レビューメディア「ジグソー」

個人でも導入可能。コスパと信頼性を両立したUPS

三年ほど前、HDD故障から一年分のサッカー録画をブッ飛ばして以来、如何にして大量のデータを安全に保管するかに血道をあげてきた。

 

ハードウェアRAIDカードの導入、データ保管専用のストレージサーバ構築、バックアップ用テープドライブの導入と、何だかもう「最初っから鼻毛サーバーでも買っとけよ」的な努力を延々と続けてきた訳だが、最後の最後まで導入を躊躇っていたのが、無停電電源装置・UPSである。

 

本来なら、最も重視すべき電源供給系を最後に回すというのは、一応その手の仕事してる人間としてどうなのよ、という指摘は甘んじて受ける。

理由は単純、ちゃんとしたUPSって「高いもの」と思ってたからだ。

 

ただ、どうも東日本大震災以降、計画停電や電源供給の不安から個人でもUPSを導入する人が増えたようで、UPSの価格帯は一気に下がってきた。

APC製のちゃんとしたUPSが、まさか一万円台前半で買える時代が来るとか、5年前ならだれが予想しただろうか。

 

そういう訳で、ついに我が家のストレージ・サーバーにもUPSが装備され、データ保護に万全の体制が整ったのである。

更新: 2015/12/06
実用性

安価と侮るなかれ。機能は結構本格的。

製品外箱はこんな感じで、SOHO・個人向け製品のくせに業務用っぽさ全開。
段ボールの下に化粧箱でもあるのかと思ったが、ガチにこの箱の中に製品が収まっていた。

正直、重量のある製品梱包としては段ボール箱自体の質が絶望的に悪いので、これをそのまま送付用に使うと、高確率で角打ち破損が起こると思う。梱包については改善が必要。

 

 

製品外観。大きさとしては、スリムタワーPCを真ん中から真っ二つにしたくらい。
ただし、その重量は7.1㎏と見た目の大きさからするとかなり重い。

脚の上に落としたりしたら普通に大惨事なので、取扱には慎重を要する。

 

上に並んでいるスイッチは、左から”アラーム停止”、”電源ON/OFF”、”メニュー表示”で、正面部分にはステータス表示用の液晶パネルがある。

液晶部分はこんな感じ。
バッテリーの充電状態や、現在の負荷状態、入力されている電源の電圧などが一目で判る。
ちなみに、この製品「供給電源の電圧が不安定な場合、出力側で100Vに安定させる」機能があるので、コンセント電源の給電が安定しない場合などの安定化電源としても使える。

この価格帯で安定化機能が付いているのは、非常に有難い。

 

製品の付属品一式。
左から、UPS専用USBケーブル、電話線、管理ソフトウェアのCD、日本語マニュアル。

USBケーブルは片側がRJコネクタとなっている専用品で、UPSとPCを繋いで管理・連動を行う。
電話線はサージ保護ポートを使う場合に使う。

 

背面部分の構成は、パッと見だと判りにくい。

 

マスタコンセントは「UPSのシャットダウン連動機能」により、安全にシャットダウン(OSのシャットダウン機能を自動的に起動する)される。ここに、最優先保護対象のPCやサーバーを繋ぐ。

 

マスタ連動コンセントは、マスタコンセント側のシャットダウンに連動して電源が切れる。
主にモニタ用やマスタコンセントに繋がっている外付HDD用。

 

バックアップコンセントは給電機能が生きてる限り給電され続けるもので、非連動で切らないとまずいものを繋ぐためのポート。連動シャットダウンが使えないNASなどを繋ぐ。

 

サージ保護のみコンセントは、バッテリー給電の対象でないが、雷サージなどは保護される。
ここは本来予備みたいなものだが、我が家ではX99のメインPCが接続されている。

 

んで、まず使い始める前に必ずやっておくことが一つだけある。
バッテリーの消費や劣化を抑えるため、UPSのバッテリーは購入直後だと接続されていない。

そのため、まず最初にバッテリーを接続してやる必要がある。
まず、最初にこの黄色いシールをはがして、その下にある蓋を外す。

 

蓋を外すとバッテリーが取り出せるので、バッテリーと赤い電源ケーブルを引き出す。
このケーブルとバッテリー端子を繋ぐ訳だが、近づけるだけで火花が飛ぶほどの電力がバッテリーには充電されている(半分くらい充電しておくほうが、バッテリーは長持ちする)ので、意図しない短絡には要注意。

 

このように、バッテリーに端子を根元まできちんと接続する。
このとき、パチっと火花が確実に飛ぶんだけども、ビビらず根元まで挿すこと。

 

接続が終わったら、製品の経年劣化についての表示シールに使用開始年月を必ず書く。
割と忘れがちなのだが、UPSは装置寿命を超えると割とガチに危ないので、必ずこの寿命を守らないと、結構痛い目を見ることになる。

 

