれてしまうなどの不具合があり、あまり使い勝手はよくありません。
とはいえ、720pのウィンドウはWindowsを使うには少し狭いため、画質と解像度のトレードオフといった感じです。
HMZ-T1を装着してパソコンを操作する姿は、端から見るとかなりサイバーな感じがすると思います(笑

ゲームは、キーボードをあまり使わないAlice Madness Returnsを試してみましたが、ステレオスピコックをONにすると、驚くばかりの立体感を得ることが出来ます。
特にAlice Madness Returnsのビジュアルの独特な美しさ、世界観は3Dで見るには非常に楽しいゲームでもあります。
空中でジャンプを繰り返して向こう岸まで移動するような単純なアクションでも、3Dになるだけで見る楽しさが加わって爽快でした。
思ったような3D酔いもありませんでしたので、これくらいの動きであれば大丈夫そうです。

続いて、オンラインゲームのパンヤも試してみましたが、これも問題無く3Dで表示することが可能でした。
パンヤはゴルフゲームですが、3Dになるとコースの全景を見たり、打った球が飛んでいくアニメーションなどが楽しいのですが、どちらかというとチャットなどのキーボード操作も多いタイトルなので、周りが見えない不便さの方が目立つ感じです。
FF14もチャレンジしてみましたが、キー操作で戸惑い速攻でNGでした…

ゲーム機とは異なり、PCの場合は入力デバイスが複雑(といってもマウスとキーボードですが)なため、キー操作を要求されるゲームには不向きだと感じました。
FPSは試していませんが、やはりキーボードが見えないという理由でかなり厳しいのでは?と思われます。
キーボードもタッチタイピングで使用すれば不便はあまり感じませんでしたが、普段あまり使わないキーを叩こうとすると、間違えることが多々ありました。
ゲームのジャンルとしては、パッドでプレーできるアクションや、カーレースなどが最も適しているのではないでしょうか。

キー操作がほとんど不要な3Dアプリケーションということで、ベンチマークソフトを使って3Dの効果とNVIDIA 3DTV Playの動作を確認することにしました。
使用したベンチマークは下記の通りです。
・モンスターハンターフロンティア ベンチマーク「大討伐」
・バイオハザード5ベンチマーク
・リアル彼女体験版・ベンチマーク
最後のリアル彼女はネタというか、ある意味男性としては確認しておくべきかと(爆

結果、いずれも問題無くNVIDIA 3DTV Playで3D表示が可能でした。
3Dになるだけで、ベンチマークを見るのも楽しいですね。
バイオハザードはかなりゾンビがリアルでした…

で、気になるリアル彼女ですが、ちゃんと3Dで表示されていてさらにリアルにw
しかし、気になるのが顔のディティールで、ボディーよりもなぜか顔だけ前面に浮きすぎているような違和感がありました。
また、深度を上げすぎると瞳の部分で像が合わず、崩れて見えてしまうように。

ということで、3Dゲームも簡単に3D化出来ることが判明しました。
面白い!

3Dでゲームを遊ぶためには、かなりパワフルなビデオカードが必要となります。
3D処理の為にかなりのGPUリソースを喰われてしまい、フレームレートが大幅に低下します。

試しにバイオハザード5ベンチマークAを利用して、フレームレートを測定してみました。
3DをOFFにした場合の平均フレームレート135.5fpsに比べ、3DをONにした場合は72.4fpsと半分近くまで劇的にフレームレートが低下します。
3D Disable時のベンチマークスコア
3D Disable時のベンチマークスコア

3D Enable時のベンチマークスコア
3D Enable時のベンチマークスコア

バイオハザード5ベンチマークは比較的軽いアプリケーションですので70fps台を保っていますが、最新の重たいゲームではGTX580クラスのGPUでも重たくなる可能性があると思われます。

重たいゲームで本格的に3Dを遊ぶには、ハイエンドビデオカードのSLI構成が必須かもしれません。

3D映画の「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」と「ハリー・ポッターと死の秘宝 PartII」で3D映画を初体験してみました。
両方とも画面が暗いため3Dでは余計に暗くなって見づらい、3Dが効果的に使われているところが少ないといったネガティブな情報が多いタイトルでしたので、テレビと違いHMZ-T1ではどのように見えるのか、興味があります。

