所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。英語圏以外の出身者。英語にあまり堪能でない自分にとっても、「訛り」が感じられることがあります。特に歌においては、その訛りが独特な味になっている場合があります。エキゾチックなその歌い方で一世を風靡した歌姫の作品をご紹介します。

BASIAことBasia Trzetrzelewska。20世紀末に活躍したポーランド出身のシンガー。イギリスのポップユニットMatt Biancoへヴォーカリストとして参加し、その後そのときのメンツのバックアップを得て、ソロデビュー、“Time and Tide”、“London Warsaw New York”、

“The Sweetest Illusion”

と立て続けてにヒットを飛ばした。

まだ、ポップ音楽と言えば、アメリカとUKの音楽シーンが最上で最新、非英語圏のシンガーが注目されるような環境ではなかったが、Matt Bianco路線のお洒落音楽を突き進め、エキゾチックな風貌で、ポーランドなまりの巻き舌で歌う彼女は支持を得た。

初期3部作最後の作品となる“The Sweetest Illusion”からの3枚目のシングルが本作“Third Time Lucky”。軽くてお洒落な音楽が狂騒の世紀末ぽくっていいな。

口笛で始まる「Third Time Lucky (Radio Edit) 」はボサノヴァ調の軽やかな曲だが、そこはかとなく漂う退廃感があの頃らしい。Bメロのオブリでも口笛が使われていて、印象的。多い転調がスパイスとなっていて、途中にリズムだけになるブリッジがあったり、ラストだけに入ってくるブラスと最後はユニゾン気味に歌ったりとアレンジのシカケも多い。ものすごく派手な曲ではないのだが、一つ一つのピースがきちんとハマったジグソーパズルのように、全てのパーツが抜かりなく仕事をしている事がわかる精密さがある。

その編曲の良さを、構築された音世界をより感じられる「Third Time Lucky (Instrumental) 」を挟んで、最後はシングルとしては前作、1994年のチャート1位にもなった「Drunk on Love」

の「Extended Dance Mix」。イントロがぐっと伸ばされているが、ヴォーカルが入ってしばらくは、バックはリズムだけになる。途中まで、あの印象的なベースラインがあまり出て来ないので、ちょつと印象が違うが、2コーラス目のサビでようやくピアノが入って印象が変わらなくなる。

彼女は本作のあと一時活動を停止し、その後、一時消息がわからなかったが、15年後の2009年にアルバム“It's That Girl Again”で復帰、さらに約10年開けて5thアルバム“Butterflies”をリリースした。

年齢を感じさせないその美声は、今でも健在。エキゾチックな世界に誘ってくれる歌声です。

ヒットアルバム“The Sweetest Illusion”からの最後のシングルカット

【収録曲】

1. Third Time Lucky (Radio Edit)
2. Third Time Lucky (Instrumental)
3. Drunk on Love (Extended Dance Mix)

「Third Time Lucky」