・・・・過去に居るんですわ。
寿命の忠告したのに「使えるから大丈夫」って言って、寿命超えて三か月もしないうちに全断障害起こして1Uサーバー12台中4台をぶっ飛ばしたお客様が(汗)

 

こちらは現在の設置状態。

MiniITXケースでは最小クラスの製品より、頭一つ低い。

ただし、奥行きは結構長めなので設置場所はそこそこ取られる。

 

設置が終わったら、連動シャットダウンするPCにUSBを配線し、付属アプリのインストール・・・・

と言いたい所なのだが、CDに収録されているアプリはWindowsXP用らしいので、出来るだけ最新版を突っ込む必要がある。

 

なお、現在の最新版はこちら。

 

とりあえずアプリをインストールして起動すると、USB接続したUPSが自動認識する。
このままの設定でも問題無く利用出来るが、UPSのアラーム鳴動を夜間抑える設定がデフォルトでONなので、夜中でも叩き起こしてほしい人なんかはここでオフしておくと良い。

 

こちらがその設定画面。

我が家では異常検知したら五分以内に自動シャットダウンに設定してあるので、昼間も含めて自宅にいない時間帯+睡眠時間帯は一切アラームを鳴らさないようにしてある。

 

 

UPSの現時点での負荷率表示。
正面のステータス液晶でも見ることが出来るが、より詳細な負荷率が表示されるため、あとどれくらい機器を繋いでも大丈夫か、負荷状態が増えた際の余裕はどの程度あるかなど、より厳密な管理が出来るようになっている。

 

UPS導入の際、割と気になるのは「本当にUPSが正常動作してくれるか」だったりする。
まあ、手っ取り早いテスト方法は「コンセントを引っこ抜く」事だが、流石にそれを本当にやっちまうと、いざ動かなかった時には「接続機器の電源断」という形で返ってくることになるので、リスクが結構高い。


そこで、PowerChuteにはコンセントを抜かなくてもバッテリー移行動作がテスト出来るモードが搭載されている。

電源負荷が大きすぎたり、バッテリー状態が悪い等の理由で移行出来ないと判断した場合は、移行テスト手前で停止してくれるので、安心してテストすることが可能だ。

更新: 2015/12/06
総評

文句なしに、個人導入向けとして最適。

個人でUPSを導入するということ、それ自体が大袈裟といえば大袈裟かもしれない。

しかし、UPSの導入には実のところ個人でも様々なメリットがある。

 

まず、電源周りの安定性が高まる。

RS550には給電安定化機能があるので、常にきっちり100V前後の電圧がPCに供給されるため、電圧降下による動作不良や、動作不安定という事例が起こらなくなる。

 

次に、落雷などによる機器故障のリスクを大幅に軽減出来る。

UPSの持つサージ防止機能は、電源タップなどに搭載される簡易的なものと異なり、きちんと「接地を取れている場合」はかなり強めのサージでも食い止める事が出来る。

 

ちなみに、接地を簡単に家庭用配線で取る場合は、エアコンのコンセントにあるアース線端子から目的のコンセントまで延長配線することで、殆どの場合は地表との電位差をゼロに出来る。

引き込み工事は業者に頼むことで可能だが、私は以下の方法で配線している。

 

・ブレーカーを切り、配線先のコンセントと、エアコンのコンセントの蓋を外す。

・エアコンのコンセント側から、ビニール紐を突っ込む。

・配線先コンセントの口に、掃除機を当てて強で吸い込む。

・ビニール紐が吸い込まれて来たら、エアコン側でビニール紐を切る。

・切ったビニール紐に、アース線をしっかりと縛り付ける。

・ビニール紐を配線先コンセントからゆっくり引いて、アース線をエアコン側から引っ張り込む。

 

配管が複雑な場合は失敗することが多いが、部屋の中で引きまわす場合はこれで割と上手く行く。

アース線は固いので、ゆっくり慎重にエアコン側からも送り込む必要があるが、引っかかったら少し戻してもう一度と繰り返すことで、通線は可能。

 

閑話休題。

また、主目的である停電によるHDD障害やデータロストといったリスクは、ほぼ完全に撲滅出来る。

高価なシステムを構築している人なんかは、PC以外でも導入メリットは大きいはず。

 

それらの安心が、二年保証ついて15000を切る価格で手に入るなら、正直安いものだ。

機械は買い直せるが、データは壊れたら取り戻すのは難しい。

15000円が「必要なコスト」と割り切れるなら、UPSの導入は個人でも大いにアリなのである。

  • 購入金額

    14,470円

  • 購入日

    2015年12月06日

  • 購入場所

22人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (7)

  • れいんさん

    2015/12/06

    UPSのご利用は計画的に

    なんでか初めて見るものの感じがしないのはなぜかしわ
  • Vossさん

    2015/12/06

    私も業務で二度ほど納品した・・・・(笑)
  • とっぷりんさん

    2015/12/06

    APC製のUPSが1万円台で出ているとは知りませんでした。
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