レビューメディア「ジグソー」

ファンレス構造のAV向けHDD

この度、zigsow様とアイオーデータ機器様のご厚意により、プレミアムレビューのレビュアーに選出していただきました。
この場をお借りして御礼申し上げます。
外箱
外箱


AVHD-U1.0Qは、AV向けの静音HDDとなります。
シャープ「アクオス」・東芝〈レグザ〉対応 テレビ用USB接続ハードディスクとなっていますが、USB2.0接続のHDDですので、torneやその他のUSB外付けHDDに対応した機器であれば問題なく接続可能と思われます。


■外見

ブラックを基調としたスクエアなボディーで、横置きと相まってAV機器とマッチするデザインです。
前面にあるボタンやLEDもさりげなく配置されており、シンプルさが際だっています。
前面
前面


背面にはACアダプタとUSBのコネクタがあります。
放熱用のエアホールが多数設けられているのが分かります。
背面
背面



■ファンレス・防振構造

AV用途向けのHDDであり、天敵となるノイズを押さえるためにファンレス構造となっています。
さらに、HDDの固定には防振ダンパーが用いられており、HDDの振動を抑え込むことでさらなるノイズの低減を図っています。
このため、本体からのノイズはHDDが発する回転音とシークノイズのみとなっています。

・ファンレスでもHDDを冷却する、煙突効果を利用したエアフロー構造

ファンレスHDDの最大の課題は熱対策です。
HDDは熱に弱く、高温になるほど壊れやすくなります。
ファンレスのHDDの場合はケース内部の換気が難しく、どうしてもケース内部に熱が籠もりやすくなってしまいます。
アルミ製のケースを採用して冷却効果を謳っている製品もありますが、HDDの熱をケースを通して放熱するためにはケースとHDDが接触している必要があります。
私が今まで使用してきたこの手のケースでは、HDDと接触する面積が非常に狭いためケース表面のアルミに熱を伝えられない場合が多く、HDDが異常に発熱するなど設計に問題があるHDDケースも少なくありません。

AVHD-UQシリーズの場合、ケースを通じた放熱ではなく煙突効果を利用したエアフローによる冷却を取り入れています。
煙突効果とは、暖まった空気は密度が軽くなるために上昇する熱対流のことで、この効果を利用して空気を自然に循環させて冷却を行います。
AVHD-UQシリーズでは、ケース底面に設けられたエアホールから外気を取り込み、HDDの熱で熱くなって上昇した空気をケース背面にある排気口から排出することで、ファンレスでの運用を可能にしています。
エアフロー
エアフロー


ケース底面からのエアフローを確保するため、ケースのゴム足は約6mmと比較的高さがあります。
※ゴム足を低いものに交換したり、背面のエアホールを塞いだりすると、冷却効率が悪化しますので注意が必要です。
裏面
裏面


・振動を押さえ込む防振ダンパー

HDDの内部ではプラッターと呼ばれるディスクが5,000回転/分程度の速度で高速回転しているため、モーターやプラッターの回転による振動・騒音は不可避となります。
また、ヘッドが情報を読み取るために移動する際に発生するシークノイズも無視できません。
テレビなどを置くTVラックは天板などの強度が必要な場所はパーティクルボードやMDFなどの素材を使っていますが、それほどの強度が必要ではない中段の棚板などでは中空構造で密度が低く、安価な合板を使っている製品も多々見受けられます。

このような密度が低い板の上にHDDを置くと、HDDの振動が伝わって棚板が共振し、ノイズが増強されてしまう場合があります。
後からゴム足を付けるなどにより対策も可能ですが、AVHD-UQシリーズでは防振ダンパーを介してHDDを固定していますので、ケース内部で振動を押さえ込み、外部には振動が伝わりにくい構造となっています。
振動が外部に伝わらないということは、逆に外部の振動(低音再生時の振動など)がHDDに伝わりにくいというメリットもあります。
さらに、本体のゴム足で振動を吸収しますので、設置場所を問わない防振構造となっています。
防振ダンパー
防振ダンパー



