レビューメディア「ジグソー」

Vistaは失敗作だったのか

ところでWindows Vista

延長サポートフェーズがまだ続いているにもかかわらず、IE10/11はおろかOffice 2013までサポート対象外となりMicrosoftが公式でなかったことにしたいのかと思えるような扱いを受けているWindows Vistaの、一般家庭向けの最廉価エディションがこのHome Basicです。

家庭向けの上位エディションHome Premiumの違いとしてWindows Media Centerが入っていない、Aero GlassとFlip 3Dが使えない(勘違いされがちですが、ウィンドウ描画をGPUに任せるDesktop Window Manager環境は半透過ウィンドウとFlip 3Dが無効化されたWindows スタンダードテーマとして利用可能です。)といった差があり本当にWindows Vistaの基本機能だけを搭載したシンプルなエディションになっています。

Vista全体の評価として「いらない子」扱いされていますが、個人的にはWindows Vistaは好きなOSでした。いや今7や8.1がリリースされているのにVista環境に戻る気はありませんが。


ある意味では不幸だったVista

元々はLonghornというコードネームで、Windowsメジャーアップデートの周期通りWindows XPのリリースから3年後となる2004年にはリリースされる予定で、搭載される機能も新API"WinFX"(のちに.net Framework 3.0としてリリース)、新ファイルシステムWinFSを搭載する”予定”などと発表されたものの、結局WinFXは.net Framework 3.0としてXPもサポートされる形でリリースされることになり、WinFSに至ってはなかったことにされてしまったうえに度重なる開発の遅れで結局一般向けに販売されたのは2007年1月となってしまい、本来サポート機関が終わっているはずのWindows XPのサポートを2014年4月8日まで伸ばす原因を作ってしまいました。

またWindows Vista発売当時アップグレード対象(Windows Vista Capable PC)だったPCの中にはAeroが動作しない内蔵ビデオチップであるIntel 915GM搭載機がいて海外では実際に訴訟沙汰になってしまったり、廉価機の中にはシングルコアで512MBしかRAMを搭載していない機種にWindows Vista Home Basicをインストールして販売していたりしたことも「Vistaは重い」という印象を強くしてしまったんじゃないかなぁと思います。

実際メインRAMを1GB以上搭載してあげれば古いDothan Celeron MのマシンでもAeroをあきらめればXPと同程度には動きましたし、SP1やSP2でパフォーマンスチューニングされたおかげでそこまで重いOSではなかったのですが、結局VistaはMicrosoftからも失敗作扱いにされてしまっているようです。

ただしVistaの失敗からWindows 7は古いPCでも快適に動作するようにチューニングを行った結果軽快で今でも完成度の高いOSになりましたし、続くWindows 8/8.1も(人によってはModernのせいでVista以上に失敗作という人もいますが)動作パフォーマンス自体は向上しているのでVistaのリリースはそういった意味でも無駄ではなかったと思います。

 

Vistaよりは同時期リリースされたOffice 2007のリボンUIのほうが違和感バリバリで悪印象だったのですが、まぁこれは…これで(汗

Office 2013だとリボンが逆に使いやすいと思っているのですがこれも慣れなのかなぁ…

 

  • 購入金額

    20,000円

  • 購入日

    2007年01月30日

  • 購入場所

コメント (3)

  • Schrödingers Katzeさん

    2014/03/24

     Meと違って、Vistaは、「Microsoft自身が反省も後悔もしてないけど、スケープゴートになってもらう」と判断した感じで、実にかわいそうな気がします。
     実際問題として、Windows7は、小細工という面では、ボトルネックの解消を目指している部分もありますが、根幹はVistaと大差がありません。
     結局Vistaが、市場にぶつけられて、まぁ、売るには、パフォーマンスの底上げが必要だよね…と、全体的なハードウェアのパフォーマンスが向上したことによって、「Windows7」は、受け入れられる土壌が存在していたので、「大差ないのに」手のひら返したような評価をもらえてるようにも思います。チューニングの成果?Vistaが重たいなら、Windows7でも大差はないでしょうし、Windows7が動くハードウェアなら、Vistaも普通に実用になります。それくらい工夫はしたけど、世間が言うほど劇的な変化は無いように思います。まぁ、「全力でフルに使おう」じゃなくて「ちょっと余裕を残そう」に変化はしてますが、多くが「見た目だけ」なので、言われてるほどは違わない側面もあります。
     同じ時期にWindows7がリリースされていても、ハードウェアのリソースを積極的に並列化して処理する手法は、あの当時のハードウェアには酷でしたし、若干きつめの要求環境であったことや、見た目のリソース消費がひどいことがそれに拍車をかける形で悪い印象になってるようにも思います。

     まぁ、「Windows7が名作だ」というなら「Vistaを駄作」という人の目はきっと節穴なのだろうとw「商品」としては、失敗かもしれないのですが、それも布石としてみれば、7の成功の準備だったような気もしますし、商品としてだめというのとシステムとしてダメというのは違いますし。

