吉川英治さんの三國志を読み、MSX版三國志にてゲームにハマった人生のL2さん。
三國志と聞くと、気になってしまう習性をしております。
大好物の時代ですけれども。
だからこそ、ゲームの出来や設定、解釈、イラストなどが、私自身の好みの範囲外になる部分があれば、ちょっと厳しいな、と思う事も有る訳です。
そんな中で、今年の初頭にdemo版が発表されたので、プレイ。
レビュー冒頭に載せている三國志シリーズとは違い、シミュレーションではなく、RPG系のゲームです。
依頼をこなして、報酬を得、各地の豪族や賊などとコネを作ったり、敵対したりしつつ、生き残りをかけるという趣旨。
182年1月からスタートして、182年5月末までの約半年間を体験出来ました。
ゲームシステムとしては、傭兵団運営サバイバルシミュレーションRPGライク。
光栄のゲームで言えば、大航海時代シリーズの海賊系戦闘メインプレイともいえるかな。
目新しい訳ではないシステムではありますが、舞台となる時代の選択、設定の妙があって、デモ版で既に、47時間程プレイしていました。
当然ながら、発売日に即、購入!でございます。
黄巾の策謀蠢く時代、河北に絞った舞台、主人公の人選の妙!
舞台となるのは河北と中原の北部。
時代は、太平道が勢力を拡大し、朝廷の宦官達に取り入って漢の転覆を謀る、黄巾の乱の前夜。
選べるのは、ストーリーモードとサンドBOX(所謂フリーシナリオモード)
ストーリーモードの主人公は、袁術の庶子である袁罡。
そして、袁罡をクリアする事で、趙雲でのプレイが解放され、その後、アップデートで太史慈編も解放されました。
という事で、まずは袁罡くんでの開始状況などを少々。
義勇軍として頭角を現す前の劉備主従も活躍していた黄巾の乱。
その太平道の胎動の時期は、各地は未だ漢朝の所属で表立って戦乱が起きているわけでもありませんので、国盗りシミュレーションゲームとしては面白みは少ない所ですけれども。
逆に傭兵団サバイバルシミュレーションRPGライクとしては、遊びの余地が大きく、面白いという妙がありますね。
舞台となる地域は、洛陽を西南の端として、東端は小沛、泰山といった徐州北部。
そして、高句麗と隣接する北東端、万里の長城に隣接する北端と言ったところ。
三國志ゲームとしては、中国全土の四分の一程度と、太平道が勢力を誇った地域に舞台を絞る事で狭すぎずの範囲ともいえますけれども。
袁家庶流の袁紹は、この舞台の中央付近、冀州にて地歩を固め、嫡流の袁術が都、洛陽に勢力を置き、皇甫嵩、盧植など後漢朝廷の名将達が北方守護として河北に散らばる群雄割拠前夜。
袁術の庶子として僻地へ追いやられて、三國志に登場しなかっただけの有り得そうな人物です、と言い訳して河北を牛耳ていく伯父の袁紹に可愛がられて、活躍する物語を期待される袁罡くん。
この設定よりも古い時代であれば、各地の治安も低くなく、成り上がりには向かない統治の時代ですし。
黄巾の乱以後では、すでに傭兵団のような規模の勢力は活動の余地もない位の勢力規模の群雄が並び立ってしまっていますし、三國志演義では割と早々に退場して後継者の名も記されなかった偽帝袁術の架空の出来の良い息子という仕立ては、三國志を傭兵団サバイバルゲームに落とし込むには、うってつけだな、と感心します。
展開としては、各地に眠る陵墓を暴いたり、賊退治したり、勢力同士の抗争に巻き込まれてみたり、と知名度やお金を稼いで成り上がっていって、最終的には黄巾の乱に参加!
