レビューメディア「ジグソー」

ジュブナイルでオカルトで、コズミックホラーで純愛で……SFでもあり、伝奇モノでもあって……。一言で言い表すならば、藤田和日郎先生のこれまでの作品の極上の濃縮エキスが核融合した作品!!

  • by
    L2さん
  • 2021/08/23
  • (更新: 2021/08/23)

この作品に触れたのは、第一巻が出た頃でした。

 

導入部だけを抜粋すると。

幽霊屋敷と目される「双亡亭」、古くは大正時代の好事家が建てたとされる由来。

平成の世にも健在で、誰もがその前を避けて通る不気味さを湛え、恐れ知らずの人間が肝試しをしては、その名に違わぬ何かを起こしてきた。

数十年前に肝試しをしたが為に怪奇現象に遭遇した、初老の人物は決断する。

自身と共に政界に身を置き、防衛大臣となった親友と共に。

「双亡亭壊すべし」と。

そんな中、「双亡亭」の隣に住んでいる美大卒業したばかり平凡?な絵本作家志望の青年が、「双亡亭」の敷地の一角に引っ越してきた少年緑朗に出会う事から、物語は動きだす。

 

第一話から緑朗少年は父を「双亡亭」で失い、遥か昔に肝試しで幼馴染の女の子を失った首相と防衛大臣の決断により、航空自衛隊の空爆で「双亡亭」の破壊を試みるという急展開。

「絵」を媒介にした怪奇現象、触手のような不気味な何かが目や、口から吹き出して正気を失い異形となる犠牲者。

第二話にして、「双亡亭」を壊すという意思をもった異形の少年が登場して、オカルト霊能バトル漫画なのかな、と路線が伝わってきました。

 

結構な勢いで興味をそそられましたが、部屋のキャパシティ的に物理書籍を追いかける作品数制限を感じていて。

一旦は様子見、となりました。

 

それから五年程の歳月を経て遂に完結する事になり、楽天koboで電子書籍版の十巻までが期間限定で無料というキャンペーンが行われました。

 

折角の機会なので、読み始めると、これが止まらない。

全く止まらない。

緩急はあるけれども、ダレているお話を感じない。

恐ろしい速度で私は「双亡亭」の中に取り込まれてしまいました。

続きを読みたい気持ちが、途轍もなく膨らみました。

全巻購入だと12000円弱。

悩みましたけれども、楽天クーポンで20%オフの力を借りて、一気に購入と読破となりました。

 

この作品は凄いです。

連載を追っかけていたら辛かったかもしれません。

楽しみ過ぎて、展開を待ち焦がれ過ぎて。

その位に一気に読めて、幸せだな。と思える素晴らしい作品です。

更新: 2021/08/23

ネタバレな感想、書かずには居られないッ!

絶対的にネタバレ無しで読んで欲しい作品です。

が、そうは言っても、私も感想を言いたい。

放って置いても、口から飛び出しそうですw

故に、白文字で残します。

 

主人公の設定が深い。

絵本作家を目指しているのに、観念的で暗い絵しか描けないと酷評されてしまう美大卒の青年。

お人よしで、素直な普通の人間ですが、絵に関しては頑固なまでの拘りを持ってしまっている。

もちろん、霊能力、超能力が有る訳でもなく、何者も恐れない勇気が有る訳でも無い。

その普通、怖いものは怖い、という心が「双亡亭」の仕掛ける罠に自分自身だけで打ち勝つに至り、その経験が「双亡亭」を壊す為に戦う超人、スペシャリストたちを助けていく。

これは凄いですね。

少年漫画では、やっぱり、「勇気」の前を向く力が取り上げられがちなのですが、自分の通ってきた後ろを見つめ直す力が注目されるというのは珍しいですし、それがこの作品の大団円を導く力になるのは素晴らしいです。

残り後2巻の段階で、「双亡亭」を作りだした元凶の泥努が狂った原因となる人物、月橋詠座の子孫である事を告白、人間と和解しかけていた泥努の逆鱗に触れてしまうという展開に。

