所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。声優アーティスト。声のプロである声優は、詞の世界の表現が上手く、シンガーとして、表現者としても優れていることがあります。ソロとユニットとでは全く異なる世界を魅せる声優アーティストの作品をご紹介します。

南條愛乃。ナンジョルノ、もしくはジョルノ、あるいは、なんちゃんの愛称で呼ばれる女性声優。声優はその関わる作品の世界観の表現として、キャラクターソングを歌うのが最近通例？になっているが、音楽をスートリーの中核としたアニメ＝ラブライブ！の絢瀬絵里役として劇中ユニットμ'sに参加しライヴ活動を行ったり、アニメには関係ない歌をリリースするアーティスト活動、他にもfripSideの2代目ヴォーカリストとして活動したりしていることから、かなり歌の比重が高い声優といえる。

fripSideでは、デジタルでビートの強い曲を歌い、ライヴにおいては「フォイ！フォイ！」と特徴的なかけ声で会場を煽り、盛り上げるジョルノも、ソロの時は全く違う世界を魅せる。

もちろんfripSide同様、アップテンポでダンサブルな曲もあるのだが、どちらかと言えば、叙情的なミディアムテンポ～バラード系の歌が多い。fripSideと違い、発声もやや鼻音が強調されているような声音が多い（さすが声優？曲によって結構表情が違うケド）。

そんな彼女の4枚目のシングルが本作“きみを探しに”。TVアニメ「グリザイアの楽園」の後半、「ブランエールの種」編のエンディングテーマの表題曲「きみを探しに」は、サビ前の曲でワンフレーズ先に歌ったあと、ゴージャスなストリングスの導入に続き、のびやかなジョルノの声が歌う。♪大切な想い出を／失いたくはない／勇気を胸に／取り戻す／振り返ることはせず／君を探しに行くんだ／この気持ち届かなくても／愛してる♪この「愛してる」の部分がなんとも切なく、しかし力強い。実はこの曲は先にライヴ盤を聴いている（観ている）。fripSideがシークレットゲストで出演したアニソンの祭典“Animelo Summer Live 2015 -THE GATE-”2日目のディスク

を持っているのだが、ジョルノは中盤にソロとしても登壇し、この「きみを探しに」一曲を披露した。そこだけライトが当たったセンターステージの張り出しで、青い照明が降り注ぎ、一面の蒼のペンライトが揺れるのを前に白のロングスカートを纏ったジョルノが生バンドをバックに歌った、その時の印象が非常に強く、ライヴの感情込めた歌い方が記憶から増強しているのかも知れないが。

2曲目の「そらほしひとつ」は、時計のカチカチという音がリズムに取り込まれた、ミディアムテンポの曲。こちらはジョルノ自身が詞を書き、曲はfripSideの八木沼悟志の次に彼女と組んで曲を創ることが多い戸田章世が提供。ちょっと懐かしい感じのアイドル曲という感じが、切ない歌詞と合っている。♪笑顔が似合う君のこと／思い出にしたくなくて／何度も抗っては／現実を拒んでる／巻き戻らない時を／密やかに認めながら／ふたりが過ごした過去の中／ただひとり生きる♪

DVDはMVとそのメイキング、SPOT。SPOTは、fripSideのだとメンバーの二人以外をメインアクターとして起用し、コミカルな形で編集するヴァージョンを造るのが最近の定番？だが、ソロのこの曲はそういうおふざけはなく、走る女子高生と、スタジオで風に吹かれながら歌うジョルノのカットが交互に挟まれるシンプルなMVを使ったもの。見応え的には色々生の声が聴けるメイキングの方があるかも。

白い薄布の前で風に吹かれながら歌うジョルノ中心の比較的地味なMV

「グリザイアシリーズ」では他にもエンディングを手がけている彼女。どちらかと言えば、高域の張った声はfripSide系のハードな曲にも対応できるが、地声に近い音域の甘い声は激しい曲よりもミディアムテンポの曲に合っている気がする。

そんな彼女の甘い声が堪能できるシングルです。

周防天音のトレーディングカードいり

【収録内容】
＜CD＞
1. きみを探しに（TVアニメ グリザイアの楽園「ブランエールの種」編エンディングテーマ）
2. そらほしひとつ
3. きみを探しに <instrumental>
4. そらほしひとつ <instrumental>
＜DVD＞
1. 「きみを探しに」MV
2. Making of「きみを探しに」Music Video
3. SPOT
初回限定盤封入特典：ChaosTCG PRカード

「きみを探しに」