     Windows8は、PAEとNXビット必須が「アップグレード税」では済まなくしているので、「軽くてもそれじゃ意味がない」とは思います。
     少なくとも今の時期なら、「オプションで使用可」にしておかないと、PAE(まぁ、xDビット必須にすれば32ビットではPAEが必須になります。)は兎も角、xDビットはそれだけで、使えなくもない世代が、ふるい落とされます。
     別に「動くんだったら」アップグレード税として、買ってもいいんですが、ドライバモデルとか必須環境の設定によって「買い替え」になってしまうのが、どうもなぁとおもうのですよ。
     むしろ、いくら軽くなっても、その恩恵があるハードウェアこそ、足切りに遭っている。現行製品なら、脳筋なパフォーマンスで少々の負荷はねじ伏せられるでしょうし。

     Vistaの失敗は「長期にわたってXPを売り続けたこと」ですよね?w
     それによって、要求スペックを段階的に上げられたものを、一気に下限を引き上げたことで、「実用外になるものが大量に現行製品でも出た」というのは「心象を悪くするのに十分なこと」です。
     というか、「文句を言うほど」に「長く売るもんじゃねぇな」とお財布からお金持っていかれる状況になることを多くのユーザーは考え及ばないのもひどい話です。
     名前を見るまでも無く、95、98、2000。従来だってこんな周期だったわけですし。
     この周期だから、アレダメコレダメって段階的に殺しても、え?って言われなかったことを「思い出させる」ような文句の言い方はどうかとも思いますw
  • クドフィリアやってるガジェ獣かのあゆさん

    2014/03/24

    >>Schrödingers Katze さん
    Windows 8のNXビット/PAE必須はちょっと残念だなぁと思ってたりします。Pentium M/Celeron M機でも本当は動かしたかったんですがこれらのPCでは動作しなくなっちゃいましたし。最近のLinuxもNXビット/PAE必須になっちゃいましたね。
    Vistaは本当駄作じゃないと思うんですよ。今でも気に入ってますし、MSの扱いが微妙なのが残念なくらいです。
    結局Vistaの失敗はSchrödingers Katzeさんの言う通り「XPを長期的に売り続ける結果になってしまったこと」なんじゃないかなぁと思ってます。
  • Schrödingers Katzeさん

    2014/03/25

     Linuxでは、「必須」ではないですね。
     ただ、xDビットを32bitで使うには、PAEページテーブルを扱える必要があるので「逃げられない」んです。Ubuntuが、PAE必須になったのは、セキュリティー的にxDビットを切れないが、頭数が足りず、手が回らない。中途半端なことするなら、64bit必須にしちゃえばいいのに、BIOSの対応も怪しいPAEが必須になった背景は、そんなところだったりします。カーネル自体は、まだもうちょっとなしでも大丈夫だったと思います。

     むしろ、xDビット必須なんて「32bit版」が使いたいような環境で動きもしなくなるんですから、64bit専用にしちゃえばよかったんだと思います。
     若しくは、32bit版はxDビットオプション。セキュアじゃないが、古い環境でも。64bit版は必須で最新の機能を。そんな棲み分けをすれば、まだ、どちらも売れる理由があったような気がするんですが。
     性能とか、理想値じゃなくて、レスポンスの向上が、Windows7以降は計られているんですが、そういう努力が必要なものこそ動かないっていうのは、なんかなぁとは思います。

     鬼の首とったように「駄作」っていうのにWindows7をべた褒めって人の目は節穴なんじゃないかと思うのですよw割と本気で。
     どっちもカスっていうならまだわかりますし、どっちもいい製品だというのもわかります。オーバーヘッドは大きくなってますし、並列化が難しい環境だと極端にパフォーマンスも落ちますから、「重い」はパフォーマンスの閾値を超えるかどうかで体感での差が大きいですし、そういう評価の分かれ方は仕方ないです。

     でも、Vistaが、最低ラインを無理やり上げなければ、オンボードのグラフィックスは今よりさらに何段階も低機能なままだった(そのほうが安いですし、解像度が確保できればXPなら平気でしたし)でしょうし、駄作というよりは、7の為に汚れ役かって活路を特攻して切り開いた感じすらします。
     現実問題として、Meのように、自分のプロセスでこけるとか、不安定なんてこともありませんし、レスポンスが悪いものの安定はしていますから、OSとしても、パフォーマンス面を除けば、駄作呼ばわりされるほどひどい設計ではないと思うんです。
     すばらしいか?といえば、難しいところですが、商品としてはヨゴレ役ですし、売り上げ的にも「失敗」に当たりますが、それが「品質として低い」とイコールじゃないとは思いますので、「品質まで低かったダメOS」って感じの世間のいわれ方には、やっぱり同情を感じてしまうのですよねぇ。

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