【 更新履歴 】
2013.09.24 Tue.: ひとまず公開
2013.09.24 Tue.: グラフの縦軸変域の改善と採取データ表の追加、タイトル変更
2013.10.17 Thu.: 温度変化グラフの追加
2014.03.08 Sat.: 一部文章変更
今回のレビュー製品である「WD Red」は、NAS 向けに最適化された HDD。
しかし、2.5 インチ HDD を採用した NAS なんて持ってませんし、随分昔に導入した NAS ですら持て余しています。
ですが、部屋には NAS なんかよりもずっと NAS 並みに起動し、データの読み書きを行う PC があります。
それはズバリ「 デジタル放送録画専用 PC 」です。
この PC は、1日に数十GB単位で様々な番組を毎日録画しています。
(録画予約状況によっては) ほぼ常時起動であるし、同時に複数番組を録画するので、HDD への負荷も多いはず。
これはちょうどいいに違いないと。
そう思い、レビューアー応募してみました。
こんな箱。思っていたよりずっと小さかった。
中身もコレだけ。
WD Red が袋に入って、プチプチ君袋に入って、外箱に入っているだけ。
バルクと大差ないですね。
WD Red の表面。ラベルの赤がいい感じに目立っています。
そして、裏面。
こんな感じです。
見た目は普通の HDD と変わりません。そりゃそうだ。
簡単に他のモデルとのスペックの違いを表にまとめてみました。
これだけ見ても、どれがイイとか今ひとつわかりにくいですね(^^;
IntelliPower とは WD による回転数管理メカニズムのようですが、詳しいことは書かれていないですね…
上のスペック比較表からは読み取れない WD Red の特徴ですが、
MTBF が 1,000,000 時間となっており、通常のモデルに比べ 35% 向上しているとのこと。
また、NASware 2.0 テクノロジーを搭載し、NAS 向けに最適化。
24 時間 365 日稼働を想定したシステムになっており、高効率・高信頼性を実現しているらしい。
色々と調べてみては見たものの、NASware 2.0 の詳細は不明。
(録画環境の再構築が面倒なので) 現在の環境をそのまま引き継ぐ形での換装を行うことにしました。
【 換装対象 】
今まで何度登場しているのかわからないコイツです。
ノート PC を録画専用としているのは、場所を取らないことと、バッテリーが UPS 代わりになることでしょうか。
本棚に置かれた LuvBook
現在、TOSHIBA MK5059GSXP (500GB) を載せてあります。
【 必要な機材 】
WD Red、換装対象 PC 以外に
データ移行時の PC との接続用に、以前のプレミアムレビューでも使用した
「玄人志向 GW2.5SATA3-U3」
WD Red には HDD 以外何も付属してないので、
データ移行ツールとして、ホームユースであれば無料で使える
「EaseUS Todo Backup Free」
(v6.0.0.0 build 20130525 を使用)
DL: 窓の杜
(追記: 他のレビューアさんのレビューを見ていたところ知ったのですが、WD 製 HDD 向けに Acronis True Image WD Edition Software が用意されています。このツールを使ってもいいかもしれません。この辺りは好みの問題ですね。)
を用意しました。
EaseUS Todo Backup Free でクローニング (複製作成) を行っていきます。
PC に WD Red を外付けケースを用いて接続済みです。
* * * * *
起動して、クローン作成モードを選択。
クローンの設定を行います。
クローン元の HDD が 500GB なのに対し、WD Red は1TB なので、データ用 (録画データ保存用) パーティションを拡張しました。
後は待つだけ…
拍子抜けするほどあっさりクローニングが終了しました(^^;
後は、PC の電源を切り、今まで搭載されていた HDD と入れ替えて起動をするだけです。
【 負荷をかけて比べてみる 】
録画用 PC へ搭載したので、同時録画時の負荷の違いを簡単に検証してみました。
検証の意図としては、WD Red は NAS 向け製品なので、複数のアクセスへの何かしらの機能があるのではと期待し、HDD への同時アクセスによる性能低下を評価ができないものか、というところにあります。
【 検証対象 】
- TOSHIBA MK5059GSXP (500GB, SATA 3 Gb/s, 8MB Cache)
- TOSHIBA MQ01ABD100 (1TB, SATA 6 Gb/s, 8MB Cache)
- WD Red (1TB, SATA 6 Gb/s, 16MB Cache)
1つ目は WD Red への換装前に使っていたもの。
2つ目は別用途で使用していたもの。
どちらも東芝製。偶然であり、深い意味はありません。
【 検証用アプリケーション 】
CrystalDiskMark 3.0.2
【 検証方法 】
録画を行いながら、録画ファイルが格納されるドライブに対して CrystalDiskMark を実行。
データは Random で 1000 MB。簡単に言うとデフォルトのままです。
録画数 (0/1/2/4) に応じて、どれだけ Read / Write が変化するのかを検証してみた。
【 検証における注意 】
TOSHIBA MK5059GSXP は他の2つと比べても明らかな性能差があるので、Crystal Disk Mark 単体でベンチマークした際のスコアを 100% としました。
(下のスコアは HDD を外付けケースに入れて USB 3.0 で接続した際のスコアです。
実際の 100% 時のスコアはこれらよりもう少し悪いです。)
CrystalDiskMark - MK5059GSXP / MQ01ABD100 / WD10JFCX
