厳密にはModel Mの末期モデル「42H1292」のUnicomp版「42H1292U」の後継品になります。
Model M末期からは、その製造コスト削減の流れが明確になり、使用部材の廉価化、構造の簡略化が図られており、熱心なファンの方からは批判の対象にすらなっているようです。
【buckling-spring keyboardとは】
本製品(Model M系)は、スイッチとしてはメンブレン(膜接点)方式のキーボードです。
しかし、その名の通りキーと接点の間にある「スプリング」を「歪ませて」スイッチを押す構造になっていることが最大の特徴です。
まずキーを押し込んでいくと、若干角度の付いた内部のスプリングが斜めに撓っていきます。
そして限界まで撓った時に、「カキン!」とスプリングが座屈し、スイッチを押す仕組みになっています。
キーを打った事が確実に入力者に伝わるため、その独特な打鍵感、歴史的経緯を含めて多くのファンが居るキーボードです。
しかし打鍵時はそれなりの騒音となり、キーの重さとあわせて、好き嫌いが分かれるキーボードかと思います。
※私の疎い説明では恐らくどのような構造かさっぱりわからないと思います。
K.Tanaka //氏の「Qwerters Clinic」の説明が非常にわかりやすく、参考になります。
http://park16.wakwak.com/~ex4/kb/tech_bucklingspring.htm
【Unicomp社について】
1991年、IBMのプリンタ部門を分社化する形でLexmarkが設立されました。
その際にModel Mを代表とするキーボード部門も同時にLexmarkに譲渡したようです。
そして1996年、このLexmarkからキーボード部門を製造技術を含めて買収したのがUnicompとなります。
実際、Unicompが2000年頃まで販売していたキーボードは「IBM」ロゴ付きのModel Mそのものでした。
現在では製品ロゴも「Unicomp」になっており、年々コスト削減の影響がある様ですが、その本質は変わっていません。
【Unicompから直接購入】
細かく仕様を選びたい、円高という状況がありましたので、Unicompから直接購入しました。
下記Unicompのオフィシャルサイトから直接購入できます。
http://pckeyboards.stores.yahoo.net/keyboards.html
本体$69、送料はFedExで$59でした。
送料がそれなりに掛かりますので、単品購入でしたら国内でUnicomp製品を扱っているショップから購入した方が安いかと思います。(希望の仕様で在庫があるならば)
私は2個同時購入しましたが、送料は$59のまま(何個まで一律かは未確認)でしたので送料込みで考えても若干割安で購入できました。
対応も迅速で、翌営業日には担当者から発送連絡、LexingtonからMemphis~Anchorage経由で3日程度で到着しました。
【製品URL】
http://pckeyboards.stores.yahoo.net/cus101usenon.html
【基本仕様】
基本は「英語101Keyboard」ですが、「キースイッチ」、「本体色」、「接続ケーブル」をカスタマイズ可能です。私は下記仕様で発注しました。
Key Switch: Buckling Spring
Color: Black with metallic gray buttons
Cable: PS2 Mini-din
【パッケージ】
簡素な茶箱です。内部には緩衝材も入っており、輸送時の衝撃も考慮してあります。
過去にUnicompからキーボードを購入した方の情報に比べると、発泡スチロールなどの緩衝材が若干省略されているようです。残念ながらコスト削減の影響がここにも見られますね。
そのためか、手元に届いた時点ではキーがひとつ浮いていました。
問題なくはめ込めましたので結果OKです。
【製品本体】
非常に大きく、重いキーボードです。これでも往年のModel Mはもっと重かったとか...
101配列なので、Windowsキーなどはありません。
「UNICOMP」ロゴです。ロゴ真下の赤●は遠目にLEDっぽく見えますが、ただのデザインです。光りません。
横方向から眺めてみました。所謂Curved Sculptureです。
【PCへの接続とドライバの導入】
PS/2接続、スタンダードな英語101配列キーボードなので、接続するだけですぐ使えます。
英語配列なので、それまで日本語配列キーボードを使用していた場合はドライバの入れ換えが必要となります。
【Buckling Spring 独特の打鍵感】
早速、キーを叩いてみます。
う~ん。良いですね。
指に伝わるスプリングの確かな抵抗感。
ある一点を超えた瞬間に、打ち抜き感と同時に文字が入力されます。
そして力を抜いた指をスプリングが押し戻します。
「タイプライター」というにはまだまだ軽い打鍵感です。
が、この独特さは癖になります。
一点、気になったのは「スペースキー」です。
その大きさの為か、このキーのみ全く打鍵感が異なります。
「ガスン!」といった感じの、少し品の無い空気の抜けるような音がします。
【+評価】
・IBM伝統の「buckling-spring」は独特の打鍵感、キー入力が楽しくなる
・重い筐体による入力時の安定感
・その構造による高い耐久性
・シンプルな101配列、余計なキーがなくスペースキーも長い、まさに「スペースバー」
・PS/2接続による安心感(仕様変更でUSBも注文可能)
【-評価】
・日本国内での入手性が悪い
・大型な筐体のため、十分な設置スペースを要する
・人によっては好みが分かれる打鍵感(キーの重さ、騒音)
・少なからずコスト削減の影響が随所に見受けられる
独特の打鍵感、101配列という必要最小限のシンプルな構成。
クリッキーな打鍵感を求める方、当時のIBM Model Mに思いを馳せる方に、是非使って欲しい製品です。
本製品と同じ「質実剛健」なキーボードである「東プレ Realforce」とは全く対極の打鍵感です。
そのキーの重さ、騒音は使用する人、場所を選ぶかと思います。
オフィスでのデータ入力作業のような用途には、あまりおすすめは出来ないと思います。
キーボードを「ガシ!ガシ!」打たないと文字を入力した気分にならない方におすすめです。
コスト削減の波に逆らえず劣化しているとは言われていますが、この様な質実剛健なキーボードが現在も製造、販売されている事に素直に喜びを感じます。
欲を言えば、日本語106配列で現行の「buckling-spring keyboard」が存在すれば感無量なのですが、流石に欲張り過ぎでしょうか。
何れにせよ、キータッチは私の理想に限りなく近いものでした。
現行で販売されているキーボードの中では最高峰のひとつだと思います。
-
購入金額
6,000円
-
購入日
2010年09月頃
-
購入場所
ネイエフさん
2010/09/14
確かに耐久性はすごそうです
置き場は選びそうですが・・・
Nehaさん
2010/09/14
おぉ~、ブラックのキーボードなんてあったんですね。
でも、このキーボード系を慣れてしまうと…他のものが
使ったときの打鍵感(?)が、物足りなくなってしまうと思います。
…個人で使う分には、いいですが、会社で使ってしまうと
五月蝿がられることもあるかも・・・
s3zm4rさん
2010/09/15
>>ネイエフさん
見た目も作りも本当に豪快で、十分な設置スペースが必要になりますね。
しかし、それを補って余りある独自性と魅力を持ったキーボードだと思いますよ~
>>Nehaさん
数年前にはキートップも含めてブラックモデルがあったのですが、現在は白モデルと黒筐体に灰色キーの2種類ですね。
このキーボードの心地良さは、他に代え難いものがありますね。
ですが会社では... まず使えないですねw