所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。永く活動するアーティスト、シンガーの中には、徐々にその実力が認められ、その芸歴の途中で爆発的に人気を博す人もいますが、最初から高い実力を示し、活動が太く継続する人もいます。アニソングランプリで優勝、その後デビュー作から高い歌唱力を発揮し、現在も活動を続けているシンガーの一作目をご紹介します。
鈴木このみ、アニソンシンガー。アニソングランプリでわずか15歳の時に優勝し、翌年デビューして以降継続的に作品をリリースし続け、今もアニソン界の一線で歌うシンガー。デビュー以降1年も欠けず必ず1~3枚/年ペースでシングルをリリースしているが、本作は、その起点となった2012年リリースのデビューシングル。
歌の上手さに定評がある彼女だが、デビュー時からすでに素晴らしい声量と歌唱力。ヘヴィな世界観のアニメを、ドスの効いた声で良く表現している。
「CHOIR JAIL(クワイア・ジェイル)」。テレビアニメ「黄昏乙女×アムネジア」オープニングテーマ。「黄昏乙女×アムネジア」は、成年マンガ誌でも描いていたため、色気のある女性キャラが特徴のマンガ家で、近年は「結婚指輪物語」や「かつて神だった獣たちへ」等の連載で有名な、めいびい画伯の作品を元にしたアニメ。歴史ある学園に伝わる「旧校舎の幽霊」が、自分が「視える」生徒と共に、自分の死因を解き明かしていく物語。その過程で、ふたりは学校で起こる様々な怪奇現象に遭遇していく..というストーリーだが、曲の方は不気味でも神秘的でもなく、かなりハードタッチ。打ち込みだが、スラッシュメタルのツーバス連打のように16分音符で絶えず鳴り響くバスドラがハード。それに編曲者でもある浦田尚克が弾く、細かい刻みのゴリゴリのギターリフと、ドラマチックにバーンと打ち鳴らされる小川ひなこの生ピアノの対比が印象的。細かく刻むバックとの対比で、このみの芯のあって伸びやかな声が煌めく。
「残像未来」は、「CHOIR JAIL」の歌詞およびアレンジ違いの曲。歌詞は「CHOIR JAIL」同様、畑亜貴だが、より昏い世界を描いている。♪黄泉路を辿れ/あれは許されぬ不埒な瘴気/闇夜に嗤え/ここは堕とされた世界の狂気/闇夜が嗤う/絶望に慣れた/情熱が罪になるだろう♪それに合わせて?こちらの曲は若干スピードが緩められ、導入部はポロポロと奏でられるピアノが目立つアレンジ。ただロッカバラード...というには(途中から特に)ハード。さすがに16分音符連打のバスドラでこそないが、カップ部を4つ刻みで叩くシンバル音がリードする曲で、ディストーションギターを含めてユニゾンする部分や、スローな部分が挟まれたりするリズム的シカケもあったり、ワンフレーズ音質がナローに換えられていたりして、しっかりと聴くにはこちらのアレンジの方が楽しめるか。このみの伸びる声は、よりスローなこちらの方が本領発揮だし。
デビュー作にして、安定したロングトーンと美しい高音域、そしてドスの効いた芯のある声を披露したこのみ。このあと現在も引き続き活動するアニソン系シンガーとして地位を確立するが、このデビューシングルの評価が高かったのがその原動力。
ただ「シングル」としてザンネンなのは(同じメロディーなので仕方がない面はあるが)同系統の曲が2曲収録、という点。もう少し違った系統のこのみの歌声も聴きたかったかも。
続きは次作で...ということなのかしら。
ヒロインが半世紀以上前に死んだ幽霊...というアニメもなかなかない?
【収録曲】
1. CHOIR JAIL
2. 残像未来
3. CHOIR JAIL(Instrumental)
4. 残像未来(Instrumental)
ハードかつ伸びやかな声は聴けるが、(同じメロディーでもあり)曲調がやや一本調子
好みの声の幅の狭さではなく、収録された曲のヴァリエーションが少ないのが主原因ではあるが。
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購入金額
567円
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購入日
2019年09月22日
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購入場所
メルカリ
れいんさん
2021/06/23
cybercatさん
2021/06/23