本の蟲。
実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。
「ちびっこ賢者、Lv.1から異世界でがんばります!」は、彩戸ゆめによるライトファンタジー。もとは「小説家になろう」で連載されていた作品。なろうの方は展開が少々異なるが、中断状態(その後カクヨムで書籍版に沿った形のものが途中まで公開されている)。書籍化の方は2018年秋から5巻を刊行して、先日(2020年5月)完結した。
題名通り、「ちびっこ賢者」が「異世界」で、「Lv.(レベル)1から」「がんばる」物語。
大学生の九条悠里は、長年プレイしているフルダイブ型VRゲーム「エリュシアオンライン」で、二つの職業=魔法使いと神官のレベルがMAX(Lv.99)となり、「上級職」たる「賢者」になる「転職クエスト」を果たそうとしていた。
ナビゲーション音声である『エリー』は告げる。
『おめでとうございます。あなたは賢者に転職しました。LV.1から始めることになりますが、よろしいですか?』
「はい」
『これから真のエリュシアに行きますがよろしいですか?』
「はい」
....「真の」エリュシア??
悠里が気が付いたのは、自分が妙にリアルな草むらの中で寝ていたこと。
転職クエストの続きかと思って歩を進めた悠里だが、今まで進めてきたゲームと違い、エリーが答えなくなったり、ギルドチャットやマップ閲覧が出来なくなったりしているのを不審に思う。そのうちNPCらしき騎乗の男性に出逢う。その男性に連れられて砦に戻ると、女性騎士らに囲まれる。質問を受けながら、悠里は思う。
・・・・・・これって・・・・・・ゲーム、だよね・・・・・・?
・・・・・・ゲームの中にしては、できすぎじゃないかな・・・・・・。
もしかして夢の世界なのかな・・・・・・?
だけど夢にしては現実(リアル)過ぎる。
そう考えると、なんだかめまいかしてきた。
...と倒れてしまった悠里。目覚めると、やはり識らない場所。そして、悠里は自分の姿が、ゲーム内で操っていたアバターと同じく、8歳のちびっこになってしまっているのを発見する。
ゲームのナビゲーションなどが使えないことなどから、エリュシアそっくりの異世界に飛ばされたのだと悟る悠里。でも、ナビレーションは呼べないし、ログアウトなども出来ないものの、ステータス確認のウインドウやアイテムをしまうボックスは使えるなど、ゲームとのつながりを匂わせるものもある。現実の日本に帰るには、賢者の転職クエストを受けた魔の森の奥にある賢者の塔に何かのヒントがあるかもと、思いつく。
NPC...と思っていた騎士は、イゼル砦を預かる辺境騎士団の団長レオンと、その腹心の部下アルゴ。出迎えた女性も、手練れの騎士でアマンダというらしい。
帰るところもないので、イゼル砦でユーリ・クジョウとして客人となる悠里。
魔の森の中央にある「賢者の塔」に行きたいというと、レオンたちはそれはムリだという。魔の森は魔物が跋扈する恐ろしい森で、そしてその中央にそびえ立つのは塔ではなくて霊峰メテオラだというのだ。
取りあえず出来ることをやるということで、自分の賢者としての能力を探るユーリ。脳筋神官のフランクに協力してもらい、ヒール飛ばし(体力回復の魔法を触れてない相手にかける)やプロテクト・シールドなどこの世界にない魔法を確認していった。
そのとき、魔物が大挙して押しかける「魔の氾濫」の前兆が起きる。自分たちを逃がすため、単身魔物の前に立ち塞がったアルゴを扶けるために、賢者にのみ許された範囲魔法、エリア・プロテクト・シールドを使ったり、倒れたアルゴにヒール飛ばしを連発したりするなど、魔の撃退に協力し、みんなから信頼を得ていく...
その後、魔物のダークパンサーの変異種(群れのリーダーとなる)の子供に、飲料水にかけていた解毒の魔法キュアがあたってしまって「浄化された」にゃんこ....みたいな豹王ことノアールが一緒になったり、スライムのプルンがお供になったりしつつ、増えた仲間と魔の森の奥を目指すユーリ。
その旅の中で、障害を越えていくうちに、ユーリを自分の実家の養女に迎えた(つまりユーリの義兄となった)アルゴには青竜王リヴァイアサンの水の加護が、フランクには玄天上帝・玄武の土の加護が、アマンダには朱雀の火の加護が与えられた。
目指す塔は目前!残す四神獣は白虎のみだが....
という感じに、話が進んでいくファンタジー。
最後にはユーリとエリュシアの関係性なども語られる種明かしもあって、結構「読ませる」ストーリー。
ただ、一番のキモは、チートな能力は持つもののちっちゃい子が懸命に頑張るのを、そしてそのまわりで戯れるにゃんこ(豹王であるダークパンサーだけど)やスライム、強面のフランクに懐いている角があるピンクのウサギ(ホーンラビットの変異種だけど)などカワイイものたちを愛でる作品。
ある意味、勧善懲悪で、正義...というか、ちびっこは勝つ!!という感じの水戸黄門的予定調和な物語なので、そういう王道パターン物語を王道として読める人には楽しめる作品。
逆に異世界から来た子供が騎士団長に拾われ、すぐに信頼を獲得するとか、まわり中いい人だらけなんてあり得ない...など過度にリアリティさを求める人にはノれないかも。
癒やし効果は抜群なので、ぜひちびっこの冒険を楽しんでもらいたいとはおもうのだけれど。
あと、バ美肉VTuberで両声類としても有名なノートママこと竹花ノート画伯の挿絵もイイですねw
竹花ノート先生(つか、ノートママ?)の美麗イラストも良きかな
ユーリちゃんの頑張りに....
...オジサンは癒やされるわけです、はい。
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購入金額
6,638円
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購入日
2018年頃
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購入場所
いろいろ
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