MMCX用のケーブルでバランス接続に対応する比較的オーソドックスな音調のケーブルが手持ちにないため、今回は3.5mmシングルエンドのみで試聴します。DAPはiBasso DX300＋AMP13、LUXURY&PRECISION L5Proを使ってみました。

まずはDX300＋AMP13でローゲイン端子に接続して聴いてみます。

「40 Trips Around The Sun / TOTO」からのシングル「Alone」を聴いてみると、MA910S以上に音場がふわりと広がります。比較的音が濃い真空管アンプのAMP13を使っているということもあるのでしょうけど、密度感もまずまずで悪くはありません。ただ全体的に音像の輪郭がはっきりしない感がありますし、高域方向は新開発のRSTとはいえやはり圧電セラミックドライバーですので音色がちょっとしっくりきません。

そこでケーブルをACOUSTIC REVIVE REC-130SH-Rに替えてみると、音場の広さはそのまま残り密度感が向上して音像も鮮明になってきます。これなら1万円以下として十分納得行くレベルとなります。とはいえRSTの高域の質だけは何ともなりませんが…。

続いてケーブルをREC-130SH-RにしたままLUXURY&PRECISION L5Proで聴いてみます。

まずは「FREEDOM / Journey」から「Together We Run」を聴きます。L5Proはあまり音場が広がらず狭い範囲に濃い密度で展開されるタイプなのですが、元々音場が広いMA Pro1000と組み合わせると広さも密度もそこそこで丁度良いバランスです。DX300＋AMP13では低域方向の押出しが大人しかったのですが、力感も出るL5Proではこの点もそこそこ補われて相性の良さが感じられます。

ハイハットの金属感が出ないのは方式上仕方ないところですが、それ以外の点では常用したいとまでは思いませんが、そこそこ使える音でまとまっていると思います。たまたま目にとまったREC-130SH-Rですが、このケーブルとの相性も良好です。

ただ「for you... / 高橋真梨子」では、どうしても髙橋真梨子のヴォーカルの艶やスケール感が表現されるところまでは行きません。まあ、この辺りは他の1万円前後のイヤフォンでもきちんと出るものはそうそうありませんのでやむを得ない所でしょう。

私の場合そこそこ納得行くレベルのイヤフォンが何本もある状況ですから、この製品を敢えて常用する理由はありませんが、1万円前後で何か一本というときには選択肢になり得るだけの実力は感じられました。強いて言えば標準ケーブルは全体的にやや輪郭がボケる傾向がありますので、この辺りで好みが分かれるかも知れません。