レビューメディア「ジグソー」

(仮想マシン、使えると思ったのに・・・)NASのアプリって、けっこう大事だなぁ。

6台のHDDを設置可能なNAS(Network Attached Storage=ナス)です。

製品にはHDDを含まず、ユーザーが任意のHDDを準備して設置するタイプなので、「LAN接続型HDDケース」と分類されたりもします。

 

 

 

 

QNAP TS-659 Pro II の同等品です。

QNAPのラベルやロゴマークが外から見えるところにはないものの、外形が同一であり、内部にはQNAPの品質管理ラベルがあり、管理用のWeb画面にQNAPのロゴが出現するし、Linuxのコマンドから取得できるCPUやメモリの情報からすると、この型番で間違いなさそうです。
(この個体は、QNAP製品を販社・アレクソンがデータ復旧などのサービスと抱合せてNetShelter(現CloudShelter)として別の型番をつけて販売したQNAP製品だと思われます。)

 

2011年4月の発売です。

当初の実売価格は、当時の記事によるとこのシリーズの4台タイプが10万円弱とあるので、それよりは高かったと思われます。価格帯からして個人向けではなく、ユーザー数が数名~数十名くらいまでの企業やその部署で導入されたのではないでしょうか。

 

発売から相当期間が経過した現在、償却期間が終了して放出されたであろう機体をよく見かけます。故障などがなければ機能的には現在でも十分通用するはずなので、そのような機材をよく整備して役に立てようという企てです。

 


 

 

現状のチェックと問題箇所の特定

入手した当初、電源が入りませんでした。

メイン基板の不良、スイッチの接触不良、電源部の不良、などの可能性があります。

 

電源にはFlex-ATX規格のユニットが組み込まれています。

電源ユニットのメーカー・型番は、DELTA DPS-250AB-44D です。

マザーボードへ供給する24ピンは、規格どおりですが、ペリフェラルへのコネクタはNASらしく20ピン一括となっていて特殊な仕様です。

 

 

 

コネクタを外して、24ピンコネクタの16番をGNDに落としても(どれかのGNDとショートさせる)電源ユニットが起動しません。電源ユニットのフタを開けて目視すると破損したICが見つかったので、電源不良が一因と判明しました。

 

 

ICだけを交換しようかと考えて取寄せ中ですが、今回は電源をユニットごと交換することにします。
ICがいつ届くかわからないし、ICだけを交換して電源の故障が解消する確約がないからです。
ただ、HDDのアレイ基板へ電源を供給するコネクタが特殊なため、ケーブル加工が必要になります。

 

一方、本体側に別の健全なATX電源を接続したところ、メイン基板の起動ができました。

HDDを接続してのテストはペリフェラル用の電源が確保できないためできないので、HDDアレイの機構(HDDがまとまって挿さる基板)に問題が隠れている可能性はまだ否定できません。そのテストは、新しい電源を入手してケーブルを加工したあと行います。

 

HDDがなくてもできるチェックとして、背面のVGAコネクタにディスプレイ、USBにキーボード、LANケーブルを接続してLinux機としての機能を確認することができます。

CPU、メモリの確認、DHCPでIPアドレスを取得していることの確認ができました。

 

 

CPUは Atom D525 1.80GHz、メモリは1GBです。

 

BIOSにも入れるはずなのですが、キー押下のタイミングが悪いためか、うまくいきません。

 

LANに接続して、別のPCでブラウザから このNASのIPアドレスを開くと、なにか操作できそうな画面が開きます。(HDDアレイがつながっていないので、進まずに閉じておきます)

 

 

電源の交換

電源ユニットを入手しました。汎用的な Flex-ATX電源 です。おそらくQNAPの純正品も手配できるかと思いますが、恐ろしく高価なはずです。

 

メイン側の24ピンは規格どおりなので何もせず、ペリフェラル側のケーブルを加工します。

ケーブルの色はATXの規定で、赤:5V、黃:12V、黒:GND と決まっていますが、NASの基板のパターンを追って一応チェックしておきます。

GNDは、厳密には12V用と5V用で分けるようですが、実際のGNDのラインは電源側もNASの基板側もそれぞれ内部でつながっていて区別はなさそうなので、一括に結線します。

 

ケーブル結線に誤りがないかよく確認して、本体に接続、設置しました。

 

 

ケーブルが長すぎるような気もしますが、専用品ではないのでやむなしです。

無事、起動してHDDも認識しました。 

 

1番ベイに適当なHDDを入れて電源をONして、LCDパネルに表示される指示に沿って操作するとフォーマットとマウントが完了したようです。

そして、別のPCのプラウザからデバイス名のあとに「/(スラッシュ)」をつけて開くと、TurboNASのWeb経由の管理I/Fの初期画面が現れました。

 

