所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。音楽には「流行り」があります。1980年代はニューミュージック・シティポップといった、楽曲が前に出て印象的なメロディラインを大切にする楽曲から、1990年代のビートを前に出したダンサブルな楽曲に。その1990年を挟む数年間で、頂点を極め、ポップス界のサウンドを一色で塗りつぶした人物がいます。そんな一世を風靡した音楽を創り上げた人物が在籍したグループの定型を少しはみ出した作品をご紹介します。
TM NETWORK(TMN)。キーボーディスト小室哲哉、ヴォーカリスト宇都宮隆、ギタリスト木根尚登からなるユニットで、1980年代後半~1990年代中盤にかけて、音楽界を席巻したグループ。とくにメロディメーカー小室の曲は、他者にも多く提供され、「小室サウンド」として当時世に溢れた。リズムユニットがメンバーにいないので判るように、打ち込みリズムを基本として、後に「小室進行」と言われるようになる特徴的なコード進行(6451進行=ハ長調(C)の場合Am→F→G→Cという、マイナー(短調)始まりでメジャー(長調)解決のコード進行)を多用したシンセサウンドをベースにした、ダンサブルな曲が特徴。
トップヒット曲、「Get Wild」を含むベストアルバム“Gift for Fanks”
で、それまでの活動をまとめ、頂点を極めた彼らが、次に踏み出したのが、「人間的な」ファクターの追加。その方向で制作されたのが、5枚目のオリジナルアルバム、“humansystem”。human(ヒト)とsystem(機械)の融合を目指した作品で、彼らにしては珍しく、人間くさい?リズムの上で小室節が展開される作品となっている。特にドラマーに特徴あるドラミングスタイルのプレイヤーを配し、今までなかった「熱」を入れた楽曲集となっている。
「Children of the New Century」。このアルバム、ベースが目立つ音色で、スラップ風のフレーズが多用されているので意外だが、実はこの曲以外は全て打ち込み。そう思って聴くと、他の曲に比べてこの曲だけ、ベースの音色そのものはむしろやや地味ながら、ダイナミックスが大きく、スラップの小技も効いていてダンサブル。ベーシストは当時CASIOPEAの櫻井哲夫。ディストーションとフィードバックガリガリかかったギターは鳥山雄司。硬い...というか、硬質なリズムを刻むドラマーは名手Steave Ferrone。この曲、どうやらMichael Jacksonに影響を受けた曲らしいが、ストーリー性ある曲調の変遷は、まさにそんな感じかも。Michaelの、底にたゆたう昏さはないが。
実験的な「Be Together」は、超タテノリの面白い曲(導入は静かなんだけど...)。当時流行っていたパンクやスカっぽい軽いリズムを芯に持つ曲で、このアルバムでは結構異色。つか、BOØWY対抗曲??ドラムスが、あのレベッカの、あの小田原豊で、あの音色...というと識っている人は判ると思うが、ロトタム(胴の部分がないヘッドだけのようなドラム)の弾けるようなビートと、超縦ノリの小田原のプレイが、機械的な感じでTMNの楽曲と合っている。そのわりに、中間部のギターソロはヘヴィでぶっ壊れ気味。弾いたのはTakことB'zの松本孝弘。
シングルカットもされた「Resistance」は、ベースは打ち込みながら、スラップのフレーズを上手く取り入れており結構頑張っている。その打ち込みベースと絡むドラムスが絶妙で、カタく重めのリズムながら、ヒトならではの前進力があるものだが、プレイしたのは故青山純。まさに「機械と合わせても自分のノリが出せるドラマー」の第一人者、さすがの一言。
TMNとしては、それまでの自分たちのカテゴリーを少しはみ出した、意欲的で熱い作品。名ドラマーを多数起用して、様々なグルーヴを自分たちの音楽に加えることに成功している。
ただ、彼らの出す音すべて受容という熱烈なTMNのファンでなければ、「TMNというフォーマット」に期待するのはそこじゃない..という感じがするのも事実。
当時の音楽界を一色に塗りつぶした彼らの「次の一手」として、ある意味「迷い」が感じられる作品ともいえるかもしれません。
アナログ⇒CDの過渡期に見られたLPサイズの歌詞カードが懐かしい
【収録曲】
1. Children of the New Century
2. Kiss You (More Rock)
3. Be Together
4. Human System
5. Telephone Line
6. Leprechaun Christmas
7. Fallin' Angel
8. Resistance
9. Come Back to Asia
10. Dawn Valley (Instrumental)
11. This Night
「Be Together」
TMNとしては、やや亜流
TMNは打ち込み!というイメージからは、いい意味でも悪い意味でも外れている
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購入金額
3,200円
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購入日
1987年頃
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購入場所
takamizuさん
2022/02/02
cybercatさん
2022/02/02
北のラブリエさん
2022/02/03
というかこのアルバム愛聴してました。
cybercatさん
2022/02/03
当時はドラムはリズムマシンが駆逐する...とも言われていた時期で、どっちかと言うと打ち込みメインのTMNに対してはアンチでしたねー。
結局時が経ってみると、打ち込みでもドラム経験者がやるのか否かでノリが違うので、必ずしも駆逐はされなかったんですが。
北のラブリエさん
2022/02/03
「アトムの子」が打ち込みって知ったときはびっくりでした。
ライブで青山さんが叩いてるの聞きたかったなあ。
北のラブリエさん
2022/02/03
cybercatさん
2022/02/03
cybercatさん
2022/02/03
そんな時代もありました(遠い目...
mickeyさん
2022/02/03
今でもAmazonMusicで聴いたりしています(^^)
cybercatさん
2022/02/04