レビューメディア「ジグソー」

Redモデルは高信頼。ノートPCへの換装の勘所

・はじめに

  今回NAS用HDDの使い道について、変わった使い方ではないかと思いますが、

  そもそもNAS用のHDDとして発売されているWD Redとは既に立ち位置が

  よくわからない状況です。

  本来ならば、2.5のNASに搭載するように作られている訳ですから、

  ノートPCに搭載するのは本意ではないかもしれません。そうしたポイントに

  触れられれば良いかと考えています。

  

 

・モデルの位置づけ

  Western Digital社のHDDラインナップは現在、大きくPC向け、NASストレージ

  向け、データセンター向けと分かれておりこの WD RedはNAS用途に最適化された

  ソリューションです。本機はPC内蔵向けと異なり、24時間365日稼働での利用

  でPCよりも過酷な条件でかつ高トランザクションを意識し、加えて低負荷の際には

  ディスク回転速度を落として省電力を実現したモデルです。

 

  近年では可動部品が少なく、ランダムアクセスの高速なSSDが空前のブームですが、

  現状において1TBのサイズのSSDは非常に高価です。SSDはOSの高速化にはすば

  らしいパフォーマンスを発揮しますが、同時に書換え限界などの問題も内在してお

  り、頻繁に更新を行う案件には不向きです。

 

  個人的な見解では、利用状況はシチュエーションによって異なります。私のように

  昼夜問わずほぼ常時稼働で動作させ、大容量のコンパイル作業などを行い、休憩

  時間には大容量の動画データ閲覧などを行う、中〜ヘビーユーザにもこのモデルは

  向くのではないかと考えています。

 

・評価環境

 

 

  PC:Lenovo x121e(AMD)

    単品のレビューにも記載しましたが、B5サイズのモバイルPCです。AMDのCPU

    を搭載しており、省電力ではあるものの若干パフォーマンスに難があるPCです。

    そのかわりではないですが、nvidiaのGPUが内蔵されグラフィックでは若干良い

    パフォーマンスがあります。検証機のOSはWindows7 Home Premium 64bit

    で、メモリは4GB搭載です。

 

  HDDケース:Century社SATAケース

    USB3.0対応 この手の換装には一つ持っておくと良いでしょう。近年のノートPC

    にはインストールメディアがついておりませんし、ハードウェアドライバーも

    インストールが結構大変です。できるだけ新旧HDDの差を測れるよう、同じイン

    ストール状態を再現するため、クローン作成の手法を利用します。

 

 

  DVD—Rドライブ:
    TrueImageバンドル版が利用できない場合に備えて用意します。

 

  HDD:WD Red 2.5inch 1TB

            

    今回のレビューの現品です。意外に知られていないのが、Western Digital社の

    HDDは制限付きでAcronis社のTrueImageの利用権がつきます。

    筆者はTrueImageの正式ユーザですが、今回はあえてバンドル版を利用します。

    (安いことは良いことです。)

 

    事前に調べておけば良かったのですが、x121e内蔵のHDDの高さ(厚み)は

    8.5mmでした。WD Redの高さは9.5mmです。募集時の評価環境はx121eで

    提示しましたので、PC側を小加工し収まる様にしましたが、このレビューをみて

    同じことを考えているのであれば、事前に内蔵されているHDDの高さをチェック

    してください。無理に搭載しても、HDDの外装を破損したり、最悪の場合修理

    不能になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

  

 

 

・ 換装手順

  1、 WindowsUpdate,ドライバーのアップデートはすませておきます。

    ディスクのクローンをとりますのでなるべく万全に。

 

  2、 WD版TrueImageのダウンロード

   http://support.wdc.com/product/download.asp?groupid=619&lang=jp

 

 

  3、 ベンチマークソフトのインストール

    任意ですがクローン作成前に済ませます。

 

  4、 HDDをケースに装着

 

     Century社のSATA USB3.0対応のHDDケースです。価格も安いですし、

  1つ持っていれば、いろいろ使えます。

 

 

  5、 USBにてPCに接続

    先にWD Redを接続、認識させておかないとTrueImage の利用許諾条件に

    含まれない為、インストール時にエラーになります。

 

 

  6、 TrueImageのインストール

    ホームページよりダウンロードしたセットアッププログラムを実行すると下記の

    画面になります。

 

   ここではセットアップを選択します。

 

 

   先にWD Redが認識されていないと上記の画面でエラーになります。

 

  「次へ」をクリック

 

   「同意する」で 「次へ」。

 

 

   どれを選んでも大体同じです。わからないときは「標準」で大丈夫です。

 

 

   登録済みのユーザすべてにインストールで良いでしょう。

 

  セットアップ内容の確認をし、「実行」 

 

  しばし待ちます。

 

 

   完了しました。 「閉じる」で終了します。

 

 

 

 

  7、 ディスクのクローン化 PC停止と換装作業

 

