レビューメディア「ジグソー」

今までSSDを使ってこなかったことを酷く後悔しました。

この様な機会を下さったzigsow様、Intel様、プレミアムレビュー関係者の皆々様、心より感謝申し上げます。初めてのSSDですが、SSD導入を迷われている方々と同じ視点に立ち、新鮮な気持ちでSSDをレビュー出来たと思います。

応募時にはシステムドライブとして活用する事をテーマとする旨で応募をさせて頂いたのですが、後発の160GB×4 RAID0という題材に非常に心を動かされ、『ストレージとしてのSSD』という課題に関してもレビューをさせて頂きました。

それでは、しばらくの間おつきあい下さい。


序章:SSD組み込み
一章:ストレージとしてのSSD
二章:ソフトウェアインストール速度
三章:インテル Data Migration Softwareによるデータ移動
四章:インテル SSD オプティマイザー
五章:SSDベンチマークとPC・各ソフトウェア起動時間
終章:結論








SSDの組み込みは非常に簡単だ。
普通のHDD組み込みと全く手順は変わらず、実際やらなくてはいけないのはSATAケーブルでマザーとSSDを繋げ、電源とSSDをSATAパワーケーブルで繋げるだけ。好みに応じてマウンターでシャドウベイに配置すれば良い。

しかもこの商品にはSATAケーブル・SATAパワー・マウンターとすべて付属しており、何も買い足すことなくデスクトップにインストールできるのが嬉しい。



数分と掛からずに取り付ける事が出来た。

データストレージとして使用する場合はこのままフォーマットなどし、普通のドライブとして利用する。システムとして今までのHDDの環境を移行したいのであれば、intel Data Migration Softwareなどを用いる事になるのだが… 詳しくは第三章で話す事になる。

まずはストレージとして利用する。




ストレージとしてのSSDは、例えばオーディオマニアの間で注目を集め始めている。ストレージをSSDにする事は直接的なノイズ源排除と言えるからである。CDやHDDは可動部分の塊であり、音も出せば振動もし、音楽再生には不利な部分が多い。対してSSDは無音無振動、データ転送も高速である。そんなバックグラウンドを持ち、実際、オーディオ用SSDストレージはzigsowからも既に発売されている。


さて、今回は無音無振動に関してではなく、データ転送の高速性をストレージとしてどう生かしていけるかを検討してみたい。私のレビューで頻繁に登場する動画編集がまたテーマとなってくる。

今回行う検証のバックグラウンドを解説する。
使用するソフトは Adobe After Effects のみである。

作る動画は通称『タイムラプス』あるいは『微速度撮影動画』と呼ばれる物で、数秒~数時間に一回だけシャッターを切り、それを1秒に約24枚ほどの速度で再生させると、まるで時間が早送りされているかのように見えるという動画である。データが残っているのが数年前に撮影したものだったので、スキルの低さが丸見えで恥ずかしいが、それを使って検証していく。

参考までにこれが今回検証に使ったタイムラプスである。



まず、何がどう検証になるかと言う事を説明する。
タイムラプスはその性質上数百枚の画像をパソコンで連続的に表示させる事になる。実際公開する時は既に動画としてレンダリング済みの物であるからPCに負担は掛からないが、編集時はリアルタイムでその処理をさせる事になる。

編集時に『RAMプレビュー』と呼ばれる操作をし、メモリーに対して動画がすべて書き込まれるまでの時間を競ってみたい。『RAMプレビュー』とは、HDDないしSSDからデータをメモリーにキャッシュとして貯めていく行程であると考えてもらって良い。

今回使用するのはフルHDに編集した一連のtiff画像で、1枚11.8MBという大きさになる。それを23.976fpsというフレームレートで処理すると、1秒間に282.9168MBという密度のデータをメモリに書き込むになり、そのデータを保存しているストレージの読み取り性能に大きく処理時間が依存する。

例えば読み取り性能が100MB秒の性能を持つHDDにデータが入っていた場合、1秒間の動画をメモリーに保存するのに2.83秒掛かってしまう。対して250MB秒の性能を持つSSDであれば、その処理は1.13秒で終わる事になる。結果として、20秒の動画をメモリーに保存しておこうとなれば、HDDでは56.6秒掛かっていたのが、SSDでは22.6秒で終わると言う事になるはずである。

これは例えばCPUを変えたりする以上に直感的な時間短縮になる。無論、あくまでも『理論的には』で有るために、今回それを検証する。万全のためにRAMプレビュー実行前にすべてのキャッシュを消去し、メモリーもクリアした。



この動画の通り、結果として25%ほどの時間短縮につながった。
この結果はSSDのシステムとしてではなく、純粋なデータストレージとしての優位性を明らかにするものである。

が、これは私が予想していたほど大きな変化ではない。
スペック表記上の差異程の結果が得られなかったのは私が思っている程システムが単純ではなかった部分もあるだろうが、例えば現段階でのSSDとHDDの差ではこの程度が限界なのかもしれないと考えることも出来てしまう。もし今後SSDをRAID0などで組むことがあれば結果を更新していきたい。