でも、それが故に最後の最後に泥努の全ての怨念が解決して完全な解決に至るというカタルシスがあるのですが、該当巻の告白シーンには「それ、今言う?台無しじゃん!」と驚きました。

最初から最後まで、様々な超人やスペシャリストが活躍する中でキーマンで有り続けるのは、本当に凄いな、と思います。

 

書いていて、どうやら終わる気配がないので、人物一人一人についての感想や私の解釈を入れるのは諦めますw

 

物語の構成として、後出しの強敵が出てこないのは凄いですね。

ミステリー小説などは、犯人は前半3分の1までに登場しないと納得感が無い、という掟がありますが、長編の漫画では中々難しいデスヨネ。

バトル要素が入っていれば、尚更です。

この作品も長編で、且つ、バトル漫画ですので、ラスボスとの対決も含め、バトルはインフレしていきます。

その中で強敵はドンドン登場してきますけれども、ちゃんと、物語の序盤に登場或いは、そのものの描写はないものの存在している事を表現しているのです。

ラスボスの一人などは、第一話の冒頭にいきなり出ていますからねw

パズルのピースがハマる様に伏線が回収されていくのは気持ちがいいです。

 

恐らく、新キャラで中盤以降に出てきたのは、残花少尉と敵方になった残花小隊位かな。

同時に登場した新ヒロインは、もっと前から出ていました。

正体が判明した時に、能力の理由など一気に解明して脳汁がでましたね。

 

最後の最後のアレの消滅の瞬間に総理と防衛大臣が幼馴染の姿をしたラスボスの手を握るシーンも第一話の心残りを晴らすという意味で救いが有って良いですね。

 

この作品については、本当に今凄い熱量で感想が湧き出てしまうのですけれども。

後幾つかの感想を描いて締めようと思います。

 

異形ながらも人間を、地球を守る為に戦う優しき異星人と融合した姿で戻ってきた青一少年は、獣の槍を壊されて人間に戻れなくなった「うしお」の別の解釈かもしれません。

彼は、そうなっても、きっと自分の護るべきものの為に命を燃やし続けるのだろうな、と重なり合うイメージです。

全体を覆う雰囲気は、月光条例などの世界観の上手さが伝わってきますし、闇の、黒一色ではない不気味さは短編などの美しい暗さがあります。

そして、敵の目。

あの敵意、殺意、憾み、妬みを含む歪みは、見ただけで全ての敵である事が明白です。

どうしよう、止まりません。

本当に止まりませんw

 

兎に角、読んで頂きたい思いがいっぱいですね。

ネタバレ避ける為に反転しますが、本当に読んでいただきたい。

藤田和日郎先生の作品が好きな方は、もう、満足しかしないのではないでしょうか。

この辺りで締めにしようと思います。

更新: 2021/08/23
満足度

構成、展開、そしてラストのオチまで、面白いし泣けるし熱い。

数々の名作漫画を描いてこられた藤田和日郎先生の最新にして、最強の傑作漫画です。

異論は認めますが、私は、信じて止みません。

 

ネタバレを避けると、中々語れないのですけれども。

お話自体の構成、物語の展開、読了後に思い返すと、途中参加(中盤や後半で急遽追加されたインフレな強敵等)のキャラが少年漫画としては珍しく少ない事。

それらが組み合わさって、読み終わった後に、全てがギュッと収束しながらも昇華していく快感があります。

 

若干のネタバレを含んでしまいますが、この作品のジャンルは「オカルト霊能バトル漫画」ではなくて、ジュブナイルでコズミックホラーで純愛物語で……一言では言い切れませんw

あえて、纏めるならば、藤田和日郎先生の傑作たちのエキスが濃縮核融合した漫画。

 

大満足です。

久々に一気読みからのレビューを書きたくなる位に震えました。

星は無限大にしたいくらいです。

2021年8月31日まで楽天koboにて10巻まで無料で読めますので、リズムがあったら是非読んでいただきたいと思います。

  • 購入金額

    9,320円

  • 購入日

    2021年08月20日

  • 購入場所

    楽天ブックス電子書籍

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