レビューメディア「ジグソー」

英国製スタジオモニタースピーカー 条件が合えば良い音 使いこなすには知識と経験が必要かも

 

大阪は日本橋の逸品館 有名なオーディオショップに出かけて、アンプを探していた時のこと。

 

親切な店員さんが、「お家でお使いのスピーカーはなにですか?」と尋ねてくれたので

 

「ヤマハの1000Mです。」

 

「この試聴室に1000Mは無いので、似た傾向のスピーカーを使って試聴しましょう。」

 

 

その時に用意してくださったのがPMC(パーフェクトモニターカンパニー)のTB2でした。

 

英国製のモニタースピーカーとのことですが、雑誌では見たことが無かったし

 

ラッカー仕上げの小型2ウェイのそれは、とても2本で20万円近くする代物には見えません。

 

 

サイズも構成も違うし、、、似てるのは黒いラッカー仕上げだけ。 

 

これで代わりになるの? と 半信半疑だったのですが

 

まぁ、とにかく明瞭。   そして音が生き生きしている。 低音も弾むし、声も良いし。

 

 

アンプはともかく、もしも手持ちのヤマハが不調を来したら 次はPMCを買おう。

 

そう思わせてくれる「好みの音」でした。

 

 

ただし、バックロードホーンの一種と呼べる「トランスミッションライン」という構造の

 

エンクロージャーは、背面に大きめのダクトを持っているので、

 

店舗に設置するのは難しいかも、、、 

 

そんな印象を持って帰りました。

 

 

 

 

その日のうちに決めたイタリア製の小型アンプ・プッチーニは 

 

今も手元で良い音を奏でてくれています。

 

 

 

更新: 2023/02/05
はじめに

千載一遇の機会

事ある毎に、

 

PMCって、雑誌にも宣伝が出ていないけど

 

PMCって、見た目は高級感に欠けるけど

 

快活で、明瞭で、人の声も良いし、低音は弾むし、とにかく良い音がするんだ。

 

大阪の逸品館に行けば 聞かせてもらえるよ。 と言っておりました。

 

早晩、友人が逸品館に出向いて、トールボーイ型の より高価なそれを

 

中古で買ってきて、非常に気に入ってくれています。

 

 

その時は、どうしてブックシェルフじゃなくて、トールボーイを選んだのかな?

 

すこしだけ気になるところではありましたが、、、、。

 

 

 

 

で、今年の話。

 

裕福なオーディオマニアである、私より少々お年を召したお客様から

 

メインシステムの他に、デスクトップでも使えるサブシステムを構築しようと考えているけど

 

ヤマハの10Mはどうだろう?

 

古いオーラトーンはもっているけど、流石に古色蒼然としているし BOSEの101じゃなくて、

 

も少しハイファイに寄った小型SPは 何が良いかな?

 

との相談を受けたんです。

 

 

そこで私は「ぜひPMCをお考えください」 「きっとお気に召すと思いますよ。」

 

 

その方は、ヤフオクでオーディオ機器だけじゃなく、クルマの売買も経験されている猛者なので

 

数日の間に良さそうなPMCを見つけてこられ、2本で44,000程で落札されたと聞きました。

 

 

ぜひ、ご感想をお聞かせください。 楽しみにしています とお伝えしつつも

 

私はPMCの出品が思いの外 多かったことに一抹の不安を覚えました。

 

良い製品なら、気に入っているなら、ずっと手元に残すはずなのに、、、。

 

 

 

それから数日後

 

PMCは気に入らなかった。  ヤフオクに出すことにした。 とのお答え。

 

落札決定にまで 少し間があるから、2〜3日 貸し出してあげるよ。

 

君の感想も聞きたいから。

 

とのお申し出を受け、 ありがたくお借りすることになったんです。

 

 

以下 その夜の感想を書き留めました。

更新: 2023/02/05
ファーストインプレッション

あくまでファーストインプレッション  愛情を持って使いこなせば また違う魅力があると思われますが、、、

 

手元に届いた 憧れのPMC  型番はTB1 最小モデルだと思われます。

 

見た目は10万円以下のシステムコンポーネントに付属する製品のようです。

 

とても定価138,000円(発表当時)には見えません。

 

 

140mmの防磁型コーン・ウーファー  エッジはウレタンに見えます。

 

 

縦線同軸上に配された 27mmのメタルドームツイーター

 

ユニットとエンクロージャー間の増し締めは行いやすい仕様。

 

 

これまた非常に安っぽい作りのサランネットカバー。 

 

四隅のピンは弾力があるので鳴きは無いでしょう。

 

 

エンクロージャー背面上部に備わるトランスミッションラインの出口。

 

ウレタンが充填されていますが、現行品は、フォーミュラカーのリアエンドに見ることができた

 

樹脂製のディフューザーが備わるようです。

 

 

シリアルナンバーは消去加工済み

 

バイワイヤリング対応の端子。 金メッキされたジャンパーは標準品。 バナナプラグ対応。

 

 

エンクロージャー側面の設え 樹脂製のパネルなのか? 不明です。

 

販売元発表のスペック

 

■周波数特性/50Hz〜25kHz  ■ピークSPL/110dB以上(@1m)

 

■入力感度/87dB(1W/1m) ■クロスオーバー周波数/3kHz

 

■インピーダンス/8Ω

 

■外形寸法/155(W)×290(H)×234(D)mm  ■重量/4.5kg(1本)

 

 

 

 

 

それでは限られた時間の中 手持ちの機械と接続してみます。

 

