厳密に言えば私が購入したわけではないのですが、身内が改良モデルMega 5P Ultraと両方持っているということで、セットで借りて試聴しましたので、その結果をここに掲載しておきたいと思います。
中国Hisenior Audioは以前超格安カスタムイヤフォンを購入して取り上げたブランドです。
相変わらず格安なカスタムIEMや、セミカスタムモデルなども手がけているのですが、近年は$200~$600辺りの価格帯となるユニバーサルモデルの拡充に力を入れているようです。但し日本では代理店がありませんので、メーカーと直接コンタクトを取って購入するか、AliExpressで展開されている現地代理店で注文するか、いずれかの手段で入手することになります。
今回取り上げるのはHiseniorがユニバーサルIEMを拡充し始めた初期のモデルとなる、初代Mega 5Pを取り上げます。
これは発売当時キャンペーン価格で$199となっていて、$1が120円台という時期の製品でしたから、感覚的には3万円以下クラスということになります。
(恐らく)合皮製のケースに収められていました。私が借りた時点でケーブルはBrise Audio ASUHAに交換されていましたので、この後比較する後継モデルMega 5P Ultraの試聴には私が持っている同タイプのASUHAを用意して、条件を揃えることにします。
また純正イヤーピースが用意されていませんでしたので、acoustune AET08を双方に装着した状態で比較しようと思います。
音そのもののバランスは良いが、シェル形状が人を選ぶ
まず、いきなり問題があったことに触れなければいけません。最初頭を下を向けて聴き始めた時点では悪くなかったのですが、顔を少し上げるとシェルがすぐに動いてしまい、音がスカスカになってしまうのです。実はイヤーピースも他に数種類用意したのですが、どれを使っても私の耳できちんと装着することは出来ませんでした。左耳側は何とかなる場合もあったのですが、右耳側できちんと装着できた組み合わせはありません。この時点で私が聴いく限りにおいてこのイヤフォンが真価を発揮することはありませんので、これ以降の音質についての記述はそれを踏まえた上でご覧下さい。
音質評価はいつも通りCayin N6ii/R01で行います。
試聴ソースは以下の楽曲を使いました。
・「Someone Needed Me The Most / Chicago」(アルバム「Born For This Moment」)
・「Fields Of Gold / Sting」(アルバム「Ten Summoner's Tales」)
・「It's A Feeling / TOTO」(アルバム「TOTO IV」)
・「星座になれたら / 結束バンド」(アルバム「結束バンド」)
いずれもLPレコードから起こした24bit/88.2KHzのWAVです。
可能な限りきちんと装着出来ているという前提においては、この価格帯のイヤフォンとしてなかなか完成度の高い製品だと思います。
「Fields Of Gold / Sting」では、さすがに直前に耳慣らしに聴いていた64AUDIO U6tと比べれば差は付くものの、レンジの広さも十分ですし音場もまずますきちんと構築されます。低域方向の充実度は価格分だけ大きく差を付けられますが、音楽としてのバランスはMega 5Pの音でもきちんと保たれています。
ただ少し気になったのは「It's A Feeling / TOTO」で、この曲に関してはドラムセットとキーボードの距離感が他のイヤフォンやヘッドフォンとは明らかに違ったものとなっていて、不自然さが覗きます。いわゆる中華イヤフォンでは意外とあるのですが、大体のソースでは価格からすれば十分良い音ではあるものの、何か特定のソースを聴いたときだけ破綻するというパターンです。そういったそうソースにでくわわさなければ満足感しかないのでしょうけど…。
「Someone Needed Me The Most / Chicago」はシカゴのホーンセクションの音色は若干安っぽさが感じられますが、これは3万円以下クラスで自然に感じられるイヤフォンはまずありませんので、クラスを考えればむしろ上々でしょう。ニール・ドネルのヴォーカルは少しハスキーですが、彼自身の声にはきこえますので許容範囲です。
「星座になれたら / 結束バンド」は、ベースラインの鮮明さはありませんが、ドラム細かいタッチはなかなか上手く再現されています。この曲はレコードから起こしていますので、CDや配信と比べると恐らくアタックが少し丸くなっていると思いますが、その点も含めてまずまず自然なレベルでまとめてくれました。最近のポータブルオーディオはどうしてもアニソンやJ-Pop、J-Rockのアタックを潰したダイナミックレンジの狭い音源に最適化されていることが多いのですが、Mega 5Pはその傾向があまり感じられません。個人的にはこの方が好印象です。
総じてどのソースも価格帯を考えれば高い次元でまとめてきていて、さほど苦手なソースがなさそうな点は好印象です。何故か「It's A Feeling」だけは音場のバランスが崩れてしまったのは不思議ですが…。
「イヤフォンには払えるのはせいぜい3万円までだな」と思う人が選ぶのであれば良い選択肢ではあると思います。それだけに私の耳にきちんと収まらない形状だけは残念でした。形状が良ければもう少し評価は上がったということは書き添えておきたいと思います。
標準添付品などに関する補足事項
レビュー本文を執筆した時点ではMega 5Pの純正添付品が無い状態だったのですが、その後添付品も借りてきました。
購入時のケースは、Mega 5P Ultraと同じこのペリカンケースだったそうです。
それ以外の添付品です。ケーブルは3in1プラグのものです。折角ですから4.4mmバランス出力を使ってCayin N6ii/R01で試聴してみます。なお、イヤーピースは多少なりとも装着感が改善するradius ZONEのSサイズにしています。
当然ではありますが、Brise Audio ASUHAよりは性能は落ちます。音場が一回りスケールダウンしますし、低域も深みが表現されにくくなります。全体的な解像度も落ちています。
それでもトータルバランスとしては3万円以下クラスとして考えれば好ましい水準であることに変わりはありませんし、コストパフォーマンスの評価は変わりません。装着感さえ良ければもっと評価できたでしょう。
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購入金額
0円
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購入日
2024年08月14日
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購入場所
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