U.C.ガンダムBlu-rayライブラリーズ、「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」です。
Amazon のセールで半額近かったので購入しました。人気なのかあんまり値下げされないですね。
全13話が4枚のディスクに入っていて、一気に視聴することができます。
僕は前情報の無い何も知らない状態で丁寧に順番にガンダムを視聴していったので、ストーリー展開を知らなかったのですが、宇宙用装備に換装していない GP01 がメッタ撃ちされているあたりで悲鳴を上げ胸が締め付けられるような絶望感を味わい、OP が変わって謎のガンダムが出現した際にはワクワクしたりと非常に楽しめる作品でした。
『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』は、1980年代後半のガンダムブームを経て、1991年に制作されたOVA作品です。この作品は、宇宙世紀(U.C.)の前半に位置する「0083年」という年代を舞台にし、「一年戦争」後の混乱と、その後の政治的・軍事的背景を背景にしたドラマを描いています。最初のファーストガンダムからZガンダムの時代である「グリプス戦役」までを繋ぐ位置づけで、Zガンダム劇中に登場しない「新型ガンダム」という高性能機体について、どう説明しオチを付けるのかという点でも興味深かったです(胸糞悪い結果だったけど)。
Zに敵役として登場する人物たちも、敵勢力として力を付け始め暗躍し、地球連邦軍の中のエリート部隊として「ティターンズ」が誕生する気配をみせるところはゾクゾクします。
ガンダムならではの「ニュータイプ」の哲学が登場しない作品であり、ミリタリー感や人間ドラマを追求した作品であり、ロボット(モビルスーツ)のデザインや戦闘描写も非常に緻密です。
コクピットの中で顔にシワを寄せ苦悶の表情を浮かべた登場人物たちが怒鳴りながら操縦桿を握る、そんなシーンも多いです。
『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』は、単なるロボットアニメを超えた深い人間ドラマがある作品です。宇宙世紀という広大な歴史の中で、登場人物たちの成長や対立を描きながらも戦争の無常を訴える姿勢は、ガンダムシリーズの核となるテーマを確実に継承しています。
Blu-ray版での視聴は、その映像美やサウンド、細部に至る作画の美しさを再確認できる絶好の機会でした。特に、ガンダムという作品が持つ「モビルスーツ=戦争の象徴」という角度からの哲学的要素での主張は、いつもとは違う体験となりました。
『0083』は、戦争というテーマを扱いながらも、MSパイロットたち登場人物一人一人が駆け抜けたドラマに焦点を当て、その葛藤と成長を描くことで、視覚的にも思想的にも深い余韻を残すといえます。
映像美の再評価
Blu-ray版における最大の利点の一つは、映像のクリアさと高精細な画質にあります。
オリジナルのOVAが放映された1991年当時は、標準的なビデオ映像が主流であったため、当時のアニメーション表現における限界もあったようです。それでも画質の弱点とはならず、当時の手描きの美麗な作画が見事に再現され、色彩やディテールの深さに新たな命が吹き込まれています。
モビルスーツの戦闘シーンは圧巻で、重厚な動きがよりリアルに感じられます。特に「GP02A サイサリス」のビーム核攻撃シーンや、「ガンダム戦」の激しいバトルシーンは、緻密な作画と迫力ある音響効果と相まって、まさに視覚と聴覚の両面でガンダムの戦争ドラマを堪能できます。
『0083』の大きな魅力は、単なるロボットバトルにとどまらず、人間ドラマを強く描いた点にあります。特に、登場人物たちの思想、苦悩、そしてそれぞれが持つ過去が、作品全体におけるテーマ性を高めています。
物語の中心となるのは、主人公である連邦軍の新米パイロットであるコウ・ウラキと、ジオン残党のエースパイロットであるアナベル・ガトーの対決です。
コウは、真面目でMSに詳しく、類まれな観察眼と機体特性に合わせることができる優れた操縦技術を持つ一方で、戦争に対する理想と現実との葛藤に苦しみます。