SSDとHDDに同じソフトウェアをインストールし、完了までの速度を競う。
今回はAutoCADおよび3dsmaxをインストールし、自動処理が始まってから終わるまでの間の時間を見る事にする。

一応DVD性能によるボトルネックを避けるために、一度DVDを展開し、RAMDISKに丸ごと保存し、そこからのインストールを行った。

動画を用意したかったのだが、動画時間が長くなるだろうと予想し、その場合カメラの素子が熱を持ってしまうと判断たため、データだけ取ると言う形担ってしまった。実際はそこまで時間が掛かることも無かったのだが…。

結果、
あまりSSDの優位性が見て取れる結果にはならなかった。
さらに、現実ではDVDからのインストールとなり、このデータをとる前に数回試した限りでは目立った差も生じず、むしろSSDへのインストールの方が時間が掛かってしまった例もあった。(DVDの機嫌に左右されているのではないか。)実際問題としてSSDへのインストールの優位性は感じられない。

ただし、そもそも『書き込みを減らしていく』というのが現行SSDの鉄則であるからして、そう頻繁にSSDに対してインストールを行うことも無いだろう。




このソフトウェアはインテル純正のHDD・SSD間のシステムデータ移行ソフトである。通常のコピーペーストではコピー出来ないシステム関連のデータをそっくりそのまま移住(migrate)させる事で、今までHDDにシステムを入れていた人が『簡単にSSD環境に移れるようになる』と謳ったソフトだ。intel純正であり、無料であるため、非常に魅力的に映る。
私もHDDにシステムが入っているため、SSD環境に移行する為にこのソフトを使った(使おうとした)のだが…



パーティションの選択などは出来ず、システムが入っているHDDのデータ総容量がSSDの容量を超えると移動出来なくなる。
つまりある一つのHDDにシステム【C】50GB、データ【D】100GBがあり、計150GBのデータがそのHDDに入っているとすると、120GBしかないSSDにはどうあがいても移行出来ないのだ。【C】だけをSSDに移行するというような事はこのソフトでは出来ない。

ただし、ここで【D】が純粋にデータだけであればそれを別のHDDに移動することで、Data Migration Softwareによるシステム移動が可能となる。が、移動できないデータがある場合はこのソフトはそれだけで使うことが出来なくなる。

公式で推薦されていながら日本語化されていない事にも疑問は残る。
確かに上記の問題を除くと操作は直感的で、やるべき操作は明確(移行元と移行先を選択するだけ)であるが、公式としては少しいい加減ではなかろうか。

パーティションの選択と、日本語化は最低限採用されるべきである。
強くアピールされているツールであるにも関わらず、どことなく投げやりな印象を受けてしまうのはとても残念である。

結局私はこのソフトは使わずにクリーンインストールすることにした。そのためHDDとSSDの比較が同一条件ではなくなってしまった事に関しては非常に申し訳なく思う。




hyoue氏をして『基本』と言わしめたオプティマイザー、恥ずかしながら私は一連の映像を拝見するまでその存在を知らなかったのだが、今回SSDを手にする機会に恵まれ、せっかくなのでオプティマイズさせる事にした。



数分と掛からずにすべての行程を終えることができた。
正直に言うとオプティマイザーが何をしたのか把握してはいないのだが、
(OSから見える空き容量とSSDにとっての空き容量を一致させるらしい。
性能劣化を抑えてくれるとあらば使わないわけにはいかない。)
少なくとも精神衛生の面では非常に有意義であったように感じる。

また、チューナーを用いてSSD関連の設定を一律に管理出来る機能はとてもありがたい。私もチューナーを使用することで設定ミスに早い段階で気づけた。

ただしこちらのソフトも日本語化されておらず、ローカライズに対するやる気の無さは印象が悪い。確かに英語も簡単であるし、操作も直感的にこなせるが、そういう問題では無い。ローカライズとはユーザーの心を掴む上で非常に大切な一歩であるはずだ。切実にローカライズに対する姿勢の見直しを願う。




SSDベンチマークにはおなじみのCrystalDiskMarkとHD Tune Proを使用した。
参考までに先ずHDDでのデータを以下に示す。



次にSSDのデータを以下に示す。
HD Tune実行時に間違えてSSDのキャッシュを切ってしまっており、ライト性能の数値が著しく低下してしまっていることをお詫びする。

比較して分かるとおり、圧倒的な速度差である。


次にPCの起動・終了時間の差を動画で見て頂く。





体感で容易に分かるレベルの差がある。
SSDは快適そのものだ。
例えば再起動が必要になったときのストレスなどが殆どないのは嬉しい。


また、ソフトウェア起動時間の差を見るために、
フォトショップのデータからの起動時間の差を見る。
初回起動と二回目起動両方で比較した。





SSDの圧倒的な起動の早さに驚くことしか出来ない。
SSDを今まで使っていなかった自分がばからしくすら思える。
二回目起動でも優位性を保っているのは純粋に凄い。
すでに何度か利用しているが、起動の早さに慣れず毎回驚きのあまり笑ってしまう。




