木工系工作の素材として使用。

立体の造形をしたかったのだが、その素材を何にしようかと。

熱をかける工程があるので、施工しやすい発泡スチロールはNG。

同じく加工しやすいバルサ材は強度的な不安が。

他の天然木材は、材料のバラツキがあるので、買ってみないと加工しやすさがわからないし、木目に沿って割れたりするので、近くに画材店がなくて現物を直接確認できないとバクチ要素が強い。

そこで「ケミカルウッド」を使うことにした。

ケミカルウッドとは、ABS樹脂やポリウレタン樹脂を接着剤で一様に固めたもの。

いわば木材の「成型肉」のようなものだが、肉の方は添加物が多くなり、食感も落ちるなど良いことはほとんどないのに対して、ケミカルウッドは硬さ・重さなどの偏りがなく一様に出来たり、使う樹脂や接着剤の調整で硬さや比重などを自在に変えることができることなどから、彫刻、特に成形のマスター作成では、むしろ天然木より良い面も多いらしい（もちろん木目の「味」を活かした作品があることは、それはそれで否定しない）。

ただケミカルウッドはまだ一般的ではなく、多くは業者やプロ/セミプロ級の方々が使うもののようで、大きさがメートルクラスの大きなものが多くて単価が高いのが多いのが、「チョイ使い」しづらいところ。

そこでケミカルウッドの端材などを多く扱うショップ（ケミカルウッド壱番店/Amazon店）の取り扱い品の中から選択。

モノは、RAMPF Group Japan 株式会社のRAKU TOOL WB-0801。

RAMPFのケミカルウッド、RAKU TOOLシリーズの中では、最も硬い素材。

25mm厚のものは、定尺幅1500mm×奥行500mmだが、小さくて扱いやすい大きさにしてある

今回、「硬い」のが欲しかったわけではなく、耐熱性のが欲しかったので熱変形温度が高いものを選択したわけ。

【熱変形温度比較】

・RAKU-TOOL WB-0801：85-90℃

・RAKU-TOOL MB-0720：75-80℃

・RAKU-TOOL MB-0600：70-75℃

・RAKU-TOOL SB-0470：60-70℃

・RAKU-TOOL SB-0240：55-65℃

使用用途からして、70℃以下だと心配。85℃なら大丈夫だろう！！大は小？を兼ねる！とWB-0801にしたのだが、結果から言うとこれは失敗。かなり苦労した。WB-0801は基本ルーターなど切削器具を使う工作に使用する硬質素材。手のみを用いた造形には硬すぎるのだ。

【硬度（ショアーD）比較】

・RAKU-TOOL WB-0801：65-70

・RAKU-TOOL MB-0720：60-65

・RAKU-TOOL MB-0600：50-55

※SB-0470とSB-0240はもっと柔らかいはずだが、公開データなし

よくよく調べると、硬度60付近が手彫りの上限のようで、ノコ

は、ひん曲がりそうになるし、彫刻刀

でも「彫る」というより「削る」という感じで、なかなか加工が進まなかった。

100均ノコだけでここまで加工するのに、ほぼ1週間（帰宅後作業＋週末）

大まかな形を作るまでに帰宅後作業でさらに5日ほど．．．

週末で大分仕上げて．．．

「彫り」を深くするなど微調整してオシマイ

1週間ほどで出来るかなーと思っていたのが3週間近くかかった。

そして副産物として、筋肉痛ががががが．．

ただ熱には強いハズなので、その部分では安心ではあるが....

【RAKU-TOOL WB-0801仕様】

色調：灰色
密度：ca. 0.80 g/cm3
表面硬度（ショアーD）：65～70
熱線膨張係数：45～50 10^-6K^-1
熱変形温度（HDT）：85～90 ℃
圧縮強度：40～45 MPa
曲げ強度：35～40 MPa