レビューメディア「ジグソー」

再設計された“赤”

 

 機動戦士Gundam GQuuuuuuX の放送が終了。寂しいけど、これで水曜の朝が寝不足にならずに済む……。そんなタイミングで届いた「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> 機動戦士Gundam GQuuuuuuX 赤いガンダム」。作品の良しあしについてここで語ることでは無いですが、僕は楽しめたものの、でも求めていたものとは違った、という感じです。

 

劇中でも「ガンダムを観に行ったらガンダムが始まった」という名言を生み、言葉通りの特異点としての存在となった機体の玩具ということで、予約注文を検討した際にトリコロールカラーと迷ったのですが、劇中で活躍しそうなこちらのカラーリングを買うことにしました。

 

 

「ガンダムとは何か」という問いそのものの、再定義となるこのフィギュアについて。

語り尽くせ、とガンダムが言っている。

 

 

 

受注生産品ではなく市販流通品なので、パッケージもちゃんと凝っている。

赤い色が目を引きます。英語名だと「RED GUNDAM」なのね。

 

 

 

裏面。いつものかんじ。

 

 

 

箱を開けた中身。

 

 

 

台座は黒で、とくに目立った装飾のないもの。

あんまり力を入れていないかんじ。

 

 

 

武装。少し高価なこともあり、いろいろ付いてきます。

ビットは2基。エルメスのビットは小さく感じたけど、MSサイズにするとけっこう巨大ですね。

 

 

 

箱から開けた時に右足のフロントアーマーが無い、部品不足だ!と思ったら、股間の中に入っていました。このフロントアーマーってこんな可動の仕方するんですね。立体物じゃないと気付かないところ。 

 

 

 

二本足で綺麗に立ちます。ROBOT 魂は重心が足にあるので立たせやすくて良いですね。

RX-78-2 のリデザインとされていますが、形式番号も gMS-α となっていて異なっており、ゲルググ(GQ版)と同様に、既に少し異なるルートの機体と推測されます。

 

空力的最適化とヒートディシペーションについて考えられているなというデザイン。

 

RX-78-2 が中空構造+骨格主導設計で、各パーツのモジュール化により機体の修復やパーツ交換が容易という、いわば「現実に整備可能な兵器」の思想だったのに対し、赤いガンダムは有機的な外装形状に加え、関節部が装甲と一体化した設計でモノコック的な発想が垣間見えます。これは戦闘時の可動効率と衝撃伝達の最適化を重視したデザインになると思うのですが、パーツ間の継ぎ目や点検ハッチを隠蔽してしまっており、現地での内部アクセス性を犠牲にしているとは思います。

 

元々エヴァンゲリオンのメカデザイナーによるデザインのため人造人間的なシルエットになっているのは個性と思うしかないですが、機体の質量分布が腕や脚など末端に寄りがちであり、加速・制動性能は高いが、空間での制御には高い演算処理能力が必要になるのかな、という印象。

細身かつダイナミックな姿はイマドキですが、僕はちょっと苦手です。

 

フィギュア的には、装甲の蛇腹構造の部分とか可動するかと思ったらそんなこともなく、普通の可動の仕方です。特に胸部や腹部など、捻れそうなところは全く可動しないのでデザインを殺しているとは思います。

 

 

 

背面はコアブロックシステムがあります。コアファイター時の主推力であるバーニアをバックパックと一体化するというアイデアはここ最近の定番にはなっています。

 

関節周りには特に後方に過剰負荷に対する「逃げ」が想定されており、構造材に明確な冗長性を持たせているのが現実的。RX-78-2 が等方性を前提とした耐弾装甲+関節可動域を確保していたのに対するデザインの違いは、デザイナーのこだわりの部分とも考えられます。

 

背中のバックパックは取れやすいのが難点。

コアファイターへの変形機構も無いのですが、そんなに難しい変形でも無かったので欲しかったなと思います。

 

 

 

顔の造形がシャープで、カメラやセンサー類が装飾的に溶け込んでいます。

デザイン的に面白いと思うのですが、いざ立体になると造形的にのっぺりとしていて、口周りや頬の部分に対しこの面積は必要なのかなと思うところも。

自分でスミ入れしたら良いかもしれない。少しリアリティが無いのかも。

 

RX-78-2 が明確なロボット的形態とヒューマノイドの中間点だったのに対し、少し装飾が過剰かなと思います。TVアニメ中で見えた、少し存在が怖いような視線の部分を表現できるような造形なら良かった。今までの ROBOT 魂ブランドのシリーズの中で一番出来が悪いと思います。

 

 

 

手足が長く可動領域も大きいので、ガシガシ動かせます。
曲線主体のシルエットは筋肉美のような美しさがありますね。

 

脚にある金属のハードポイントは、ポロポロと取れて失くしやすいので、接着剤で付けてしまった方が良いです。

 

 

 

武装のガンダムハンマー。劇中では知る由も無いのですが、鉄球のグレー部分は取り外すギミックがあり、これがチェーンの先についたグレーのアンカー部分と同じパーツです。

このチェーン、鉄球の中から引き出したものだったんですね……。

 

 

 

シールドとビームライフル。劇中ではあまり活躍しなかったですが。

シールドはジオンのマークが描かれているのが面白いですね。

 

 

 

背中にシールドを装備し、肩にビットという完全装備の姿。

劇中だと、脚に加えて肘部分のハードポイントにマウントさせていたみたいです。

ここはシールドも取り付けることができて、今後こういうデザイン構造も面白いなと思いました。 

 

 

更新: 2025/07/01
デザイン性と機能美

プラモで充分

ポスト・デジタル世代の設計思想で MS をデザインしたら、というビジュアルで興味深い。

オリジナルの RX-78-2 が垂直・水平の直線が多く、工業デザイン画のような図面感があったことに対し、曲面とS字の連なりで描かれ、彫刻的・生物的に近いアウトラインとなっています。

この赤いガンダムが「ガンダム」である必要性はあったのか、という疑問はありますが「僕の考えたオリジナルのガンダム」はデザイナーの大好きコンテンツでもあり、いろいろ見られるのは嬉しいですね。

 

ビジュアルとしては動力伝達系統がモーターと推測されるオリジナルに対し、シームレスなゲル内骨格+アクチュエーターが筋肉的に配置されたビジュアルは人間的で、技術に「美学」を付け加えるような意匠も感じられます。

 

フィギュアとしては、大量生産品らしい工業技術的なもののレベルは高いとは思うものの、塗り部分のの品質などは全盛期より格段に落ちたなと感じさせるものでした。バンダイは工場を拡大させてるみたいだけど、この品質なら正直要らないと個人的には思います。

更新: 2025/07/01
メンテナンス性

ポロリあり

フィギュア自体はしっかりしているけど、パーツがポロポロ取れる

更新: 2025/07/01
コストパフォーマンス

精度が悪い

顔の造形が悪いのが残念。価格に比較して満足度が低く、ちょっと後悔もあります。

改めて「これガンダムか?」という部分に関しては、ガンダムという冠がなくてもよいロボットデザインかなとは思います。

  • 購入金額

    22,990円

  • 購入日

    2025年06月21日

  • 購入場所

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