 

 

マウントされたHDDは正確に認識されていて、「単一ディスク」として扱われています。 

 

 

ネットワークも正常です。

 

 

すでにファイル共有も可能な状態になっていて、LAN上の他のPCからアクセス可能です。

 

インストールされていたファームは、3.6.1でした。このNAS(TS-659ProII)には最新で4.2.x が対応しています。ファームは必ずしも新しいほどよいわけではないという気もしますが、もし動作が不安定になったとしても機能的に最新のセットを使ってみたいのとスマホ連携するときに不具合があっても困るので最新にアップすることにします(スマホアプリは最新版しかインストールできない)。

ちなみに、TS-659ProII に対するファームのアップは2017年にこのバージョン4.2.xで終息しているようです。さらに新しいバージョンもリリースされていますが、対応リストにこのNASはありません。

とはいえ、現在(2018年12月)、4.2.6 までマイナーバージョンが進んでいて最新ビルドが 20181026 なので、おおかた8年前の機種でありながら現役機として扱われているとわかりで安心できます。

比較的新しい機種と同じアプリケーションがこの古い機種で同様に動作するのかどうかという不安はあります。

 

 

 

 

ファームの更新

ファームと言っても、ROMに書き込むバイナリではなく、TurboNASというLinuxベースのOSです。

TurboNASのシステムはメイン基板上のフラッシュメモリに格納されています。

 

更新は、「ライブ更新」というweb管理画面から直接行う簡単な方法もあるのですが、なぜか機能せず、ファイルをQNAPのダウンロードセンターからダウンロードして更新操作を行う必要がありました。

  • QTS  4.2.6 build 20181026 を選択して別PCでダウンロード
  • ダウンロードできた.zipファイルから、.imgファイルを解凍
  • Web管理画面からファーム更新を行う
  • 10分ほどで再起動し、Web画面も再読込することなく新しいログイン画面に移行した

 

 

 

 

HDDの取り付けネジがちょっと特殊

一般に3.5インチHDDの取り付けネジは、#6-32山 5mm というサイズですが、このNASの場合、同じサイズでも頭の形状が皿ネジタイプに限られます。
よくある頭が平たいネジやナベネジだと、HDDをマウンターにネジ止めしてベイに挿入すると他のHDDや枠と干渉します。

本体を新品で入手すればネジも付属しているのでしょうが、今回は手元にもないので別途調達します。

 

鍵はなくても大丈夫

ドライブごとに鍵がかかるようになっていますが、マウンターのレバーを押し込んで閉じると解錠状態でも筐体とはラッチで固定されるので、NASの機能には問題がありません。鍵は誤ってまたは悪意をもってHDDを抜かれないようにするためだけのもので、鍵の開閉をNAS本体が認識しているわけではありません。

今回は中古品を入手したので鍵は付属しませんでした。

 

 

上カバーがアルミ製

表面がヘアライン加工・グレーのクリアで塗装されているので、高級感があります。

ただ、スチールよりも柔らかいので、傷が付いたり凹みやすいです。

 

 

液晶ディスプレイの存在

起動時のステータスの表示や、ディスプレイ横のボタンと併せて簡単な操作も可能なのは、常時使うものではないけれど意外と便利です。バックライト付きですが、一定時間経つと消灯する仕組みです。

また、ステータス表示などのLEDの光り方が控えめで、本体のデザインともマッチしていてセンスがよいな、と感じます。

 

 

SMART情報が「注意」のHDDをマウントするとどうなるか

そのベイのアクセスランプが赤く光り、QTSのデバイス情報でも「警告」扱いとなりマウントすることはできませんでした。 

その影響なのか、NASの動作が全体的に不安定になり、QTSの接続ができなくなることもありました。

 

 

HDDの着脱がキツキツ

コンパクトな設計にするためにか、HDDの外形規格ギリギリに作られていて、着脱時にスムーズではない場合があります。

上記のネジのこともそうですが、せっかくなのでもう少しだけ、筐体が数ミリ大きくなったとしても余裕のある設計にしてほしかったです。

 

 

組込み用のUbuntuらしい

Windowsのコンソールプログラム(Tera Tarm)から SSH接続ができました。

 

 

たとえば、Linuxのカーネルやディストリビューション、リリースがわかります。Ubuntu の何かを利用しているようです。

他に ls や dfコマンドは使えますが、apt-get などは使えません。おそらく何か別の手順が必要です。(別のコマンドセットなのかもしれません。)

 

 

 


 

 

QTS Turbo NAS

QTS とは、 Turbo NAS OSの web経由のGUI(ブラウザからNASを操作するしくみ)です。

 

 

さまざまな機能を含みます。

以下、QTS のクイックスタートより

 

パーソナルマルチメディアワールド

⇨ Photo Station

⇨ Music Station

⇨ Video Station

⇨ Download Station

 

複数のデバイスにマルチメディアをストリーム配信する

⇨ Media Streaming add-on (ホームネットワークのみ?)