■電源連動

本体の電源がOFFになった場合に、自動的にHDDの電源もOFFになる電源連動モードを搭載しています。(おそらくUSBの+5Vを監視していると思われます)
電源連動モードですが、torneと地デジ・BSデジタルチューナーHVTR-BTLで試してみましたが、どちらも正常に動作しました。
ファンレス構造ということもあって、本体を使用していない時の電源連動機能はHDDの寿命を延ばすことを考えると、必須かと思います。


■LEDセーブモード

照明を落としての鑑賞や夜間に気になるのが、LEDの点滅です。
HDDケースによっては青色LEDが燦然と輝くものもありますが、AV用途で使うには鬱陶しいだけです。
私の場合はHDDケースを一度分解し、LEDランプのクリアーパーツとLEDの間にPPC用紙を切り取ったものを2枚ほど挟んで光量を落とすなどの対策をしていたりしますが、面倒です。
AVHD-UQシリーズは電源ボタンを短押しすることで、LEDをノーマルモードとLEDセーブモードを切り替えることが可能です。

LEDノーマルモードでは電源ON時には薄暗い青色、読み込みは明るい青、書き込みは明るい赤が点灯します。
LEDセーブモードではアクセス時の点滅はなくなり、電源ON時にはノーマルモードよりも暗い青色が点灯します。
モードの切替は、フロントパネルの電源ボタンで簡単に可能です。
なお、本体の電源をOFFにする場合は、約5秒の電源長押しでOFFになります。


■すぐに使えるFAT32フォーマット済み

PCに接続したところ、FAT32で既にフォーマット済みでした。
Windows7でFAT32でフォーマットするには、専用のツールを使わないといけないのですが、最初からフォーマットされているのは初心者の方でも使いやすいと思います。
簡単なアプリケーションのインストールでも、始めての方だと分かりづらいということもあるかと思います。
その点、買ってきて繋げるだけでOK、というのは隠れたメリットと思います。
なお、FAT32のフォーマッタはアイオーデータ機器のWebサイトからダウンロード可能です。
FAT32
FAT32



■分解してみる!

では、またもや早速分解してみましょう。

【注意】分解すると保証を受けられなくなりますので、ご注意ください。

背面にあるネジを2つ取り外すだけで、拍子抜けするくらい簡単にカバーの取り外しが可能です。
エアフローの関係でHDDの周りには少しゆとりが設けられています。
ケースを開けた状態
ケースを開けた状態


使用されているHDDはSAMSUNGのHD103SIとなります。
5,400rpm、500GBプラッタ採用、キャッシュ32MBの一般的な1TBのHDDです。
回転音、シーク音共に割と低めで、気にならないレベルでした。
※出荷時期などにより、搭載されているHDDのメーカー、型番が異なる場合があります。
ハードディスク
ハードディスク


HD103SI詳細情報
http://www.samsung.com/ae/consumer/computers-peripherals/...

HDDは防振ダンパーを介して固定されています。
HDDを固定するネジは防振ダンパーに取り付けられていますので、直接フレームには接触していません。
この構造により、HDDの振動を防振ダンパーが吸収し、振動とノイズを抑え込んでいます。
裏側にあるネジはHDDの型番などが書かれているラベルの裏側に隠れていますので、HDDを取り外すにはこのプレートを剥がす必要があります。
ラベルを剥がす前
ラベルを剥がす前

ラベルを剥がした状態
ラベルを剥がした状態


HDDを取り外してケースを確認してみると、絶縁用のビニールテープやHDDにたまった静電気をケースに逃すための素材が貼り付けられていたりと、丁寧な加工が施されていました。
防振ダンパーにHDDを固定するため、HDD本体がフレームと接触していないための対策だと思われます。
HDD取り外し後
HDD取り外し後


