GIGABYTE i-RAMは2005年9月に発売されたSDRAMをSATA接続のディスクドライブとして利用するための拡張カードだ。
形状はPCI接続の拡張カードの体をなしているが、PCIバススロットからは本体を駆動する為の電力が給電されているのみで、データの通信にはカード上に用意されたSATAポートを利用する。
BIOSからは通常のHDDとして認識されるので、特別なドライバ等は導入に当たって必要ない。
本製品のSATAは第一世代のSATA互換となっているので、転送速度は1.5Gbpsに制限される。
これはDDR-SDRAMの転送レートを下回るので、驚くほどの高速性は期待できない。
ちなみに以後登場した後継製品はDDR2、SATA2対応製品も登場したと記憶している。
また、SDRAMは電源が供給されている間のみしかデータを保持する事が出来ないのでPCの電源を切ってしまうと本製品上に保存したデータは消失してしまう。
基板上には一時的にデータを保持する為のバッテリが用意されているが、その仕様がハッキリしない為バッテリの寿命が尽きると通電時のみしかドライブとしての体をなさなくなる。
製品の仕様にはバッテリにより16時間のデータ保持が可能であるとされているが、現状で既にバッテリは寿命を迎えている為、筆者の環境では少々使い方が限られてしまっている。
製品画像からもわかる通り、本製品はSDRAMスロットを4本装備している。
その対応容量はスロットあたり上限2GBとされ、異なる容量、速度であっても動作するとされている。筆者の環境ではDDR-333、DDR-400の速度混在、256MB、512MB、1GBの容量混在で動作を確認出来ている。
2GBのモジュールを用意できれば8GBの高速ディスクとして運用出来るが、当時は2GBのモジュールは一般に目にする事はほぼ無く、あっても大変高価であった為現実的では無かった。
結果として4GBの高速ディスクとして運用するのが現実的な最大容量であった。
本製品はメモリスロットが4本装備されているのだが、基盤に対し斜めに固定されたスロットにメモリモジュールを装着するとカード全体の厚みが1スロットを超えて隣接するスロットに干渉する。
またヒートスプレッダやヒートシンクを装着したモジュールでは隣接するメモリスロットとの間隔が狭い事もあり装着が困難になる事がある。
過去のメモリ資産を流用する時にはこの点に注意しておきたい。
ドライブとしての動作はメモリの相性などが無ければ問題なく動作し、その速度は素晴らしいものであった。
SATAの転送速度限界に足を引っ張られる形でシーケンシャルリード、ライトは頭打ち感があるが、ランダムリード、ランダムライトの速度は現行の高速SSDと比較しても大差ない速度が出ていた。
問題はその使い道だが、筆者はWindowsのページングファイル格納場所として使用した。
電源を切ってしまうとその内容が失われる為、ページングファイルのストア、リストアを考える必要はあるが、活用のTipsはネット上に多く散見されるので興味のある向きは一度確認してみると良いだろう。
他にもブラウザの一時ファイルを格納したり、アプリケーションのテンポラリドライブとして使う等の用途が考えられるだろう。
本製品はメモリインターフェイスの世代交代、SATAインターフェイスの世代交代、SSDの登場など端境期特有の特殊なデバイスと言える製品だ。
だが、RAMディスクの優位性は現在でも十分に生かす事が出来、結果いくつかの後継製品(開発メーカーが異なる)が登場するなど一部に需要がある製品である事もまた事実だ。
高速性を生かすだけで無く、パーツの入れ替え等で延命を図っている自作PCユーザーには遊び甲斐のある製品であろう。
一般的に広がる製品では無いが、自作PCを趣味とするユーザーには少なからず刺さる製品では無いだろうか。
工夫次第で色々な遊び方が出来る
物理的な問題や、電源供給の問題などクリアした方が良い問題はいくつかあるが、工夫でカバーする事はできる。
そういった工夫は自作PCならではの楽しみの部分とも言える。
誰にもお勧めできる製品では無いが、遊び甲斐のある製品であると言えるだろう。
動き出してしまえば快適そのもの
容量的な制約はつきまとうものの、使い道次第ではいろいろな応用が利く。
どう運用するか決めて、動作してしまいさえすれば使い心地は大変に良い。
あらゆる面でユーザー次第と言える。
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購入金額
10,000円
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購入日
2009年10月15日
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購入場所
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