両方のタイトルに共通して言えるのは、確かに3Dは必須ではない、という点でしょうか。
アクションシーンなどの動きの激しい場面では3Dならではの面白さはあるものの、3Dでなくても良い場面も多かったのは事実。
映画に対する評論と3Dの必要性についてはレビューの趣旨から外れるのでこれくらいにして、まずは「3Dだと暗いため見づらい」という点について。

両作品とも3DのBlu-rayで見たのが初めてですので比較対象はありませんが、HMZ-T1の有機ELパネルによる明るさ、コントラストの良さもあって、暗くて見づらいということは全くありませんでした。
暗部がつぶれることもなく、はっきりと視認できるのはヘッドマウントディスプレイならではのメリットだと思います。

HMZ-T1にはバーチャル5.1ch対応のヘッドフォンもついており、HDMI経由で映像・画像の両方を楽しむことが可能です。
ヘッドフォンの見た目はかなりチープ感が漂うものの、実際に聞いてみると十分な低音もあり、かなりしっかりした音作りでした。
これはこれで十分「あり」でしょう。
別途ヘッドフォンを装着することは不可能なので、音が良いということはありがたいですね。
ヘッドフォン
ヘッドフォン


HDMI接続ですので映像と音声がケーブル1本で済むのはありがたいです。
PS3に接続したところ、音声は自動的に5.1chで認識されています。
PCに繋いでも自動的にオーディオ出力がSPDIFからHDMIに切り替わりました。

装着した際の位置決めがシビアなのは前述の通りですが、レンズで拡大しているためか、レンズの焦点から目の位置がずれると、映像がにじむなどの問題が生じます。
この位置決めがかなり難しい上に、体勢を変えるとHMZ-T1自体がずれてしまうため、手で押さえながら移動する必要があります。
また、HMZ-T1の重量を鼻で支えるには重たすぎるため、額のパッドでHMZ-T1を支え、頭の後ろのバンドで引っ張り上げる感じでの装着が一番でした。
著者近影
著者近影


ただ、この装着方法にも難点があり、長時間装着していると額に横長の四角い痕がくっきりと付いてしまいます。
もう少し本体が軽くなると良いのですが…。
バンドの長さは調整可能ですが、ベストポジションを探すためには結構試行錯誤する必要がありました。
額のパッドも厚さが2パターンありますので、標準で付いている薄めのパッドではどうも画像がぼやけるという方は、厚めのパッドにしてみると良いかと思います。

前述のように、慣れてしまうとベストのポジションに簡単に装着可能ですが、慣れないと試行錯誤です。
さらに、ベルトは2本独立して調整可能なほか、アームの長さも変更できますので、ベストポジションを見つけるためにはいろいろ調整して試してみる必要があります。
このため、毎回ベルトの位置を調整して複数の人数で使うのはあまり現実的では無さそうな気がします。
たとえば家族同士で使い回す場合は、毎回この調整を行わないといけないと考えると、ちょっと厄介です。
使っていれば自分の調整位置を覚えられそうですが、私がものぐさなこともあって、毎回調整するのはちょっと面倒かも…と感じました。

装着してもレンズまで少し距離がありますので、周囲の光がガンガン入ってきます。
焼き鳥の軟骨に似た形のシリコン製の遮光パーツも付いてきますが、これはあまり効果がありませんでした。
下方向よりも、左右から入ってくる光の方が影響が大きく感じます。
めがねを持ち上げるような感じで、左右を手で覆うとかなり外部の光を遮断することが出来ましたが、完全ではありません。
昼間に楽しむためにはカーテンを閉めるなど、遮光した方がよさそうと感じました。

また、外部の光によって、レンズの縁が映り込んでしまいます。
これが結構気になりますので、視聴する場合は暗い部屋がお勧めです。
レンズの設計というか、工夫で縁の映り込みは回避できるような気がしますので、次期モデルでは解消して欲しいところです。
レンズの縁が映り込む
レンズの縁が映り込む

