所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。コンテンポラリー系楽曲におけるベース。多くの場合、その名(声楽用語のバスと同じ)の通り、楽曲のコード(和音)の「ルート」を中心に、音程のあるリズムを形作り、低音域で曲を支える役割を持ちます。ただ、ベースに興味がある人を除けば、メロディやソロ楽器、中音域を受け持つコード楽器などの方が印象深く、あまり注目して聴かれるパートではないと思われます。しかし、一部のジャンルではリズム系楽器の枠を越えて重要な役割を果たしたりもします。誰が聴いても、「主役はベース?」と感じられる楽曲を含む作品をご紹介します。
「ずとまよ」こと、ずっと真夜中でいいのに。(ZTMY)。ヴォーカル&作詞作曲のACAねを中心とした、音楽ユニット。ACAねは、最近増えてきた素顔を晒さないで活動するヴォーカリストのひとり。彼女の言葉選びのセンスは抜群で、独特の世界感を持った作品を創り上げている。「音楽ユニット」の範囲はバンドメンバーだけでなく、ビジュアルプロダクション方向にも及び、比較的固定で、でも流動性のあるハイテクニシャンなメンツが、ACAねとともにZTMYの世界を創り上げている。
そんなZTMY、活動開始は2018年とごく最近ではないし、数年前から識ってはいたのだが、つい最近結構熱心に聴き始めた。
もともとcybercatがZTMYの音楽と出逢ったのは、ニコ動の「弾いてみた」動画で。最近YOASOBIのサポートベーシストを務めているやまもとひかるちゃんがアマチュア時代に投稿した「弾いてみた」動画と、同じくニコ動投稿者で以前から注目していたドラマーのRyoyaが投稿した「叩いてみた」動画が、たまたまZTMYの同じ曲「ヒューマノイド」を取り上げていたところから。流石にハイテクニシャンのリズム楽器プレイヤーが取り上げるだけあって、リズムコンシャスな楽曲で、いいな、と心のメモには刻んだのだが、ご存じのように?音楽の趣味が節操なく広く、且つ、むやみやたらに深いcybercatには、おさえておきたい楽曲購入の順番待ちが大渋滞していて、そのときは「すぐ購入」というところまでは行かなかった。
それが、ある曲を耳にしたことで、購入順位が大幅に入れ替わり、その楽曲が収められている作品を中心に、入手することにした。
そのきっかけとなった曲が、「お勉強しといてよ」。曲としては、2020年配信シングルとしてリリースされているので、完全乗り遅れなのだが、なぜかしっかりと聴く機会が昨年(2022年)半ばまでなかった。それが、つべの複数のベーシストの弾いてみた動画と、本楽曲のMVのビジュアルを手がけるアニメーターの他作品という、音&映像の2方向から「お勉強しといてよ」にたどり着いた。そこで、その曲が収められた作品を入手することにし、結局現在では彼らの既リリース作品の半分以上は手元にあるというw
その「お勉強しといてよ」の初出となった作品が、ZTMYの3rdミニアルバム“朗らかな皮膚とて不服”。
ZTMYはビジュアル系にも気を遣っている音楽ユニットであるため、シングルは配信のみで「軽く」リリースする一方、アルバム・ミニアルバムは非常に凝った造りになっており、シリーズ通して共通の世界観を与えたり、限定盤には価格の上昇をいとわず、てんこ盛りの特典をつけたりしている。
当然?レアもの好きのcybrcatとしては「初回限定盤」しか入手の対象とならないので、本品は当然初回限定盤。「限定」特典としては、ZTMYの多くの作品で採られているゴツくて仰々しい?パッケージの魔道書パッケージ仕様で、さらに歌詞カードとは完全に別の資料として、sakiyamaと革蝉による4コマ漫画と、「お勉強しといてよ」のMVのラフや設定資料が収められた表紙込み42ページにも及ぶ小冊子が付く、というのがビジュアル系の特典。さらに、収録されたオリジナル曲6曲すべてのオフヴォーカルトラックと、1stミニアルバムに収録された楽曲の別テイクが「追加で」収録されるという音楽系特典が追加(つまり初回盤でない方の倍近い楽曲数が収められている←通常盤には一曲、別の曲のライヴテイクが収められているので、倍以上ではない)。