 

ホームシアターを構築しHDムービー

⇨ DLNAメディアサーバー

 

パーソナルクラウドスペース

⇨ myQNAPcloud(インターネットから QNAPのNASにアクセス)

 

ファイル同期

⇨ Qsync Central Station 2.0

 

サービスのカスタマイズ

⇨ App Center

 

QTS以外の管理ツール

⇨ PCユーティリティ

⇨ モバイルアプリ

 

これらの機能は、ごく基本的な機能という位置づけなのでしょう。

他にも、App Center にはピンポイントな需要に対応したと思われる機能すら含み多数のアプリケーションあります。これらは、必要に応じてインストールして運用します。

 

 

 

行いたいことがいくつかあったので、試してみました。

 

 

スマホの写真、動画を自動的にこのNASにアップロードしたい

外出先でWi-Fiがないところからでも

どんなことができるか、作業前にざっと読んでおきます。

「myQNAPcloud の特徴について詳しく知る」

https://support.myqnapcloud.com/features?lang=ja

 

 

【インターネット経由でこのNASにアクセスできるようにする手順】 

  1. QTSのから myQNAPcloud を起動




  2. QNAPアカウントセンターで、myQNAPcloud ID(QID)、パスワード、プロフィール(不要では?)を登録 (説明上、QIDを「myid1234」とします)

  3. myQNAPcloud にサインイン
  4. デバイス名の登録
  5. NASとルータに対する ウイザードの実行(自動ルータ構成、DDNS、公開サービス、CloudLink)

ここまでで、インターネット越しに 別機のブラウザで QTS を開くことができる。

http://myid1234.mygnapcloud.com

または

http://qlink.to/myid1234

(URLはダミーです)

 

とりあえず、初期ユーザーの admin としてログインできる。

 

myQNAPcloud の画面では、web接続 に赤の[x]、SSL証明書はインストールされていないとのことで黃の[!] となっているが、QTSまでは接続は可能。

 

 

 

【Android端末からこのNASに対してインターネット経由で自動アップロードする手順】 

 

  1. Android機なので、Google Play から 「Qfile」をダウンロード、起動。
    ※ 外から(インターネット越し)の接続を試したいので、スマホのWi-Fi機能 はOFFにする。
  2. Qfile アプリから myQNAPcloud ID(QID)、パスワード でログインする
  3. デバイス名を登録したNASがリストに現れる



  4. NASにログイン(とりあえず、初期ユーザーの admin として)
  5. NASのフォルダ一覧があらわれる
  6. 転送したいフォルダと転送先のフォルダを設定
    ① ギャラリーに写真などを保管している場合:
    左上のハンバーガーアイコン(メニューアイコン)から、設定を選択、[自動アップロード]のNAS[設定]、ギャラリーからの・・・のNAS[今設定する]から[すべての写真や動画]、[OK]、転送先フォルダの設定を行う。


    ② 任意の場所のファイルを転送する場合:
    ①と同様に進み、本体やSDカードの任意のフォルダを選択。
  7. 転送先フォルダは、デフォルトでQsyincフォルダになっていますが、撮ったままをNASにアップロードして保管したいだけで、同期は必要ないので、通常のフォルダ(home)にしておきます。(Qsync の同期機能で意図しないファイルの損失を恐れています)
  8. Wi-Fi接続のときのみ転送するかとか、バックグランドで転送するかどうかなど 選択します。

 [自動アップロード]欄の [有効]がONになっていると、すぐに転送が始まります。

 

QTS の File Station を開くか更新して確認するとファイルが転送されているのが確認できます。 

 

転送が完了したあと、スマホで写真や動画を撮ると環境によりますが1分から数分でNASに保存され、転送先のフォルダがメディアフォルダに設定してあれば Photo Station で確認できます。

これは、写真を撮るだけで操作なしに転送(バックアップ)されるので、大変便利です。

 

 

NAS内のファイルをアルバムに構成して共有したい

アルバムを作成するには、そのファイルがメディア属性をつけたフォルダ(メディアフォルダ)にある必要があります。

メディア属性をつけたフォルダに含まれる画像と動画には、任意のタイミングまたは自動的にメディアライブインデックスと呼ばれるインデックスが付与とサムネイルの生成が行なわれ、Photo Stationで取り扱うことができるようになり、アルバムの構成対象となります。

