所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。アーティストが音楽的にも人間的にも大きな飛躍を遂げるときがあります。そんな刻を切り取った作品をご紹介していきます。

hiro。SPEEDのメンバー中最年少の高域担当メインヴォーカル島袋寛子。SPEEDは最近また再結成されたが、これは第一期解散後のソロ時代の作品。ソロ時代にはSPEED時代の延長路線のhiroの名とジャズヴォーカールのCoco d'Or（これは個人の名ではなくプロジェクト全体の名かもしれないが）を使い分けているが、これは前者の名義のアルバム。

延長線上と言っても、このアルバムは大きな転機の作品で、この後のCoco d'Orにもつながる萌芽も見える。ここからプロデュースが変わったんだよね。SPEED時代の伊秩弘将か、ファーストソロアルバムの葉山拓亮が、それまでのプロデューサーだったが、このアルバムは中島美嘉やChemistryも手がけ、後のCoco d'Orでも関わることになるCOLDFEETがプロデュースに入っている。

とりあえず初回限定のスリーブ仕様を押さえているのはおなじみさんには予想通りの展開で．．．

 

一番のお気に入りは、1曲目「ME AND YOU Riding Waves」。この曲がCOLDFEETプロデュース。2拍目裏で入るピアノのコードと、リバーヴの深さが頻繁に変わるドラムの打ち込み。淡々と続く打ち込みのベース、ブリッジに入るハープのような音のフィルインをバックに、hiroが英詩で歌う。それまでと比べて全然アダルト。この曲で彼女の良さを改めて知った。SPEEDの頃は「高い声出るなぁ～」という感心に過ぎなかったものが、感動に変わった瞬間。

続く2～5曲目は、葉山拓亮～伊秩弘将の既存路線となるが、6曲目の表題曲「Naked and True」がまた違う。縦ノリの打ち込みの曲なのだが、声の表情が大人っぽい。これはBoAや浜崎あゆみにも曲を提供するBOUNCEBACKの手になるもの。

同じBOUNCEBACKの作品の「ナミダ」も、コード展開が不安定な、長調短調を行き来する難しい曲を歌いこなしている。これらの新境地がとても良く、それまでの少女アイドルから完全に脱皮した。

このアルバムでホレました。

16曲目には喜納昌吉の「花」がシークレットトラックとして隠されているが、こういった曲も歌えるようになったのね、と。

hiroが、少女からオンナへの階段を駆け上っていた頃、のスクリーンショットです。

鏡の向こうには．．．？

【収録曲】
1. ME AND YOU Riding Waves
2. Confession
3. Notice my mind
4. Day After Day
5. Seaside Holiday & The Sun
6. Naked and True
7. CRAZY
8. Your Innocence
9. For a Long Night
10. Eternal Place
11. love you
12. ナミダ
13. 見つめていたい DJ Hasebe remix PART-1
14. しあわせの道
15. ON MY WAY
16. 花～すべての人の心に花を～（クレジット無しのシークレットトラック）

「ME AND YOU Riding Waves」