     スタートメニューから「すべてのプログラム」

      →「Acronis True Image WD Edition」を起動します。

 

    「ディスクのクローン作成」を選択します。

 

 

 

    ステップに従って条件を入力していきます。

    クローン作成モードは手動を選択します。

 

 

    次に、ソースディスク(コピー元)は内蔵のディスクを選択します。

    複数あるときは注意が必要です。

 

 

     ターゲットディスク(コピー先)は今回接続してあるWDCを選択します。

 

 

  ターゲットディスクを右クリックするとプロパティを表示できます。

  

 

    

 

 

    移行先のディスクサイズに応じて移行方法を選択できます。手動を選択します。

 

 

   移行後のパーていション構成が表示されます。デフォルトでは移行先のディスク

  サイズにあわせて伸張されます。筆者の環境では、320GBから1TBですのでかなり

  大きくスペースが確保されています。特筆すべきはLinuxのパーテイションも自動

  伸長されています。

 

 

  最終的なディスクの構成が表示されます。

  実行をクリックすると開始します。 

 

 

    筆者の環境ではLinuxが含まれる為、ブートローダーに関する注意事項が

    表示されます。

 

 

    最初にパーテイション情報を更新するようです。しばし待ちます。

 

     再起動が促されますので、再起動を実施します。

 

 

    再起動するとパーテイションのコピーを行ないます。 とにかく待ちます。

 

     筆者環境ではだいたい全行程で1時間半くらいかかりました。

 

    再起動がかかります。

 

 

    いったんwindowsを起動し、シャットダウンをしてください。

 

  ここから換装になります。

 

  換装時の約束です。必ず、電源ケーブル、バッテリーは分解前に外すこと。 

 

    x121の場合は、裏蓋の3カ所のねじを緩めるだけで開きます。

    HDDの固定ねじは2つ。

 

    HDDが外れました。Hitachi製のHDDです。このメーカーは実績もありますが

    どうにも、雑ですね。

 

    HDDの高さ(厚み)が約1mm違います。Redの方が厚いです。

    通常はこの時点でNGと思ってください。 

 

 

  仕方がないので、気休めですが、緩衝材を剥がします。(動作保証外) 

 

    思ったよりもきれいにはがれました。

 

 

    実装。なんとか収まりました。 

    後は裏蓋を閉めて完了。

 

  8、 起動

     ちゃんと起動できるか確認してください。

 

・ ベンチマーク

 

 

  Hitach 320GB 

    Windowsの標準ベンチでのスコア。HDDは5.9。

    CPU、、どうにもなりません。

 

  Crystal Disk Markでの結果。

   一般的な値でしょう。

 

 

 

  WD Red 1TB

    Windowsの標準ベンチでの結果。HDDはやはり5.9。かわんないってこと?

   使用した感じでは確かに体感がないですね。

 

 

  Crystal Disk Mark での結果。 

  ベンチマークっぽくなってきましたね。

 

           リード   ライト

  シーケンシャル   1.4倍   1.41倍 

  512Kランダム   1.39倍   2.0倍

  4Kランダム     1.41倍    1.63倍

  4K(キュー深度32) 1.66倍     1.76倍

 

  ほぼ全面的に役1.4倍前後のパフォーマンス向上がみられました。

  SATA/600とキャッシュの効果が効いた模様です。

 

 

 

・ S.M.A.R.Tで健康診断

  S.M.A.R.TはSelf-Monitoring, Analysis and Reporting Technologyの略で

  ハードディスクドライブの障害の早期発見・故障の予測を目的としてハードディ

  スクドライブに搭載されている機能です。安定した利用環境における経年劣化に

  よる故障を知るには非常に有効です。 

 

  わかりやすいソフトとして、今回はCrystal Disk Info を利用しました。

 

  まずは、元々x121eに入っていたIBM-HITACHIのHDDです。

  HDDの回転数は5400、対応転送モードはSATA/300,バッファサイズは8MByteです。

  組み込みHDDとしては標準的〜やや劣るスペックですが、CPUの遅さから放置して

  いた為、稼働時間が短く、比較的良好な結果となっています。

 

 

  次にWD Red 1TB

 

 

 

  HDDの回転数は5400と出ていますが、低負荷には可変的に落とすようです。

  しかし、テスト期間中は5400以下になった表示をみたことがありません。

  OSドライブとなっている為、低負荷に落ちることは少ないのかもしれません。

  対応転送モードはSATA/600,バッファサイズは16MByteで、ほぼ倍のスペックです。

 

  高信頼という部分については、代替セクタ数が200の値までカウントできます。

  つまり16進で表記されているため512個まで代替セクタが利用できることを意味

  しています。

  HitachのHDDは値が100でしたから、254個です。この違いは大きく、破損セクタ

  数が増え、代替数を超えると、最悪はアクセス不能という事態になりますので、

  この数値は信頼性を決める上で非常に重要な値です。

 