この様な機会を頂き、改めてzigsow様、intel様、プレミアムレビュー関係者の皆様、心からありがとうございます。正直な話、SSDの効果という物はデータを見聞きするだけではHDDユーザーには伝わりにくいものです。私もその一人として長期にわたりSSD導入を迷っており、私の環境でSSDのアドバンテージがあるのかと、大げさに言えば懐疑的であり、さらに言えば信じていませんでした。

今回zigsow様のご厚意でSSDをシステムに組み込み、まさに目から鱗というべき体験をさせて頂きました。私の下手な検証でどこまで伝え切れたか、恐らく半分も伝えられなかった様に思えてなりません。まず最初の起動に驚くのですが、実際はSSDを使ったシステムで作業をしながらジワジワと実感し、中毒のようにSSDを使う事になる様です。つまり残念ながら、いかなるレビュアー・文豪がその感動を伝えようとしても、特に私の様な下手くそが伝えようとしても、SSDを使う事の真の魅力は実際に使わない事には分からないのでしょう。私がzigsowでどれだけ豪華なレビューを拝読しても導入に踏み切れなかったのはそう言った部分が大きいと思います。

一見は百聞にしかずと言うよりも、一使は百見にしかずと言えば分かりやすいでしょうか。いくらでもデータとしての利点は挙げられますが、使用感を正確にお伝えする事は出来ません。特にこの感動というのはそう上手く伝える事が出来ません。

とにかく、ここまですべてのPCユーザーにお勧めしたくなるPCパーツは初めてです。今までは皆さんがしきりに『HDDには戻れない』と仰るのを遠目に、不思議に思いながら見ているだけでした。なるほど、SSDは本当に凄いです。ここまでPCが(それもストレージで!)俊敏になるとは思ってもいませんでした。

システムの移動に二、三本骨が折れましたが、その価値は十分にありました。近いうちにX25-M G2 120GBを購入し、RAID0で運用できればと思っています。

そして近い将来、数年もかからないでしょう、SSDがデータストレージとして各システムに搭載される日が来るでしょう。その日が早く来ることだけを願っております。



レビューを読んでいただき誠にありがとうございます。
以降も何か気づくことがあれば随時更新していく予定です。
また、質問等をコメントしていただければ私に出来る範囲で答えさせて頂きたいと思います。

コメント (42)

  • operaさん

    2010/12/06

    レビューお疲れ様でした♪

    流石の文章ですね。。。

    私も頑張らないとというか焦ってます。。。
  • s3zm4rさん

    2010/12/06

    動画を主体とした検証、大変お疲れ様でした。
    SSDの使用感を知らない方には非常に参考になる内容だと思います。

    ひとつ質問がございます。
    SSDでのインストール中にプログレスバーにおかしな挙動はなかったでしょうか?

    と言うのも、以前の私の環境ではSSDにソフトウェアをインストールしたり、ゲームなどで大量のデータを読み込む際に、「しばらくプログレスバーが固まった後、一気に進む」といった不可思議な挙動を示した事がありました。

    それに類するものとして、「プチフリに近いひっかかり」を体験した事があります。
    極々稀ですが、ウィンドウ操作などの日常的な使用中にほんの一瞬無反応になる事がありました。

    今にして思えば当時使用していたRAIDカードがウ○コだっただけの話かもしれませんが。
  • flammulinaさん

    2010/12/06

    >>operaさん

    ありがとうございます!
    レビュー期間内であれば特に焦る必要もないと思いますよ。特に早い方が良いという訳でもないと思います。
    私はどうしてもセッカチな性格をしているので、いつも手にしてから直ぐレビューを書いてしまい、どうも短期的な印象でのみレビューの大部分が構成されてしまい、むしろ悪い例であるような気すらしますので…w



    >>s3zm4rさん

    ありがとうございます。
    SSDの使用感というのは、使って初めて本当に理解出来るものだと思います。それを出来るだけ人に伝えることが出来ればと思ってレビューを書きましたので、そう言って頂けると助かります。

    この検証インストール時に、プログレスバーは確かに止まりましたが、HDDでも同じ事が起き、つまりAutodesk社のプログレスバーの仕様となっているようです。
    もちろん検証に使ったこの2つのソフト以外もいろいろとインストールしていますが、今のところそういった類の挙動を見たことはありません。

    また、『プチフリに近いひっかかり』も(そもそもプチフリを経験したことが無いので参考になるか分かりませんが、)感じた事がありません。

    ただ、それもたった2日ほど使用しての感想になりますので、もう少し使用してから追記させて頂きたいと思います。
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