今まで書斎にイームズチェアを置いていたのですが、他の場所に移動したため新たにオフィスチェアを購入。椅子はへたってくるのでイームズのようなへたらない椅子が良いなと思っていたのですが、ちょっと考え方を変えて耐久背の高い「オフィスチェア」を購入してみました。
僕が購入したのは、イトーキの「サリダ YL-6」です。サリダはスペイン語で「旅立ち」を意味する言葉となっています。
今回、一般的なデスク用チェアではなくオフィスチェアにしたのは、いろいろ理由があるのですが、順番に説明していきます。
オフィスチェアと、そうではない普通のデスクに使われる椅子とどう違うかですが、オフィスチェアは長時間快適に座るための機能性重視、家庭用の椅子は短時間使用やインテリア性を優先して作られている点が大きな違いです。調整機能・姿勢サポート・耐久性など、オフィスチェアの方が機能的に圧倒的に高性能ですね。
オフィスチェアとは、高さ調整・背もたれ・キャスター・回転機構などを備え、快適性・集中力・生産性を高めるためのデスクの前で座る道具という定義になるかと思います。
また、商業利用を前提としているため、数年単位での使用に耐える堅牢な構造になっています。
メッシュやモールドウレタンなど通気性・耐摩耗性に優れた素材が使われることが多いのも特徴です。
身体のパフォーマンスを支える道具として設計されたのがオフィスチェア、生活空間に彩りと快適さを添える家具として作られたのがその他の椅子と言えるかと思います。
椅子を配送してもらうまで毎回ドキドキするですが、今までで一番小さい箱だと思います。
1人用ソファなどに比較するとコンパクトで全然軽いですね。
女子でもぎりぎり持てる重さかと思います。
箱については、組み立て台として使用できると、はっきりとプリントされていました。
確かにしっかりとした造りの箱で、実際にテーブル代わりに使えました。
普通の段ボール箱なので、リサイクルボックスにも出しやすく廃棄しやすいのも良いですね。
梱包材も少なく、ごみが出ないのは嬉しい。
組立時間ですが、10分もかかりませんでした。
見た目こそシンプルですが、各パーツの精度が高く、ガタつきも少ない。
昇降のガスシリンダーの滑らかさや、シンクロロッキングの剛性など、エントリークラスとしては異例の安心感があります。
サリダ YL6 の外観の第一印象は、やぱり背もたれの独自の構造と装飾性。
どこか装飾的で個性の強い海外ブランドのオフィスチェアに近い、空間に溶け込みながらも派手に存在感を感じる佇まいです。
僕が購入したのは全身ブラックですが、ホワイトモデルやカラバリも多少あります。
フレームに併せてキャスターなどもブラックなものを選んだので、多少主張の少ないイメージにはなったのですが、背もたれの紋様の独特なところはお洒落かなと思います。
設計思想でいえばフレームは直線と曲線のバランスが取れ、背中に沿って滑らかに湾曲。
足元は5本脚キャスターの標準形状ですが、軽快で引き締まったプロポーション。
まず最初に座った瞬間に感じたのは、「包み込むような剛性感と、蒸れない背中の軽やかさ」です。背もたれは身体にフィットしつつも、しっかりと反発してくる構造。腰をあずけたときに沈みすぎないため、支えられている感覚が明確にあります。
背もたれを倒してみると、元に戻る力(トルク)がやや強めに設定されています。
リラックス姿勢を長く取りたい人には、もう少し遊びが欲しいと思えるかもしれないです。
僕は、このハイバックの外観が特徴的で良いな、と思っています。
イマドキのソリッドなデザインで、メッシュの柔らかさや平面的なものとは違う、独自のビジュアルだなと思います。
この背もたれ部分はかなり立体的なのですが、そのシルエットにあわせて絶妙なラインを作っており、眺めているだけでもけっこう唸らされます。プロダクトデザイン好きは、こういうの好きですよね。すっきりしたデザインで空間がスタイリッシュになります。
メッシュは熱放散性能に優れており、背中から放出される体温と湿気を外部へ逃がす「通気性能」が備わっています。これにより長時間の着座でも蒸れにくく、快適な熱バランスを維持します。
比較的コンパクトな椅子ですが、ハイバックのため背中全体を預けられる大きさはあります。少し倒して球形を取る時も楽です。