  また、低消費電力の恩恵か、WDの方がHDDの温度が2度も低いです。長時間稼働を

  見込んだ場合は、当然温度が低い方が安定しますし、バッテリーの持ちも良くなり

  ます。

  SMARTの値をみただけでも、このWD Redが高信頼であることがわかります。

 

  HDD換装のポイントについて、リスクとして転送方式SATA/600の未対応により

  対応できないPCもあるかと思います。別途予定していたAcer Aspire5745での

  クローン化、および、リカバリCDでの復元テストを実施したのですが、通常のHDD

  としては動作したものの、ブートができない事象が発生し、結果として利用不可能

  です。

  おそらくSATA/600に対応できないチップが採用されている為、300互換モードで

  動作した場合になにかしらのバグがある可能性があります。原因が分かり次第記載

  する予定です。

 

 

・ X121e換装まとめ

  HDDの寸法により、持ち運びに不安を残したものの、純正のHDDの実に3倍の

  容量、パフォーマンスの1.4倍アップ、代替セクタの倍増による耐久性の向上、

  消費電力の低下は非常に高評価といっても良いでしょう。

 

  ただしX121eでの結果はベンチマーク上の数値は向上したものの、体感できるまで

  には至っていないように思えました。推測ですがHDDのコントロールにはCPUの

  能力にも影響を受けるので、搭載されているAMDのチップに問題があると考えま

  した。また、CPUもプログラムによる待ち時間やIOWaitによっても左右されます。

 

  最近仕事柄、Office365を利用開始しており、以降パソコンのパフォーマンスが

  低下しているというのも体感しているので、もしかするとAPPの問題かもしれません。

 

  また、同様にSkype、ウイルス対策にはAvastを使用しているので、ベンチマーク時

  にはそれぞれ停止して計測を行ないました。

 

 

 

・ 希望、要望

 

  1、高信頼の要である代替セクタ処理ですが、個人的には用途に応じて可変長で

    あったり、任意に設定できる仕組みがあっても良いと思っています。

    持ち運びを行なうノートパソコンは破損クラスタの発生率が高いので、極論

    すると全体の10%くらい持っていても良いのではないかと思います。

 

  2、WDRedもそうですが、内蔵向けであればパッケージにはHDDの寸法等の

    表記をつけた方が良いと思います。

 

 

 

・ まとめ

 

  数値のみの結果ですが、個人的には満足できる製品です。

 できれば8.5mmサイズでも出してほしいですが、高信頼の軸受けなど採用している

 かもしれません。8.5の場合はBlueになるのでしょうか。

 今回、完璧な結果ではなかったのですが、PCへの換装を考えるのであれば、

 次のポイントは押さえるようにしてください。

 

  1、サイズ。2.5インチの場合は寸法の違いが出るのは高さ(厚み)です。

     寸法が合っていないものを無理矢理押し込むとHDDを破損します。

 

  2、インターフェイスの種類と規格。

     転送速度は実績のあるものを選ぶようにした方が良いです。

     よくわからない場合は選ばない覚悟も必要です。

 

  3、最後は情報収集。

     同一機種での動作実績は、できるだけ集めた方が良いでしょう。

     Aspire5745では動作できませんでした。事前にわかれば、別の選択肢も

     あります。 

 

 

おわりに 

  今回はじめてのプレミアムレビューとなります、パッチコともうします。
  育児と通勤を繰り返す中での検証となります。筆者は通常、通勤時間を如何に
  楽しく過ごすかに重きをおいてのPCチョイスの中、久しぶりの換装作業となり
  ました。 

  いかがでしたでしょうか?

  この後にもいくつかテストを考えて

  います。NASNEへの換装など、逐次追加の予定です。

  今後とも、パッチコをよろしくお願いします。

 

2013/10/04 レビューの注意事項にあわせて、紹介文を下部に移動しました。

 

コメント (4)

  • リンさん

    2013/10/15

    初プレミアムレビューお疲れ様でした。初々しさが出ていますね(笑)

    ベンチマークを見るとノートパソコンで出る速度+容量としては大変素敵ですね。

    温度も低温という事で今後ノートパソコンの

    HDDを換装する時は参考にさせて頂きます。

    Coolです^^b
  • jakeさん

    2013/10/15

    8.5mmは特殊なサイズじゃないでしょうかね?
    普通は9.5mmだったと思いますよ。
    SSDに多い7mmはUltrabookで採用例があったはずですね。

    昔、もうちょっと薄いHDDもあったんですよ。
    5mmとかね。
  • パッチコさん

    2013/10/15

    リンさん:
    コメントありがとうございます!
    やっぱ初々しいですかねw
    皆さんのレビューをみていると慣れているというか、写真とかすごくうまいので
    自分も写真から直さないとと感じてしまいます。

    持ち運びでもやっぱり、大容量がいいですよね。
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