 

一定の強度のあるテーブルをSPスタンドに見立てて ニアフィールドリスニング開始。

 

 

NS-1000Mと比べて 最初に感じることは−3dB分の能率の低さ。

 

1000Mとプッチーニの組み合わせで午後10時のボリューム位置で得ることが出来る音量は

 

PMCだと正午過ぎのボリューム位置でないと得ることが出来ません。

 

そして小型2ウェイそれもドームツィーターという構成から想像していたより

 

うんと指向性が強いこと。

 

スピーカーと正対している時と軸上から25度もずれている時では、まるで音色が変わります。

 

小型スピーカーなので、向きを変えることは難しくありませんが

 

ベストなリスニングポイントはピンポイントになる そんな印象です。

 

 

 

ステンレス板を貼ったテーブルに直置きした時、コインで三点支持を施した時

 

エンクロージャーをテーブルの中央に置いた時、

 

エンクロージャーをテーブルの縁までせり出たせてバッフル効果を消した時

 

驚くほど音色が変わります。

 

試す時間も機械の余裕も、ケーブルの余裕も無かったのが残念なのですが

 

バイワイヤリングのジャンパーを外してケーブルを増やしたら

 

高域側から入力したら 低域側から入力したら

 

もちろんケーブル自体を交換したら

 

おそらくPMCは、とても敏感に反応するのだと推測できます。

 

BOSEの101とは真逆の性格だと感じました。

 

 

その日に試せたセッティングの中で、いちばん好ましい音色が聞けたのは上の写真の時。

 

カーペットは要らない。 10円玉のインシュレーターはある方が良い。

 

テーブルの縁ギリギリでセッティングです。

 

 

 

セッティングを決めてから、音源を変えたり 音量を変えたり 色々と試した結果。

 

小型スピーカーだけど、集合住宅の夜間なら苦情を覚悟するレベルの音量を出させてあげないと

 

本領は発揮できない。

 

音量を下げると、目に見えて分解能が低下する。

 

音量を上げても、きつい音、嫌な音は出ない。 声はあくまでも自然。

 

 

 

背面に備わるトランスミッションラインダクトからは かなりの音漏れがあるので

 

本棚などに設置する場合は、使いこなしの知識と根気が必要だろうこと。

 

 

 

思い出せば逸品館で試聴させていただいたとき、スピーカー後方には丸めた絨毯などが

 

一見無造作に見える形で立てられていました。

 

あれは試行錯誤に末の工夫だったのだろうな と気づいた次第です。

 

 

置き方を変えても、何をしても とても敏感に反応する。

 

当たり前か!

 

それがモニタースピーカーの本来のお仕事なのだから。

 

スタジオで使うためのスピーカーなのだから、

 

使用者のリスニングルームがそれに近い音圧を許容できて、

 

それを実現できる出力のアンプが用意できて、

 

ケーブルなどに心配りをすることができる ことが このスピーカーが求めていることなんだな

 

そのように理解しました。

 

決してデスクトップに気軽に配置して 小音量で楽しむ用途には向かないことを理解しました。

 

合わせて飲食店のBGM用のスピーカーとしては不向きであろうことを理解しました。

 

 

 

今回、幸運にも手元でPMCを試すことができました。

 

前述のお客様には お手間を取らせてしまいましたが、

 

昨今、オーディオの話をする相手に事欠くのが現状ですので、色々と語り合えたことが

 

せめてもの慰みと感じていただければ 罪の意識が軽くなるように思っております。

 

 

蛇足

 

その日に聞いた音源で イチバン コレ良いな と感じたのは

 

ちょっと古い洋楽   カーペンターズ

 

あくまでも中央に位置するカレンのボーカル。

 

A&Mらしい量感たっぷりのエレキベースとバスドラム。 甘いギター。

 

後から被さるように左右に広がるストリングス。

 

あぁ、きっと当時のスタジオでは、こんな音を聞きながら音決めをされていたんだろうな。

 

そんな気持ちになれました。

 

 

 

 

 

 

  • 購入金額

    44,000円

  • 購入日

    2023年01月29日

  • 購入場所

    ヤフオク

20人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • jive9821さん

    2023/02/05

    PMCの日本代理店はCSR、つまりSOULNOTEなんですよね。
    最新のハイエンドの開発時までは、SOULNOTEの試聴用
    リファレンスはずっとPMCだったそうです。

    あのブランドはオーディオ界のフォーミュラーカーを自称
    するだけあり、使いこなせば最高の音だがポン置きでまともな
    音が出るほど甘くもないという傾向で、PMCもやはりその傾向
    があります。

    そしてSOULONOTE加藤氏が目指したのは故カレン・カーペンター
    の声を蘇らせること。その意味でカレンの声が最も良く聞こえる
    というのは方向性が合致したということではないかと思います。
  • フェレンギさん

    2023/02/05

    >SOULONOTE加藤氏が目指したのは故カレン・カーペンター
    の声を蘇らせること。その意味でカレンの声が最も良く聞こえる
    というのは方向性が合致したということではないかと思います。

    <そうだったんですか! 勉強になります。
     あの夜、どうしてカーペンターズをかけようと思ったのか?
     加藤さんのソウルが私に語りかけてくれたのかもしれません。
     とても不思議ですが 
     と同時に、なんだか嬉しい気持ちになりました。

    フォーミュラカーという表現も腑に落ちます。
    オーディオが好きなら、使いこなしがいがあると感じてました。

    ゆえに、お店のBGM用としては難しいなって感じてます。

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