うん、男らしく、スタイリッシュで、美しい。
少しマットな素材感も良い。
パンチングメタルに通じる工業的なかっこよさがありますね。
視覚的にも圧迫感がなく、空間にすっと溶け込むような佇まい。
背骨に沿うようなS字ラインが、やや硬質な印象の中にも柔らかさを残しています。
ポリプロピレン素材でできており、ハイテンションメッシュよりもさらに硬いのが特徴。
ソファのような柔らかさを求める人には不向きですが、僕はあまり背もたれを使わないのでこういうハードタイプの方が剛性があってへたりにくく長く使えると思っていて嬉しいです。
普通の椅子に比べて通気性に優れたメッシュ形状で、夏場でも蒸れにくいというのも良いです。
YL6の背面構造は、湾曲した樹脂フレームに通気性の良いメッシュ状にして組み合わせた設計。オールメッシュのような荷重分散はないものの、しっかりと背中全体にかかる圧力を広範囲に分散させて局所疲労を回避する役割を担っています。
背面の背もたれは腰のあたりは柔らかい曲線を描いており、硬めのテンションが効いているため姿勢が崩れにくいです。安心して背中を預けられる感覚は絶妙です。座るまでは背中が硬いのかな、と思っていたのですが、沈まずに押し返してくる反発があるのは意外に気持ちよくて癖になります。仕事モードの時とかやる気でそう。
硬い背もたれは体が沈み込まず、余計な動きを抑えるため、自然と良い姿勢を保ちやすくなります。
特に腰椎(腰の骨)をしっかり支える構造になっていることが多く、骨格アライメントの崩れを防ぎます。集中作業・タイピング・設計・デスクワークに最適です。
リラックス重視・体を預けて休みたい・長時間の会議中心、などの場合は、ソフトで包み込むような背もたれのほうが快適に感じられることもあります。ただし、柔らかすぎるチェアだと、背中が丸まりやすく、リラックスしすぎて逆に疲れることもあります。「働く姿勢」に合わせて椅子を選ぶのがポイントになりそうです。
座面のクッションは、明確に硬いです。使っている内に沈んで柔らかくなってくるかもしれないですが。硬さと反発力のバランスがよく、一般的な椅子とは違う座り心地で最初に違和感があります。なんというか、フラットに平面なんですよ。お尻に合わせたカーブが無いというか。僕は椅子の上で胡坐をかいたりするのでこういう形状はウェルカムなのですが、ここまで平面な座面は今まで無かったので正直とまどいました。
座面部のクッションはポリウレタン製のモールドウレタン(成型クッション)で、弾性体としてのエネルギー吸収と反発特性をバランス良く保持。これにより長時間の座位でも血流阻害を最小限に抑える構造力学的な配慮が見られます。
座面クッションは硬めですが、ガスシリンダーによるテンション、座面を支えるベンディングシート基盤の体圧分散スリットにより構造体自身で沈み込む柔らかさがあり、ここでも反発力による身体を支えてくれるような気持ちよさが実感できます。
クッションがへたってくると、底の材質の硬さが実感すると思うのですが、スリットのあるベンディングシートは構造自体で沈むので、へたってきても余り気にならないかと思います。
そして、僕が椅子をオフィスチェアにした理由のひとつですが、この座面、交換パーツが販売されているのです。長時間使おうと思うと「座面のへたり」が気になって丈夫なものを買おうとすると思うのですが、そもそも交換パーツが用意されているなら、あまり気にする必要もありません。
このあたりがオフィスメーカーのよいところで、安心ですね。
背と座が連動して傾くシンクロロッキング機構は、二軸的な回転モーメントの最適化を図った機構です。特に人体の腰椎と仙骨の角度変化を考慮し、無意識のうちに正しい座位姿勢へ導く動的バランス制御がされています。
ナイロン製のキャスターは、床との接触音を最小限に抑え、同時に微細な床振動を吸収する減衰設計がなされています。これにより静音性が保たれ、執務空間の集中力を損なわない配慮がされています。
サリダ YL6 は、一見シンプルなオフィスチェアに見えて、構造・熱・運動・振動といった複数の物理現象が複雑に絡み合う中で、「人の疲れにくさ」や「姿勢の正しさ」「使いやすさ」といったアウトカムを物理学的にデザイン設計で解いている製品と感じました。
他ブランドとの比較
オフィスチェアの3大ブランド、