電源回路は熱対策上の観点から、外付けのACアダプタとなっています。
ファンレス構造のため発熱する部品は出来るだけ内蔵することを避けるべきですので、理にかなった設計となっています。
ACアダプタ
ACアダプタ



■地デジ・BSデジタルチューナーHVTR-BTLで使ってみる

接続はUSBで繋ぐだけですので、とても簡単です。
HDDを使って録画するには、HVTR-BTL側でフォーマットを行う必要があります。
HVTR-BTLにAVHD-U1.0Qを繋ぎ、「ディスクの初期化」を行うだけで利用可能になります。
ディスクの初期化にかかる時間は数分程度ですから、すぐに使うことが出来ます。
あとは番組表から録画したい番組を選んで、録画予約をすればOK。
とても簡単に使用することができました。
HDD初期化
HDD初期化



■torneで使ってみる

torneでも使ってみましたが、こちらも問題無く動作可能です。
電源連動機能でtorne/PS3と連動し、待機状態からの電源連動、録画共に問題ありません。
torneはFAT32でフォーマットされたHDDが必要なのですが、前述のようにAVHD-UQシリーズはFAT32でフォーマットされていますので、買ってきてそのまま繋げば使用可能です。
トルネで初期化
トルネで初期化



■PCで使ってみる

USB2.0のHDDとして、PCでも問題無く使用可能です。
ベンチマークを測定したところ、一般的なUSB2.0のHDD同様USB2.0の速度がボトルネックとなり、30MB/sあたりが上限となっています。
気になった点としては、ケースのエアフロー構造上、横置きでしか使えませんので、設置場所が少々問題かな、と思いました。
AV用途であれば、横長の機器が多いのでまったく気になりませんが、私の場合PC周りは割と煩雑というかものが多いため、縦置き機器でないと設置が難しかったりします。
とはいえ、本来はAV用途のHDDですので、マイナスポイントとは思いません。
Crystal DiskMark
Crystal DiskMark



■付属品など

USBケーブルとACアダプタが付属します。
ACアダプタは他の口を潰さない、横長の形状ですので、取り回しが簡単です。
USBケーブルは2mと長いため、AV機器との配線も楽々可能です。
TVなどは割と高い位置にUSB端子がある場合などがあるため、長めのUSBケーブルが付属する点はありがたいですね。


■総評

実際に使用してみたところ触れないような温度になることはなく、煙突効果を利用したエアフロー構造が効果的に効いていると思われます。
さすがにファン付きのHDDよりは熱を持ちますが、十分に実用的といえるかと思います。
ファンレスの効果は大きく、当たり前ですがHDDのノイズしか聞こえません。
HDDも低回転のものが使用されていますので、ノイズ量としてはきわめて低いレベルに押さえられています。

値段もPC用のHDDとほぼ同じ程度ですから、TVやtorneなどのAV用途で使う場合にはAVHD-UQシリーズは有力な選択肢かと思います。
もちろんPCで使うことも可能ですし、簡単に分解可能ですからAV機器で使わなくなったら中身をPCに内蔵、なんていう使い方も可能です。
USB接続の静かな外付けHDDを探している方には特にお勧めです。

24人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (11)

  • リーダーさん

    2011/06/18

    ふおおお!
    バラしてるwww
    内部の防振設計とか見たいとは思いましたが
    保証外になってしまうのと、チキンなのでできませんでした・・・w
    さすがちょもさんです!
    Cooool!!
  • ちょもさん

    2011/06/19

    リーダーさん:
    分解すると保証が効かなくなる上に、そもそもレビューを書くためにお借りしているものをいきなりバラしていいのか…という気もするのですが、やはり中身の構造が気になる!ってことでおもむろにバラしてしまいました。
    簡易的な構造の防振ダンパーですが、構造もしっかりしていてきちんと機能するようになっていました。
    AV用にはうれしい設計ですよね。
  • aoidiskさん

    2011/06/19

    よさそうだな。

    中身まで見せてくれるなんて、見てしまうと安心感というか

    なんか、ほっとしました。

    ありがとうございます。
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