所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。最近、EPと言う形態で作品を発表するアーティストが多くなった気がします。本来「Extended Play」の略で、45回転の小径（17cm）アナログレコードに裏表で4~5曲を詰め込んだものを指す言葉でしたが、CDや配信時代でも使われています。現在ではシングル的ニュアンスを持ったミニアルバムというようなニュアンスで使われます。アルバムに先行して、その半分ほどの収録曲を収めてリリースされたEPをご紹介します。

日本のアシッドジャズ～ファンク系のグループ、Nulbarich。グループと言っても、固定なのはヴォーカル、および共作を含めると全ての曲を書くJQことJeremy Quartusだけで、あとはその時々に適したメンツが招聘されるらしいので、どちらかというとJQのプロジェクト的なグループ。

そのNulbarichの1st EPが、本作“Who We Are”。最近、EPという形態の作品をリリースするアーティストも出てきたが、ZTMYのようにオリジナルアルバムの先行リリースとして出される場合、シングルと同じ扱いでオリジナルアルバムには表題曲しか収められない場合．．．

Nulbarichも、物理CDによるアルバム、EP、シングルに加えてアナログレコード、配信シングルと様々な形態で作品をリリースしており、物理シングルとアナログレコードも曲が被っていないので、かなり複雑。

この“Who We Are”は、1stアルバム“Guess Who?”

に続く作品だが、それとは曲は被っておらず、2ndアルバム“H.O.T”

にいくつかの曲が収められている。彼らは後に「ミニアルバム」として“2ND GALAXY”をリリースするが、それは配信シングル以外とは被っていないので、曲被りからするとEPは先行シングル＋αと言う感じ？

「Follow Me」。作品のトップに持ってくるには激しく無い、ローズ調のエレピやパーカッションのようなデッドなタム廻しの打ち込みが印象的なCOOLな曲だが、櫻井陸来 （サクライロック）のスラップと指弾きを行き来するファンキィなベースがキモ。そのトラックの上でJQが、日英チャンポンの歌詞を口ずさむ。

ヴォーカルより、ギターのカッティングの方が大きいのではないかと思うほど、カンノケンタロウのギターが目立つのは「It's Who We Are」。キレッキレというより、若干粘りを感じるカンノのギターと、ほぼ終始ファルセットのような声でJQの声が絡んで、ダンサブル！

「Ordinary」も、カンノのギターが目立つが、どちらかというとレゲエ調の造り。サビのキャッチーなメロと、タム多用のリズムパターンの対比が面白い。アウトロが数小節でスッとF.O.していくのは逆に余韻を残すな．．．．

本作は初回限定盤なので、1stワンマンライヴ“GUESS WHO?”から、2017年2月22日の代官山UNITでの追加公演から5曲がセレクトされている。本EPのオーディオトラックに収められた楽曲ではなく、原則1stアルバム“Guess Who?”の楽曲がチョイスされている。

ライヴは映像も大胆に使ったもので、視覚的にも楽しめる

そのなかで唯一、違うのが1stアナログシングル“NEW ERA”のカップリング曲だった「Fallin’」。静かなリズムに、エレピとあまり歪んでいないギターの音でコードを提示、そこにほぼラップという感じのJQのヴォーカルが乗る、COOLな曲。激していないのに、歌詞を詰め込んだようなせわしなさがある面白い曲。ワウの効いたギター、饒舌なベース．．．音が印象に残る。

EP自体は、半分の曲がこの後でる2ndアルバムに収められているが、一番世間から注目されていた時点のライヴが収められているのが、ポイント高い．．．つか、収録曲もCD＜DVDなのか．．．

CD（左側）の方、EPらしく？あきらかに収録時間（盤の内周の色が違う部分）短い

【収録曲】

<CD>

1. Follow Me
2. It's Who We Are
3. On and On
4. Ordinary

<DVD>1stワンマンライヴ『GUESS WHO?』@代官山UNIT 2017年2月22日

1. Hometown
2. Fallin’
3. NEW ERA
4. Lipstick
5. Spread Butter On My Bread

「It's Who We Are (Official Music Video) ［Radio Edit］」