一方、ガトーは過去の栄光を取り戻すことに執着し、戦争の中で自らの信念を貫こうとします。二人のキャラクターは、お互いの正義と主張で反発し合いながら、どこか相手に共感し、それでも立場の違いから理解を示さない。これは、戦争という極限状態での人間の心の動きを非常に巧妙に描いており、単なるロボットアクションにとどまらない深みを感じさせます。
また、ニュータイプというテーマが存在しないのも本作において重要な要素です。
ニュータイプが持つ「感覚的共鳴」や「直感的な戦闘力」という超能力を排除して、物語を通じて普通のオールドタイプとして人間的にも成長していきます。
コウとガトーは、ニュータイプとしての直感を持たず、お互い「敵」をどう倒すかに苦悩し、何が正しいのかを模索し続けます。このテーマは、戦争を通じて「人間とは何か」を問い続けるガンダムシリーズ全体の根底にある哲学をさらに深めているともいえます。
音楽と演出
戦闘シーンや緊迫した場面においては、ガンダムらしい音楽も効果的に緊張感を高めています。
ガンダム系作品では音楽が非常に重要な役割を果たしますが、『0083』では、戦闘の疾走感やドラマの抑揚を巧みに表現しており、視聴者を引き込む力があります。
また、演出面でも、キャラクター同士の対立やその内面的な葛藤がビジュアル的に表現されており、アニメーションとしての視覚的美しさと深さが際立っています。特に最終回に向けた演出は、ただの戦争の終息を描くだけでなく、登場人物たちの成長と苦悩を見事に描いています。
モビルスーツのデザインと機械美
主役機のデザイナーはマクロスシリーズのデザイナーである河森正治氏。現代の戦闘機のシルエットに近い、線の少ないシンプルなタッチですが、ファーストガンダムである RX-78 の次の機体としては未来的であり、説得力があるといえます。SEED系みたいに変な翼を背負っていないだけリアリティがありますね。
『0083』のモビルスーツデザインは、「ガンダムシリーズ」の中でも非常に洗練されています。特に、モビルスーツのデザインがそれぞれのキャラクターや勢力のアイデンティティを反映しており、デザインが物語の深さを一層引き立てています。
ガンダム試作1号機(GP01 "ゼフィランサス")と 試作2号機(GP02A サイサリス)のデザインは、洗練さと重厚感という対立性がありながらも、機械としての美しさと人間の戦争を象徴するような冷徹さを感じさせます。
「サイサリス」の異常な火力と圧倒的さを体現することとなったシーン、単独で突っ込みソロモンにアトミックバズーカを一撃見舞う場面は作品中屈指の名シーンで、アクションとしてのインパクトはもちろん、登場キャラクターである「アナベル・ガトー」の勇猛さ強靭さ、ジオンの過去への復讐心、悲劇を背負ったドラマ性を感じさせます。
後半に登場する GP03 ステイメン などの登場機体も、実に巧妙にそのデザインが物語のテーマを強化しています。技術的背景がZの時代を超えないようにするために「強さ」をどう表現するか難しかったと思いますが、かなり良いデザインですね。
また、当時はCGを使用したデジタル技術が普及されていなかったそうで、ロボット同士の戦闘シーンや、爆発、飛翔といった描写、キャラクターの表情の描写も全て手描きなのだそうです。デジタルや CGではない先進的に見えないかもしれないのですが、先進的といえる設計図的なディテールと、戦闘シーンに動きの説得力を与える構成力。このあたりのデザインが素晴らしいといえます。
統一性のあるパッケージ
コレクション要素が高く、所持する楽しみがあります。
ディスク4枚がまとめられているのでコレクションとして場所をとらないのも良い。
セール中なら迷わない
安く購入できたので大満足です。
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購入金額
12,633円
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購入日
2024年07月21日
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購入場所
Amazon
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