bird。女性ポーカリストであり、出産後も着実な活動を続けるアーティストである。彼女はデビュー当時、彼女の才能を発掘したプロデューサーの全面バックアップを受けて活動していた。大沢伸一(MONDO GROSSO)が大阪のクラブで歌っていた彼女を見いだして以前紹介した
にも含まれる「SOULS」でデビューさせた。大沢のダンサブルで、リリカルで、メロディアスでという難しいラインを彼女は良くこなし、表現していた。それから2年で11枚というマシンガンのような立て続けのリリースで大沢の濃密な世界を表現したが、彼女が優れたボーカリストであればあるほど「新たな展開」というものが望まれた。
その後彼女は大沢とのコンビを解消し、自立の道を歩き始めるのだが、当初少しアーシィな方に行ったり他の個性派アーティストに曲を依頼したりと大沢時代とは違ったアプローチをすることに主眼を置いているようなフシがあったが、このアルバムでダンサブルでキャッチーな大沢時代に養った才能を自分なりに消化して比較的似たジャンルに再登壇した。ここでは彼女の持ち味であるハッピーでクリアでソウルなボーカルがまた聴ける。
最初の「夏をリザーブ」は彼女の作詞作曲だ。ボコーダーを使ったちょっと懐かしい感じで入る。打ち込みのリズムとあまりエフェクトが多くない「近い」彼女のボーカルが大沢時代を彷彿とさせるが、不思議な明るさがある曲調は彼女の本来の持ち味か。「ビキニコレクター」は縦ノリのリズムを持つが、日本的というか東洋的な節回しにシタールのようなギターが絡む不思議な曲だ。ドラムは基本打ち込みなのだが、一部生音がミックスされており、それを入れているのはフュージョンのFOUR of a KINDからファンクのTHEATRE BROOKまで節操なk、いや八面六臂の活躍を見せる「日本で一番忙しいドラマー」沼澤尚。
続く「ハイビスカス」でも彼はリズムマシンと打ち込みのベース(このブーミーかつ芯があるブリブリの音を聴かせるのは以前紹介したMIDIMOOGの原器、mini-moog!)に合わせソリッドなプレイ。そのリズムに負けない彼女の明瞭なボーカルがイイ!このアルバムでは全曲詞を書く彼女。♪目と目合うたび/恋の波が襲う/戸惑う気持ち/さらってくれますか/あの夏のキス/よみがえりはじめる/忘れかけてたあなたにも♪夏!に聴きたい詞と歌声だ。
「サンセットドライバー」では打ち込み/スクラッチっぽい左右チャンネルに飛ばした堅いギターをバックにすこしボーカルエフェクトをかけた声で歌う。女性からの切ない恋の歌。難しいアレンジで歌うには難しい内容の詞だが、きちんと「くる」ね。
偉大なプロデューサーから巣立ったアーティストが、自分の足でしっかりと立った、作品です。
【収録曲】
1. 夏をリザーブ
2. 木漏れ日とワルツ
3. ビキニコレクター
4. ハイビスカス
5. 髪をほどいて
6. 夕暮れの少年
7. サンセットドライバー
8. コーラルガーデン
9. 欲望のワールプール
10. 月下美人は眠る
bird official site
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購入金額
3,059円
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購入日
2004年頃
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購入場所
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