所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。俳優や声優、画家など歌に関するアーティスト以外にも、他の自己表現を探るため、歌の表現にトライする場合があります。その結果、深くその世界に入っていく人もいますが、一時期の挑戦でその活動をやめる人も少なくありません。しかし、そこは表現者、自分の世界を表す作品を残す人もいます。子役から女優への脱皮時期に、透明感がある声音で自分を表現する作品を残したアーティストとその作品をご紹介します。
星野真里。女優。ドラマ「3年B組金八先生」の、武田鉄矢演じる金八先生の長女乙女役を途中から引き継ぎ、シリーズ最後まで担当したあたりで識られ始め、聾啞者の少女を演じた2001年の「新・星の金貨」でブレイク、2005年の映画「さよならみどりちゃん」では映画祭の主演女優賞を得ており、その後もコンスタントにドラマや映画に出演し続けていて、すっかり中堅女優として定着している。
一方、売り出し時期だった2001~2002年のころには歌もリリースしており、足かけ2年で4枚のシングルを出している。
その3枚目のシングルが“丘の上の物語”。リリースした4枚のシングルは全て曲の提供者が異なるが、真里の透明感ある声を活かした造りになっており、デビュー作を除いて作詞は脚本家・作詞家の坂元裕二で統一されており、各曲の印象は比較的近い。
表題曲の「丘の上の物語」。曲は稲垣潤一や中山美穂にも曲を提供した谷脇仁美。淡々としたバックに乗せて、少し震える真里の声が届く。Aメロは切々と歌う叙情的な感じだが、サビで伸びやかな印象が変わる曲。真里の声は腹の底からパワーを乗せて歌う...というよりは透明度が高いピュアな感じ。♪一番後ろの席で/影に隠れてキスした/君の小さな肩越し/季節が流れていた/愛が溢れていた...♪と歌う真里の声の透明感が好ましい。
カップリングの「蒼い季節の中で」は、よりフォークチックなミディアムスローな曲。サウンドステージ的にも、ヴォーカルの音響加工的にも、よりフワフワとした音造りとなっていて、浮遊感がある。曲は20世紀末に活動した元アイドル⇒シンガーソングライターと転身した山口由子。真里の声はこちらも透明感があるが、少々残響などが深くて引っ込んだ感じになってしまっている。あまり抑揚やヴィヴラートなどはなく、よく言えばクラシカルな、悪く言えば一本調子の歌い方だが、曲調には合っている。♪愛よ急いで/君へと届け/未来/見つかる前に/丘の向こうで/君が手を振る/そんな夢を見ていた/いつか・・・♪
いずれの曲も、透明感が高い真里の声が響く作品。
ただ、「上手い!」という方向性ではなく、「綺麗」「美しい」という方向性で、「歌を語る」というより「歌で語る」という感じのバランス。そういう意味では、立ち位置がしっかりした現在は、必ずしも歌う必要はないのかな。
透明感がある声が、その人となりを表しているような作品でした。
【収録曲】
1. 丘の上の物語
2. 蒼い季節の中で
3. 丘の上の物語 (BACKING TRACK)
4. 蒼い季節の中で (BACKING TRACK)
歌い方は「上手い」というより「綺麗」
独特の特徴ある声音は、他にあまりない
-
購入金額
1,260円
-
購入日
2002年頃
-
購入場所
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。