実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。
前回の
に引き続き“航空宇宙軍史”。小説家谷甲州のSF連作。
前回のは4編中2編が同じ題材(襲撃艦ヴァルキリー)を扱っているだけで、時間的にも大きな隔たりがあり、「共通の世界設定に基づく独立した短編集」と言った風情だったが、こちらは同様に4つの話に分かれているが、登場人物(?←微妙(^^ゞ)も一部共通点があり、4話で1つの長編を構成している(話そのものは独立性が高く、起承転結もあるので4つの同一モチーフにまつわる短編と見なすこともできる)。
地球-月連合の「航空宇宙軍」とその支配に対して対抗・独立をもくろむ太陽系外周側の木星~トロヤ小惑星群~土星の国家の連合政体「外惑星連合」の戦いも、トロヤの脱落とタイタン(土星)のクーデターで「外惑星連合」には不利になりつつある状況から物語ははじまる。
「タナトス戦闘団」ではクーデターによりタイタンが戦線脱落する際、軍事機密を抹消しようとするタイタン側とそれをカリスト(木星)に持ち帰ろうとする外惑星連合側の攻防。かつての友軍を裏切り、かつ、地球側にもその存在を抹消しようとする研究とは....12人の脳を繋いだ生体コンピュータ!このコンピュータ“ラザルス”は他人の思考に無限ループを作ることで敵を害することができる。このラザルスを奪取すべく送り込まれた戦闘団のダンテ隊長とラザルスの戦いと和解を描く。
「ジョーイ・オルカ」では海の牧羊犬として訓練・調教されていたシャチたちが何者かに襲われる。仲間が襲撃船に引き上げられる中、抵抗し襲撃者をかみ殺したジョーイは不適合シャチとして処分されそうになる。飼育員に逃がされたジョーイは野生化し群れを率いるようになるが、その狩りが高度に組織化されたものである事から航空宇宙軍に狙われ、捕らえられ脳を取り出されて生体コンピュータとなる。戦闘艦に組み込まれ、宇宙で戦闘することになるが、そこで出会った敵は以前の仲間だった...
第三話はタナトス戦闘団の生き残りの話だが若干ハードボイルドなタッチ。前回の短編集に出てきた「襲撃艦ヴァルキリー」も出てくる。第四話はダンテ、ラザルス、ジョーイ、ヴァルキリーが絡み「思考」だけとなった生体コンピュータの悲哀を綴る。
生体コンピュータや他者への無限ループによる傷害など若干ご都合主義的な部分はありますが、SF=サイエンス「フィクション」と見ると良質で、通しでも個々でも二度楽しめる奥深い作品です。
ちなみに電子ブックで読める(DMMやパピレスにあり)「タナトス戦闘団」は本編とは別作品です。
【収録内容】
第一話 タナトス戦闘団
第二話 ジョーイ・オルカ
第三話 トランパー・キリノ
第四話 星と海とサバンナ
-
購入金額
480円
-
購入日
1987年頃
-
購入場所
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。