今回「SILKYPIX Developer Studio Pro5(Windows版)」のレビュアーに選出頂き誠にありがとうございます。
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SILKYPIXは以前からRAW現像ソフトとしては有名なもので、PENTAXのデジタル一眼レフカメラに標準同梱されているRAW現像ソフトである
は、SILKYPIXをベースにしています。
ただ、カメラメーカーが同梱するRAW現像ソフトは「RAW現像を行うこと」がメインとなるため、画像処理については最低限の機能しか備わっていない、ということがほとんどでした。
SILKYPIXではどのようなことが出来るのか、どのように変化するのか、をお伝えできればと思います。
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画面の左手側が画像処理のメニューが置かれている部分になります。
左手上にはメニューバー、そのすぐ下にはツールボタンバーが並びます。
左手下にはトーンカーブやホワイトバランス、回転やデジタルシフトのツールを呼び出すボタンが置かれています。
左手下のボタンの機能については画面左手側部分に常時表示することも可能です。
画面は1枚の画像をプレビュー表示していますがツールボタンからサムネイル表示やプレビューとサムネイルを同時に表示するモードへの切り替えが可能です。
画面左手側の画像処理のメニューについて説明して行きましょう。
これは後述する画像処理の操作結果を再度選択できるよう、オリジナルテイストとして登録できるようにするものです。これに登録しておけば以前と同じ露出補正、ホワイトバランスなどがメニュー一つで呼び出せるようになっています。
予め幾つかのテイストが登録されており、「ノスタルジックトイカメラ」「夕焼け」「インスタントフィルム」といった10種類のテイストが登録されています。
露出の補正を行うものです。キーボードから直接数値を入力したり、スライドバーで調整が可能なほか、自動露出補正ボタンも付いており、ある程度の補正はソフトに任せることも可能です。
HDR(ハイダイナミックレンジ合成)は「露出を変えつつ複数枚の写真を撮影し、それらを合成することで白飛びや黒つぶれの少ない幅広いダイナミックレンジを持つ画像を生成する」技法ですが、それをソフトで計算を行なって実現しています。HDRについては後ほど実例をお見せしたいと思います。
白く表現する色を調整する機能です。SILKYPIXではオート・ホワイトバランスが用意されており「オート(絶対)」と「オート(自然)」の2種類があります。
「オート(絶対)」は光源色の色かぶりをできるだけ解消するように自動調整し、「オート(自然)」は光源色による色かぶりを完全に補正せずに、光源色の雰囲気を知覚的に再現するように光源の色調を残すよう自動調整します。
コントラストやガンマを調整して、画像の軟調、硬調を調整します。
デフォルトの設定として「超軟調」から「超硬調」までと「忠実」とあり、「超軟調」から「超硬調」はメーカーテイストとして段階的に用意してあるほか、「忠実」を選択すると、sRGBやAdobe RGBの基準トーンカーブの通りの調子表現となるようになっています。
これは色の表現に関する設定となります。
通常の場合であればあまり変更する必要のないものですが、被写体によっては「もっと色が濃かった気がする」とか人間の記憶とズレが出ることがあります。
こういったズレをソフト側で補正して再現してみようというのがこのメニューです。空の青さや電車の車体の色がくっきりとした感じになります。
空の青さが抑えらているのと車体の色の赤っぽさが抑えられています。
この他にも画像のトリミングなど様々なメニューがあるのですがこれ以上は長くなるので割愛させていただいます。
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【使用してみての感想】
このソフト一つで様々が画像処理が一度に可能になると感じました。
これまでだとRAWからJPEGへの現像はカメラ付属のRAW現像ソフトで実施し、その後画像編集ソフトで現像ソフトで補えなかった部分の補正や加工を行った上で保存を行う、という流れでしたが、豊富な画像処理メニューから適切な補正を行うことが可能になっています。
カメラ付属のRAW現像ソフトを置き換えるに余りある機能を持っている本ソフトにより、撮影する楽しみが益々増えるのではないかと思いました。
【改善希望】
なかなか使い勝手の良いソフトであるのですが個人的に1点だけ改善してほしい点があります。
画像処理を行うと処理対象画像ファイルのあるフォルダに「SILKYPIX_DS」サブフォルダが自動作成され、その中に"処理対象画像ファイル名" + ".4.spd" というファイル名で「現像パラメータファイル」が自動作成されますが、このフォルダが結構邪魔くさい・・・。
自分としては画像を保存しているフォルダに余計なファイルを置いておきたくないので、出来ればこれらのファイルを専用フォルダにまとめられるようにしてもらえると有りがたいです。
以上、純国産RAW現像ソフト「SILKYPIX Developer Studio Pro5(Windows版)」のレビューでした。
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【2011/09/21 追記】
HDR(ハイダイナミックレンジ合成)についてサンプルを作成してみました。元画像の撮影日時は2009/12/15 18時半頃となります。
まずは元画像からホワイトバランスの補正を行います。このままだと若干画像が暗めなので通常なら露出補正を行います。
これはこれで十分なのですが、全体的に明るくなっているために多少の不自然さが伴います。ここで露出補正ではなくHDR処理を行なってみます。
暗いところはある程度明るくなり、既にある程度の明るさがある場合にはあえて上げないようにすることでブロックノイズを生じにくくし、質感を保っているかと思いますが、いかがでしょうか?
露出補正もやり過ぎるとブロックノイズの元となってしまうため、加減が難しい所ですが、HDRではそのあたりを踏まえて処理が行われていることもあり、不自然になりにくいようです。
これまでだと複数の露出で撮った画像を元に合成する必要があったHDRがマウスでのクリックひとつで出来るようになったことで、かなり使えるようになったのではないでしょうか?
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ひろっぴさん
2011/09/21
うまい説明ではないかもしれませんがご参考にどうぞw
愛生さん
2011/09/22
記憶色って、実際の色より記憶では、鮮やかに覚えてるんですよね。
これくらいの強調なら、良い感じですね。
HDR(+25)というのは、もっと下げれるのですか?
私個人的には、ホワイトバランス調整後が、好きですね。
ひろっぴさん
2011/09/23
HDRは数値的にも処理結果敵もわかりやすい所であの値になりましたが、実際にはスライドバーにて1~100までの調整が可能となっています。
記憶色は人間が一般的にイメージしている色に近い補正を行なってくれていると思います。
こういうのは画像処理ソフトでホワイトバランスやRGBCYMRといった色の補正を行なって実現することになるのですがなかなか難しいです。
これがほぼイメージに近いものとして一発で出来るのはなかなかないと思いますよ。