(Random, 1000MB, via GW2.5SATA3-U3)
【 検証結果 】
右肩下がりなほど、同時録画時にスコアが悪くなっていることを示しています。
横軸はCDM単体/録画数1/2/4 とし、縦軸を 50% から 110% の範囲でプロットしています。
これでもまだ見難い気がするので、詳細なデータは表としてまとめました。
TOSHIBA MK5059GSXP
TOSHIBA MQ01ABD100
WD Red 1TB (WD10JFCX)
データ一覧
製品としての新しさのおかげなのか、WD Red の性能によるものなのか不明だが、WD Red の方が全体的に同時アクセスに対する性能低下は少ないというような結果。
何故、2番組の時より4番組の時のほうが結果が良くなった部分があるのかは不明。
もしかしたらですが、Cache 量の違いによりこのような結果になったのかもしれません。
(ただ、大半のモデルは 8MB キャッシュであり、Western Digital 製 2.5" HDD では WD Blue UltraSlim と WD Black だけ 16MB キャッシュ。前者は高価、後者は 750 GB までのモデルしか存在しないので、容量とキャッシュ量の多いモデルが欲しい場合には選択肢としてアリ。)
検証時、CrystalDiskInfo を常駐させ、HDD の温度変化を見ていたところ、
いずれの HDD も 52~3 度が最大であり、負荷時の温度の差は殆ど見られませんでした。
(室温は25度前後)
* * * * *
【 温度変化 】
HDD の S.M.A.R.T. 情報を CrystalDiskInfo v3.0.2 によって採取したものです。
2日間の連続稼働をしたときのもので、横軸が日時、縦軸が温度となっています。
(S.M.A.R.T. の仕様のため?) 温度は1℃刻みでしか採取できていない + 不定期採取となっているので、わかりにくいかもしれません…
2日間の連続稼働からによってわかったことが、デジタル放送を録画する程度であれば温度変化はほとんどなく一定であるようです。
深夜帯 (早くて 22:00 から、遅くて早朝 3:00 くらいの間) が録画のピークになっているはずなのですが、そこだけ温度が急激に上がるというということはありませんでした。
* * *
(一応) ここひと月ほど温度データの採取 (放置といっても過言ではないが) を行ってきたのですが、これがものすごく見づらい(笑)
常時起動にしてない (録画時前後のみの起動) のでグラフの連続性が保たれず、大変なことに…
読みにくいながらも、注目して欲しいのが 50 ℃超のところ。
そこでは録画データを別の HDD に USB 3.0 経由での書き出しを行った時の温度で、1度に最大百数十GBくらいずつ書き出しをしています。
WD Red とはいえ、過度な負荷が加わると、温度は急激に上がるようです。
今回のレビューでは、「NAS システム向け HDD」という、ニッチな領域を狙った製品をレビューしましたが、(RAID 搭載 PC 向けともさり気なく書かれていますが) 決して NAS 専用ということはなく、通常の PC に使うのにもいいのではないかと思いました。
勿論オススメするのは、PC を常時起動しているヘビーユーザーの方。
(IntelliPower を採用しているという共通点から) WD Green と同様にシステムドライブとしての使用は非推奨だろうと思われますが、CrystalDiskMark でスコアを測定した結果からすると、一般的な 2.5 インチ HDD とのスピードの差は無いどころか、早いくらいなので、「少しお金を出してでも効率性や信頼性を買いたい」という方には WD Red を選択するのも悪く無いと思います。
動作音についてですが、HDD らしいカリカリ音が少しながらします。
決して、嫌な感じではないです。
比較対象だった TOSHIBA MQ01ABD100 は嫌な感じの (壊れているのではないかと錯覚するような) カチカチ音を発する、持病持ちだったために録画機に積んではいなかったのですが、WD Red は安心して積むことが出来ます。
MTBF 100万時間もそうですが、万が一の時のための3年保証も心強いです。
また、出来ることならお世話になりたくはありませんが、24 時間 365 日のサポートを謳っており (但し、日本語でのサポートは平日の 9:00 ~ 18:00)、不具合発生時も少しは安心できそうです。
WD Red は耐久性を高めたモデルですが、この短時間で耐久性を評価するのはとても難しいので、時間が経ってから、また追記していけたらと思います。
* * *
やっぱり気になったのが、WD Red の詳細が殆どわからないということ。
(WD Red に限らず、WD Blue/Green/Black でも詳細情報が少ない気がしますが…)
特に WD Red の特徴とも言える NASware 2.0 テクノロジーについて。
NAS 向けのカスタマイズが行われているのは分かるのだが、そのテクノロジーは一体何をしてくれるのか、それによってどんな効果が出るのかを詳しく教えて欲しいですね。
普通の HDD に比べてどう違うのかを明示すれば、より買いやすくなる気がしました。
某支配人@名古屋定住@イベント行きたいさん
2013/09/24
みてると欲しくなるHDDですね。
うちの鯖機にも複数入れてみたいです。
tagさん
2013/09/24
コメントありがとうございます。
鯖機に複数台入れるのはとても良さそうな気がします♪
takamizuさん
2013/10/01
ノートPCに1TBもあるといいですね。
tagさん
2013/10/01
フリーソフトでも楽々移行できるのはホントありがたいです。
ノートPCは基本的に1台しかHDDが積めないので、1TBあるとかなり安心です(^^)