ギターの神、Eric Clapton。彼ほど時代によって印象が違う人物は少ないかもしれない。Yardbirds時代のブルース、サイケなCream、「Layla(いとしのレイラ)」のDerek and the Dominos、私生活の悲劇を昇華するためのせつない「Tears In Heaven」やカバー曲ながらメッセージ性の強い歌詞の「Change the World」のソロ時代...そうして彼がたどり着いたのがこの境地である。"One More Car One More Rider"、2001年の「最後の」ワールドツアーである。
CDは2枚組。LA公演と日本公演のベストテイクがチョイスされている。曲順は公演順どおりのフルセットだ。
まず最初はアコースティックギターで静かに始まる。弾き語りブルースの「Key to the Highway」ではちょっとシャウト気味にハスキーな声。終わりも典型的な終わり方で、肩の力を抜いて始まる。愛息の転落死という悲しい出来事から彼自身を立ち直らせた「Tears in Heaven」は、とても切なく優しい声だ。支えるバックもドラムスSteve Gadd、ベースNathan East、ギターのAndy Fairweather-Lowといった「いつもの」メンツに、ギターとキーボードで活躍するDavid Sanciousとハモンドの達人Billy Preston。この曲の背景をよく識り、包み込むような演奏だ。ヒット曲としては最新の「Change the World」は元曲より若干速くブルージーだ。イントロからハモンドとピアノが絡み盛り上げる。バッキングもリズミカルでベースをオブリガードに使うという比較的攻めたアレンジ。でも♪If I can change the world / I would be the sunlight in your universe..♪のコーラス部分が始まるとアノ曲、なんですけどねw
後半に入るとエレキギターに持ち替え、バック共々盛り上がる。「Cocaine」でのBilly Prestonのハモンドソロはスゴイ!「Layla (いとしのレイラ)」は観客に背を向け、練習調にアンプに向かってブルージーなフレーズを1分ほどやり続け、伸ばした音から!かの有名な「あのリフ」が始まる!ここでは彼はどちらかというとボーカルにチカラを入れていて、例のリフでも最初の2拍分を中心に弾いてあとはDavid Sanciousに任せちゃってる(さすがにソロはとりますが..(^^))オトナのプレイ。ここではトリプルギター構成でたたみかける。例のエンディング近くになって曲調がかわって行く部分は最後のブレイクにエフェクト処理されたスネアの一発が『バァン』と入りコンサートの幕が下りる(といっても実際に「幕」があるわけではありませんが)。
カーテンコールはCreamの名曲「Sunshine Of Your Love」と意外にフルアコを持って小粋に「Over the Rainbow」。メンバー紹介しながら始まるこの曲はみんな楽しそうだ。EricがゲストのBilly PrestonからはじまりDavid Sanciousまでの紹介を終わると、Nathanがすかさず「Eric Clapton!」と紹介、すると拍手が鳴り止まない。器用にギターもキーボードもこなすDavid Sanciousはここでブレスコントローラーを使ったシンセサイザーのソロでいい味だしてる。最後のエンディングのオブリは当然Ericで弾き終えた彼は客に向かって挨拶するが、実に満足そうだ。
え?なんでそこまでわかるかって?実は自分の持つのはほぼ同内容のDVDがついたカップリング盤(DVDも2枚組CDも別に売られていますが、その二つが一緒になったモノ。そう、ほぼ同内容のCDとDVDがあるというワケ。あれ?こんな話どっかで...
DVDの方は「ベストテイク」だとつながりが切れちゃうので、LA公演で統一されてます。ただDVDの方が1曲多いのは、カーテンコール1曲目にゲストのBilly Prestonの「Will It Go Round in Circles?」が入ってるから。Billyはここではハモンドのみならず軽快なダンスも披露してくれる。それを支えるEricらも実に楽しそう。
絵も音もベストなモノが楽しめる、円熟の、ライヴです。
【収録曲】
DISC-1:DVD
1. Key to the Highway
2. Reptile
3. Got You on My Mind
4. Tears in Heaven
5. Bell Bottom Blues
6. Change the World
7. My Father's Eyes
8. River of Tears
9. Goin' Down Slow
10. She's Gone
11. I Want a Little Girl
12. Badge
13. Hoochie Coochie Man
14. Have You Ever Loved a Woman? (愛の経験)
15. Cocaine
16. Wonderful Tonight
17. Layla (いとしのレイラ)
18. Will It Go Round in Circles? [Billy Preston]
19. Sunshine of Your Love
20. Over the Rainbow
DISC-2:CD
1. Key to the Highway
2. Reptile
3. Got You on My Mind
4. Tears in Heaven
5. Bell Bottom Blues
6. Change the World
7. My Father's Eyes
8. River of Tears
9. Goin' Down Slow
10. She's Gone
DISC-3:CD
1. I Want a Little Girl
2. Badge
3. Hoochie Coochie Man
4. Have You Ever Loved a Woman? (愛の経験)
5. Cocaine
6. Wonderful Tonight
7. Layla (いとしのレイラ)
8. Sunshine of Your Love
9. Over the Rainbow
Eric Clapton Official Website
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購入金額
6,000円
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購入日
2002年頃
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購入場所
vingt-et-unさん
2011/07/23
>Cream、「Layla(いとしのレイラ)」のDerek and the Dominos
この辺りが大好きで、レコードで持っております。
レビューを読んで久しぶりに聴きたくなりました。
cybercatさん
2011/07/23
Ericは音楽的にも私生活的にも実に波瀾万丈で、初期の曲の頃のファンは最近の曲(といっても近年ライヴ中心の活動ですので2000年前後が「最近」ですが(^^ゞ)に彼のプレイでなく、かつての彼の作風を期待するとまったく受け付けられないでしょうね。
それは判ります(^^)v
>レビューを読んで久しぶりに聴きたくなりました。
このレビューがvingt-et-unさんの記憶の引き出しを開けるきっかけとなったのなら、うれしいですw
kazさん
2011/07/24
Eric Clapton、間違いなくギターの神の一人でしょう。
cybercatさんのレビューを読んで、私も久しぶりに聞きたくなりました!
cybercatさん
2011/07/24
>cybercatさんのレビューを読んで、私も久しぶりに聞きたくなりました!
忘れていた曲をまた聴きたくなるのは、結構些細なきっかけで....
でもそのことがきっかけでまたその曲やアーティストの新たな面を見つけたり..
そんなきっかけになればうれしいです。
ありがとおぉぉぉぉぉぉぉぉおお!
退会したユーザーさん
2011/07/27
Nathan Eastのベースに映えるクラプトンのギター、また聴きに行きたいものです!
cybercatさん
2011/07/27
Steve GaddとNathan Eastの盤石のコンビが○、ですね。
退会したユーザーさん
2011/07/27
これって弾きパク?!ていう程完璧なプレイ!!!
いい音で音楽聴きたい。。。です!
cybercatさん
2011/07/27
ウルトラジャストタイム(前ノリでも後ノリでもない)Steve Gaddのプレイはそんな感じしますよね。