- イトーキ
- オカムラ
- コクヨ
の各製品について、比較してみました。
オカムラはエントリーモデル「シルフィー(8万円台)」、コクヨは「エントリー2(2万円台)」を対象モデルとしました。
オカムラ「シルフィー」
僕が実際にオフィスで使用している椅子です。
オカムラは「可動性と包み込み感の両立」が設計哲学の核で、強みは- 高級感と耐久性です。
カラーや素材、オプションの選択肢が多く、空間に合わせたコーディネートが可能なメーカーだと思います。どちらかというと高価格帯の製品が多く、ハイエンドモデルは高評価のものが多いです。
シルフィーは、背もたれのカーブをユーザーが調整できるなど、人の動きに応じて形状を変える椅子。曲面や接合部に柔らかいラインが多用され、形状自体が機能を物語るデザイン。 カラーバリエーションも豊富で、空間を演出するプロダクトとしての側面も重視しており、価格的にも少しハイクラスでカジュアルな業務空間に合うと思います。
コクヨ「エントリー2」
コクヨは市場では文房具や事務用品などのイメージが強いと思うのですが、そのイメージのままにエントリーモデルからハイスペックモデルまで、幅広く価格帯と用途のバリエーションが豊富なメーカーだと思います。見た目と機能のバランスに早くから注目しており、グッドデザイン賞など国内外の受賞歴のある製品も多いです。
価格帯や用途が近いため真の競合製品といえます。
YL6が道具としての合理性があり主張せず空間に馴染むのに対し、エントリー2はシンプル+最小限のエルゴノミクス機能搭載した廉価版といえます。短〜中時間向けの設計仕様で、やや簡素で優しめの丸みがあるのが特徴。見た目も特徴の無いカジュアル寄りだと思います。
予算重視+シンプルでよければENTRY2も選択肢になるかと思います。
イトーキ「サリダ YL6」
イトーキは独自のロッキング機構やベンディングシートなど、座る人の快適性を追求した技術への先行しており、開発力が高いイメージ。美しいフォルムと高機能を両立したメーカーという印象です。
万人が、何も考えずとも快適に使えることを第一にした、合理的なプロダクトが多いと思います。
業務用らしい合理性
無駄を削ぎ落としたミニマルな外観に、実用性を的確に内包した機能美のあるオフィスチェアです。視覚的な主張は控えめながら、通気性・姿勢保持・操作性が丁寧に設計されており、まさに「道具としての美しさ」を体現しています。
座面は水平を基調とした控えめな造形で、ワークスペースの線的要素(デスクの天板など)と自然に馴染む。シンプルな素材構成で、色味・質感が統一されており、チグハグさは感じません。余計な丸みを排したミニマルなフォルムが、YL6全体の印象を引き締めています。ただし質感自体は高級感より業務用らしい合理性が前面に出ており、インテリア性を求める人には物足りなさもあるでしょう。
数年後の使用感に差が出る
樹脂パーツ中心の構造で、ホコリや汚れが付きにくく、拭き取りやすい設計です。
シンプルな機構で故障リスクも少なく、長期間ノーメンテでも快適に使える実用性の高いチェアです。
硬めの構造は、長年使っても形状が崩れにくく、支持性能の持続性が期待できます。
特に背骨が当たる部分の張力がしっかり維持されるため、数年後の使用感に差が出ます。
オフィスチェアのエントリーモデル
1万円台後半〜2万円台でメッシュ・シンクロロッキング・ガス昇降など基本性能を網羅。
同価格帯では珍しい安定感と座り心地があり、実用性と品質のバランスに優れた高コスパモデルです。
格安の量販品に比べれば高価で、高性能なオフィスチェアと比較すれば破格に安い。
何を求めるかで評価が変わると思います。
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購入金額
29,900円
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購入日
2025年06月03日
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購入場所
公式サイト









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