中国で人気の武侠小説をベースになっているようなのですが、この設定、絶妙な塩梅で、素晴らしいですよね。
追加で解放される趙雲についても、頭角を現すまでの過去に創作、妄想の余地があるので浪漫というか、ワクワクが止まりませんねー。
戦闘はAUTOでワチャワチャと集団戦
戦闘時には、ミニキャラがワラワラと接敵してワチャワチャとAUTOで攻撃や回避判定などがなされます。
プレイヤーは、経過速度を変更したり、キャラを選んで移動先(接敵先)を選択するか、計略を使うタイミングを決めたり、撤退を指示する位の介入度合。
上記画像のどちらかの表示を設定で切り替えることができ、下側は、まるでベイブレードのようにガチャガチャとぶつかりあったり、吹き飛ばされたりという感じ。
血しぶき描写があったり、しますので、上側だと若干グロ画像気味になったりしますし、地形とキャラが被って、自陣営がどこにいるかわかりにくくなるので、私はベイブレード風で遊んでいます。
部隊長と、配下という組み合わせで配置され、小隊単位やキャラ単位で選択、目標設定が出来るのですけれども。
後は見守るだけ、なので、ファイアーエムブレムだとか、ディスガイアといったプレイヤーが操作するストラテジー的な要素はございません。
好き嫌いはあるかもしれませんが、私は好きですね。
武器同士のぶつかる金属音や、斬られる効果音など、ゴチャキャラバトルではありますが、勝利すると結構な爽快感があります。
凄惨な戦闘なんですけれども。
集団運営の基本として、日銭を稼がねばならないのです
武侠小説をベースとしていますけれども、基本的には三国無双のような万人敵な英雄が多数を薙ぎ倒す展開ではございません。
人数こそ正義、とまではいきませんけれども、人数差によっては多勢に無勢を地で行くように負けてしまいます。
故に、集団運営が必要なのですけれども、その為には、金銭、とにかく、お金が必要となります。
主人公以外は一日辺りの賃金が発生し、それが払えない場合は忠誠が激減し、出奔してしまいます。
また、食料や、武器防具の手入れ用の資材など、消耗資源が存在しており、こちらの補給の為にもお金が必要となるのです。
その金策としては、古墳などの盗掘、各地の商品を需要の高い場所で販売、といったものもあります。
しかし、一番利用する金策は、依頼受諾になるでしょう。
報酬を獲得できる依頼は、主に二つの場所で発生しています。
ひとつは、街に入った時にすぐに表示されている右側の巻物たち。
もう一つは、豪族と呼ばれる方面司令や軍閥などの本拠で受けることが出来るもの。
街ごとに発生しているミッションは民間人のもの(上)と役所からのもの(下)があります。
総じて、民間ミッションの方が、報酬が低く、難易度は低くなりがちではありますけれども。
護衛(襲撃受ける系)と討伐という最終的には戦闘で解決する形の依頼となりますね。
豪族から受ける依頼であると、商品を調達したり、交渉(説得or戦闘)したり、護衛したり、拠点を襲撃したり、という種類があり、商品の調達だけが唯一暴力で解決しない依頼になります。
依頼は、期限や襲撃者などの要素があるものの、金銭だけではなく声望や、功績などが入手出来るので、序盤はともかく、常に依頼を受けつつ進行していくのが良い、位の感覚ですね。
このゲームでは、主人公を含め、侠客たちを集めて強化する事が重要なのですけれども。
声望を集めることで、部曲(小隊)数を増やし。
功績を高めることで、部曲長の指揮下人数が増えることで、集団としての戦闘能力が向上していきますので、声望、功績は重要です。
特に、一人の強力なキャラが居たとしても、集団に囲まれてしまうと、あっという間にぼこぼこにされてしまうので、「戦いは(とりあえず)数だよ!」という方向性で間違いないと思います。
後半には、「戦いは、強者の数だよ!」と質を伴わない集団は勝てなくなるのですが。
蒼天すでに死す、黄天まさに立つべし
メインストーリーは、黄巾の乱の終結までの動乱です。
ラスボスは、大賢良師張角でございます。
時が進むにつれて、戦役と呼ばれるイベント戦闘が発生し、ストーリーが進んでいきます。
戦闘自体の仕組みは、通常のものと同じです。
特殊な配置だったり、時限式に部隊が戦場に登場して、援軍、伏兵、計略を表現していますね。
戦役では、討伐対象の撃破や、経過時間、味方の生存などを条件に評価が決定し、褒賞なども良くなっていきます。
また、各戦役の評価を総合して、エンディングが変わります。
一定の期間、舞台となる城市で参加する事が出来、期間中ならば何度でも挑戦可能です。
ただし、怪我や、武具の破損など、回復に時間経過が必要な損害は、即時に回復する事はないので、気軽に再挑戦できるわけではありませんけれども。
