この製品の最大の特徴は、安価かつ小型でありながら「フルHD解像度で撮影が出来る」ということ。逆に言えばそれ以外には何もないのです。
確かに撮影される動画ファイルの解像度は1,920×1,080Pixelであることは事実ですが、レンズの描写能力も撮影素子の能力も、残念ながらフルHDという解像度に見合ったものではありません。
画質については、そもそも本格的な水準で見るべきものでは無いということは理解していますが、ある程度見栄えの良い映像が撮れるのは、撮影条件にかなり恵まれた場合だけでしょう。
例えば、以前季節外れの積雪があったときに、雪の降る風景をこのカメラを使って撮影したことがあるのですが、出来上がった映像は降っているのが雪なのかどうかすら判別できません。露出を補正する手段がないため、出来上がった映像は目視した風景よりも遙かに薄暗く映ってしまいます。
晴天の日など、十分に光量が確保された状態で、かつ微細な描画が必要ないようなシチュエーションであればそれなりに活用する手段もあるかと思うのですが、それほど恵まれた撮影条件がどれだけ存在しているのかということです。
もっとも、価格や製品としての位置付けを考えれば、このような仕上がりになるのはむしろ当然といえるのかもしれません。この製品がこれ以上の水準の性能を発揮してしまったら、ローエンドクラスの家庭用ビデオカメラの市場を食ってしまうでしょうから。
フルHDという言葉はあっても、それで高画質を連想することさえなければ、価格と性能のバランスを考えればちょっとしたおもちゃとして十分評価に値する製品でしょう。ただ、カメラとしての性能でスマートフォン内蔵のカメラに勝てるのかというと微妙な出来であり、それがこの製品の存在意義をより微妙なものにしてしまっているようにも思います。
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購入金額
5,800円
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購入日
2011年03月03日
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購入場所
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