私が以前から愛聴しているヴァイオリニスト、デイヴィッド・ギャレット。実に来日公演としては10年ぶり(主演・音楽担当だった映画のプロモーションでその後に来日はしている)でした。
前回の来日公演はチケットの発売に気付かず行くことが出来ませんでしたので、今回は何としてもと思い、来日の情報が出た時点から発売情報を細かくチェックし、最速先行抽選で申し込んで無事入手することが出来ました。
この分野ではトップスターのデイヴィッド・ギャレットですが、今回の来日公演は1日のみで、会場も東京都文京区の文京シビック大ホール(収容人数最大約1,800人)ということでチケットは争奪戦の様相を呈しました。当然ながら当日券などは全くありません。ジャンル的にそこまで集客は出来ないだろうとはいえ、せめてもう1箇所他の会場で出来なかったのかなと思います。
私は前述の通り最速先行抽選で申し込んでいますが、それでも席の位置は前から16番目でした。結果的に演者とほぼ同じ高さに座れて音響も良かったのですが、意外と遠いなと驚きました。まあ、価格は今時としては比較的良心的と思われる8,000円で、普段行くロック系アーティストから見れば半額程度であったことは助かりました。
クラシック好きで無くても音楽好きなら楽しめる
ここからは当日のレポートとなります。
10月31日18:30開演だったのですが、開場は17:45とあまり時間的な余裕が取られていませんでした。私が文京シビックホールに着いたのは開場直前というタイミングでしたが、入場待機列がかなり伸びてしまい、会場が1階なのに待機列が地下1階フロアを1周してしまうという有様でした。
入場時にデイヴィッド・ギャレット、Cocomiのリーフレットが入った袋が渡されます。
それを受け取り入場すると物販はかなり小規模で、アルバム「ICONIC」(CD、輸入限定ファンボックス、LP)、「ALIVE」(CD)とゲスト出演のCocomiのCDだけでした。物販を設営していたのはタワーレコードでしたが、もう少し過去作品も持ってくれば良かったのにと思いますね。
パンフレットも有料販売はなく、曲目とクレジットが記載された最低限のものが無料配布されました。
曲目はパンフレットで事前公開されていて、実際のステージでもその通りに進んでいきます。基本的にはツアー名の通り「ICONIC」からの選曲ですが、一部過去作からの選曲もありました。ただ、彼の代名詞的なクロスオーバー曲は無く、クラシックまたはトラディショナルの曲だけに限定して選んでいるようでした。
日本のライブイベントは必ず主催者が撮影禁止にするのですが、3曲目辺りのMCでデイヴィッド本人が「禁止って言われているみたいだけど、別にビデオも写真も撮って良いよ」と。インターバルまでは割合緩く撮影することが出来ていました。後半はCocomiが登場することでデイヴィッドの一存だけで許可することは出来ず、撮影している人をスタッフが止めに行くようになりましたが。
演奏についてはさすがに素晴らしいの一言です。技術的に正しく演奏するというのは彼にとっては最低限でしか無く、曲調や場面に応じて見事に音色の表情をコントロールしてみせるのです。オリジナルが比較的古い「A LA TURCA(トルコ行進曲)」などは、アルバム収録版よりも遙かに音色が良かったと思います。
奏者が3人しかおらず、アルバムの再現には音が足りないのではと思っていたのですが、どうも足りない音色は同期演奏で補っていたように思います。ゲストのCocomiが共演では無くソロ演奏1曲だけだったのもそれが影響していたのかも知れません。もっとも、彼のヴァイオリン1本だけでお釣りが来るくらいに豊かな音が響き渡っていたと思いますが。
さらに文京シビックホールのPAの技術も高く評価するべきでしょう。目を閉じて聴きながら、ヴァイオリンが定位したところに顔を向けて目を開けると、その通りの場所で本人が演奏しているのです。確かに私の座席位置は中央に近い位置でしたが、それでもそこまで細かく追い込んでいるのは見事といえます。ロック系の派手な音が出ているだけのPAとは雲泥の差でした。
演奏している楽曲は間違いなくクラシックですが、彼のステージにはクラシックならではの堅苦しさが無いのが良いところです。曲に対しては純粋に拍手喝采が送られ、足を踏みならして「ブラボー」のような私が苦手なクラシックのお約束が必要ありません。久々にクラシック楽曲を聴きながら純粋に音楽を楽しめたと思います。
「クラシックなんか聴いても眠くなるだけ」という人にも、是非彼のステージはご覧いただきたいところです。そんな退屈さは全く無く、クラシックが本来持つ楽曲の良さが楽しげな雰囲気と共に伝わってきます。アルバムでも良さは十分あると思うのですが、生演奏では更にひと味違いました。
今度はもう少し公演数や座席数が増えた来日公演を期待したいと思います。
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購入金額
8,000円
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購入日
2023年10月18日
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購入場所
ローチケ
縦横縦横横さん
2023/11/02
かっこよすぎます。
私はカッコよさから、アルバム「ミュージック」聞き、さらに惚れました
実際のデイヴィッド・ギャレット、いいですね!!!!!
jive9821さん
2023/11/02
コメントありがとうございます。
やはり彼の佇まいは女性を虜にするのでしょう。客層は
やや年齢層が高めの女性がかなり多かったです。周囲から
聞こえてくる話では海外公演まで追っかけているような人も
いたようですし。
しかし、私は男ですから純粋に音楽を聴きに行ったのですが、
彼の奏でる音は会場の全てを魅了するだけのものがあったと
思います。私は普段クラシックを生で聴きたいとは思わない
(独特のお約束や堅苦しさが苦手なのです)のですが、彼の
次の公演だけはまた行こうと強く思いました。出来ればもう
少し楽にチケットが取れるとありがたいところでしたが、価格
は内容の割に安すぎるのではと思います。