強い武具を揃え、侠客たちを集め、一大集団として成長しない事には、戦役には勝てません。
時間を惜しんで功績や声望を稼いでいくのが、大目的になりますね。
ダブルヒロインと、三國志のアイドルと。そして、その陰にある凄惨な表現や過酷なバッドステータス達に翻弄されます
主人公が袁罡くんの場合、こちらの三人の内、二人、王姒さんと司馬胭ねえさんがヒロインとしてイベントがあります。
王姒さんは、ツンデレ系剣客女子。
司馬胭ねえさんは、姉御肌侠客となります。
どっちも、凄惨なイベントやら、描写がありますので、(ーωー)な顔になりますけれども。
世は麻のように乱れた、動乱の時代なので仕方がありません。
貂蝉さんは、特にイベントはなかったかな。
史実キャラとしては貴重な女性陣ですが、貂蝉さんは、少し弱め。
戦力的には、ランダム生成されているモブキャラ達の方が上回る場合もあります。
ヒロイン二人は、下手をすると袁罡くんの活躍を奪うレベルで強いですね。
史実キャラでも、強モブキャラに戦力的に負けてしまう場合もあるので、貂蝉さんは平均的と言えるかな。
キャラ愛では、最終的に勝てなくなってきますので、気が付くと強史実キャラ以外の史実キャラは予備隊に入りがちです。
賊の根拠地を襲撃すると、頭目や配下をスカウト出来、勢力値に応じたレベルになっているので、在野状態だったり、豪族の配下から引き抜く場合よりも高レベルでつよい事があり。
序盤に仲間になると割と活躍できるレベルで嬉しい、張コウさんが、後半にスカウトに行ったらレベルが低すぎて戦闘の度に行動不能になってしまって、育て難い事になったりします。
また、ゲーム開始前の難易度設定次第では、呂布や関羽、張飛などの猛将たちでも、戦闘時に怪我をして、取り返しの付かない事態になる場合があります。
特に、囲まれてぼこぼこにされて行動不能になった場合には、指欠損だとか、片腕喪失だとか、隻眼になっちゃったりして、呂布なのに、片腕、片足無くなって弱い!となったりするという事です。
この怪我ON状態の難易度では、低レベルで加入するキャラは序盤に集めて置かないと、後半では、成長はおろか、戦場に立てないレベルの怪我で歴史の舞台から消えていってしまいます。
もちろん、あんなに可愛い貂蝉さんや、王姒さん、司馬胭ねえさんも例外ではありません。
キャラポートレートは変化しませんが、能力値の欄に「指欠損(武器を上手く扱えません、ペナルティ)」とか「足の切断(移動速度にペナルティ)」のような文字が躍ってしまいます。
一回このモードにしてみましたが、あまりに酷い怪我が続出したので、私はオフにしていますね。
猛将は怪我なんかしないんだよ!
だから、猛将なんです!
メーカーおススメ難易度は、おススメしないけど。金剛不壊モードでサクサク猛将たちと戯れよう!
黄巾の乱が発生する直前の動乱時代に河北を傭兵集団でのし上がるバトルクラン育成ゲームとして、かなり面白いと思います。
史実キャラたちの能力査定も、光栄ゲーとは違ったりして興味深いです。
序盤から中盤に掛けての攻略セオリーを見つけるまでの楽しさと苦しさ。
中盤以降はどちらかというと黙々と戦力強化マラソンになりがちではあるので、そういう強化系ゲームが好きな人には刺さりそうです。
リアリティを求めず、行動不能になっても大怪我しない金剛不壊モードで、腕っぷしでのし上がる猛将たちを従えるプレイを楽しめれば、勝かなあ。
リアルに怪我をするモードで、開始早々に野盗に囲まれた主人公が行動不能になって、腕が無くなった時は、普通にリセットしましたからね。
もう一度いいます。
三國志の英雄は、腕が取れたり、指がなくなったりなんかしない!
だって英雄だもん!
こういうプレイではありますが、義勇兵を募って転戦した劉備のように黄巾の乱討伐に参加できるSRPGとして、好きな作品です。
万人に受けそうにもないのが、残念でもあり、しかし、だからこそ、私に刺さってきたという事実は動かせないので。
このゲーム、私は大好き!
でも、おススメしません!
ってなってしまいますw
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購入金額
3,060円
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購入日
2025年06月17日
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購入場所
steam















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