映り込みのイメージ
映り込みのイメージ


レビュー締め切り直前に、接続しても画像が映らないという症状に陥りました。
現象としては、HDMIで接続し、信号がHMZ-T1に流れている状態で電源をONにしても、パススルーランプ点灯&電源ランプ緑点滅という状態のまま、まったく画像が出ません。
PS3に繋いでも同様で画面が映らないため、サポートに電話して聞いてみたところ、こちらでも把握していない症状で故障の可能性があるため修理に出して下さい、とのことでした。
通常は販売店への持ち込み修理なのですが、レビューでお借りしている品のため販売店が不明でしたので、近くのサービスセンターまで宅急便で送ることに。
保証期間内なので着払いで送って下さいとのことでした。

SONYのサービスセンターへ発送したのが25日、月曜の26日に到着した後、返送されてきたのはなんと28日の水曜日。
27日にはSONYで修理を完了し、発送しているという超スピード対応でびっくりしました。
返送されてきた箱には不良で交換したパーツ名が記載されていましたが、どのパーツかはさっぱり不明でした。
戻ってきたHMZ-T1を早速PS3に繋げてみたところ、問題無く表示されました。
年末ということもあり年内に修理対応して頂けたのだと思いますが、このスピード対応はありがたいですね。

3Dを画像で伝えるのは難しいため、文字が中心のレビューとなってしまいましたが、ヘッドマウントディスプレイによる3Dは、明るさ、コントラスト共にすばらしく、今までに無い驚きをもたらしてくれました。
また、完全にパーソナルの環境での視聴のため、椅子に座ってMHZ-T1を装着すればどこでもプライベートシアターといった感じです。
さらに、横になって見るといった使い方も出来ますので、今までにはない映像の楽しみ方ができるデバイスと言えます。

ただし、初の3D対応ヘッドマウントディスプレイということもあり、いくつか改善して欲しい事項があることも確かです。
瞳の位置調整がものすごくシビアなのは仕方が無いにしても、もう少し装着感を改善して欲しいところ。
重心をもう少し頭側にもってくるとか、本体を小型化するなど、難しいと思いますが改善してもらうと、もっと装着感もスマートで使い勝手が良くなると思います。
重量はそれほどでもないものの、重心がかなり前にありますので、鼻に重量を乗せるとかなり負担がかかります。
後ろのバンドで引っ張った感じで装着すれば額に負荷を分散できますので、あまり鼻は痛くなりませんが、装着時の突っ張った感がどうしても排除できませんので、もう少しスマートな装着方法があると良いと感じました。

また、解像度が1080p対応ではなく720p対応というのも残念なところ。
視聴していてドット感を感じることはあまり無いとはいえ、瞳に近い位置に有機ELパネルが組み込まれていることもあり、静止画では720pの荒さがどうしても目立ってしまいます。
組み込まれている有機ELパネルは横20mm程度とかなり小さいサイズですので、このサイズで720pを実現していること自体、凄いとも言えるかと思います。
とはいえ、実際のHMZ-T1の高画質を目の当たりにするとやはり欲は出てしまうもので、1080pはぜひ実現して欲しいと思います。

とはいえ、民生用で世界初の3D対応ヘッドマウントディスプレイであるHMZ-T1のインパクトは大きく、ユニークかつ楽しい製品です。
HMZ-T1で体験した3D映像の高品位さは、他のディスプレイでは絶対に表現不可であり、一度体感してしまうと普通の3D対応テレビの立体視が完全に色あせてしまいます。
価格も比較的手軽ですので、人気が出るのも納得です。
久々に「面白い!」と思える製品に出会った気がします。
3Dでなくても、通常の映画でもプライベートで楽しむには最適ですし、いろいろな使い方が出来そうですね。
SONYらしい、ちょっと先の未来を感じる面白い製品だと感じました。
  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2011年12月08日

  • 購入場所

コメント (16)

  • リーダーさん

    2011/12/27

    コレを装着した状態での「ドヤァ!」な写真を拝見したいですwww
    数年前までは夢みたいなディスプレイの表示方法だったというのに
    もう実現されちゃったんだなぁとしみじみ・・・
  • しょぼさん

    2012/01/02

    攻殻機動隊の世界ですね(^ω^)
    FullHD版が世に出たら買って見たいところです。
  • メルさん

    2012/01/06

    レビューお疲れ様です。

    以前より気になっていたので、とても参考になりました。
    SONYへ送付中とのことですが、早く戻ってくると良いですね。
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