楽曲的にはまず、cybercatにとってZTMYの再発見曲となった「お勉強しといてよ」。もともと、リズムコンシャスな楽曲が多いZTMYだが、なにが琴線に触れたと言って、この曲とてもファンキィ。そして主役はベース。イントロは派手なスラップなのだが、Aメロに入ると、ヴォーカルとタイマン状態で指弾きながら饒舌なフレーズ。ここは薄くストリングスとミュートギターが入るのみなので、普段ベースを意識して聴いていない人にも十分訴えかけてくる(ハズ)。Bメロに移って多少ストリングスなどもハデになるが、ベースも後半はスラップを多用して盛り上げ、サビにつなげる。サビは当然他楽器も入るのでベースの相対的存在感は落ちるが、1stソロパートはなんとベースソロだというw 2ndVerseからサビにかけての繋ぎもスラップのキメ、静かになるブリッジ部分もベースのフレーズが目立っていて、ベーススキーなcybercatとしては大好物な楽曲。この曲のベーシストは、超絶技巧派バンド有形ランペイジのベーシストにして、ジャニーズ系からアイドル、アニソン系のサポートとしても幅広く活躍する二家本亮介。CD手に入れて、クレジット確認して、なるほど、とw。この曲、シングルセールスとしても二桁前半くらいまでには昇っているので、なんで当時耳に留まらなかったのか不思議なくらい。そしてこの曲のMVを手がけるアニメーターはなぶしのポップでストリートな絵が曲の世界感を良く表している。ACAねの書く詞が言葉遊びも含めてファンキィで、いい感じ。この曲はものすごく感性「ど」ストライクだった。
他の曲はここまで「どファンキィ」なものではないのだが、良い曲が揃っている。
曲順としてつづく「Ham」は一転して、打ち込みではないのに刻む感じのドラミングと、ミュートとオープンの切替がメリハリが効いていて機械的なリズムギターが硬いノリを形作る、ちょっと暗めの小品。Nulbarich
唯一の女性メンバーでもある西村奈央のイントロのピアノフレーズが洒落ている。ベースはこの曲は滝元堅志で、メロディアスなラインを聴かせる。
スラップが目立つ「お勉強しといてよ」とは別方向だが、「お勉強しといてよ」以上にストリングスも入って、アシッドでファンキィなのが「MILABO」。これは、小川翔のギターのキレッキレのカッティングと、あえて?スラップの使用率を抑えた二家本のベースプレイの勝利かな。
通して聴くと、全体としてのファンキィさはさほどではなく、「お勉強しといてよ」が突出しているのだが、ACAねの詞の世界を支える凄腕サポートミュージシャンのプレイと、ACAねが顔出ししないためか、アニメーションが中心となるMVを手掛けるビジュアル系アーティストの創り上げる世界観が独特で心に刺さる作品。特に、ACAねの詞は難解なので、パッと聴きでは韻の踏み方や言葉遊びのシカケに気がつくことが少ないので、配信聞き流しではなく、歌詞カードで細部まで確認するのがよいかも...
彼らの創り出す世界観が素敵で、このまま近いうちに楽曲完全制覇まで行きそうだと感じています。
【収録曲】
1. 低血ボルト
2. お勉強しといてよ
3. Ham
4. JK BOMBER
5. マリンブルーの庭園
6. MILABO
7. サターン [Acoustic ver.] -Bonus Track-
8. 低血ボルト (Instrumental) -初回生産限定盤特典-
9. お勉強しといてよ (Instrumental) -初回生産限定盤特典-
10. Ham (Instrumental) -初回生産限定盤特典-
11. JK BOMBER (Instrumental) -初回生産限定盤特典-
12.マリンブルーの庭園 (Instrumental) -初回生産限定盤特典-
13. MILABO (Instrumental) -初回生産限定盤特典-
【初回生産限定盤 特典内容】
・魔道書パッケージ仕様(シルバー)
・オリジナル四コマ漫画冊子(sakiyama, 革蝉 書き下ろし)
・本編全曲オフボーカル(インスト)収録
・Bonus Track - サターン [Acoustic ver.] 収録
「お勉強しといてよ」
MVとあわせて独特の世界観がいい
はなぶしの描くストリートな絵が、言葉遊びも多い楽曲と合わさってクセになる。
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購入金額
3,300円
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購入日
2022年12月11日
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購入場所
メルカリ
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