 

任意のフォルダをメディアフォルダとして扱うには、QTS の[コントロールパネル]-[マルチメディア管理]から設定します。

Multidmedia フォルダはデフォルトでメディア属性が設定してありましたが、 homes フォルダは、自分で設定する必要がありました。

 

 

ちなみに、home フォルダは、メディアフォルダにできません。home フォルダの実体は homes フォルダ内にあるユーザーごとのフォルダで、そのダイナミックリンクが home フォルダです。なので、ログインするユーザーによって home フォルダの中身は変わます。

 

【転送されたファイルでアルバムを作る手順】

 

メディアフォルダに転送されたファイルには、サムネイルが作成され、Photo Station で一覧を確認することができます。
この処理は、設定で自動的に行うこともできるし、任意のタイミングで行うこともできます。

 

  1. 対象としたい写真・動画を右クリック、[アルバムに追加する]をクリック
  2. [アルバムに追加する]ダイアログで、追加するアルバムを選択、[保存]
    ※ ここで新規にアルバムを作成することもできます。

    アルバムができました。

 

 

 

共有したアルバムは、スマホでも閲覧できます。専用アプリではなく、ブラウザでOKです。

スマホのローカルなメモリの写真を見るほど軽快というわけにはいきませんが、共有する相手の環境を心配しなくてよいので便利です。

 

 

 

【アルバムを共有する手順】

  1. アルバムを右クリック、[共有]-[共有リンク]をクリック
  2. 有効期間などを設定して、[作成]

4種類のURLが生成されます。

上から3つのURLは、インターネット経由で開くことができます。
※ グローバルなタイプのURLは、同一LANからのローカルなアクセスではエラーとなります。(ルーターかQTSの設定で改善するかもしれませんが、当面必要ないので対処していません)



Photo Station の [共有センター]で、作成済みの共有を再共有できます。

 

 

 

 

デジカメのmicroSDの写真や動画をバックアップする

本体前面のUSB3.0ポートにメモリカードの変換アダプタを挿し、ポートのすぐ上の[ワンタッチボタン]を押すとメモリの内容(写真・動画のみ)がNAS内のフォルダにバックアップされるように設定します。

 

【ワンタッチボタンを押してUSBメモリ内のデータをNASにバックアップできるように設定する手順】

  1. バックアップしたいUSBメモリなど(今回はアダプタを介してSDカード)を前面のUSBポートに挿す
  2. バックアップマネージャ から[USBワンタッチコピー]を開く
  3. [USBワンタッチコピー](方法)、[USBドライブからNAS・・・](方法)、[コピー](方式)、コピー元と先のフォルダ名 などを設定し、[適用]

    方式で、[ディレクトリの追加]を選択するとバックアップ操作するたびに日付を名前にした新しいフォルダが作成されその配下にすべてのバックアップが作られる
    [コピー]を選択すると、2回以降のバックアップでは新しいデータだけが転送先フォルダにコピーされる

    転送元の設定では、どのメモリが挿されたかは判定していないので、もし、異なるメモリで同じフォルダ構成のメモリを[コピー]でバックアップすると複数のメモリのデータがNASでは同一のフォルダにコピーされることになるから注意する。

    よって、複数のメモリのバックアップを行う場合は、[ディレクトリの追加]を利用する。

 

【ワンタッチボタンを押してUSBメモリ内のデータをNASにバックアップする手順】

  1. バックアップしたいUSBメモリなど(今回はアダプタを介してSDカード)を前面のUSBポートに挿して、[USB]LED(青)が点滅から点灯になってから、[ワンタッチボタン]を2秒押す。

    [USB]LEDが点滅 ⇨ 転送中、同点灯 ⇨ 転送終了

  2. 転送が終了したら、[ワンタッチボタン]を6秒押す。

    USBメモリを外す

    File Stasion で転送(バックアップ)されたファイルが確認できる

 

USBメモリを挿したとき、QTSにダイアログがポップアップするが、そこから行う処理は、USBワンタッチコピーではないので閉じておく。

 

2番目の選択肢が、Backup Station となっているが、そこから開く処理は、バックアップマネージャーの [外部ドライブ]となっている。

 

 

タイムスタンプのこと(困り中)

USBメモリ(アダプタ経由のMicroSD)を[ワンタッチボタン]でNASにコピーした場合、タイムスタンプが9時間先の時刻で表示されます。メモリ内のファイルをWindows機で確認すると正しい時刻になっています。
また、この転送したファイルをWindows機へダウンロードしてみると正しい時刻になっています。
なので、ファイルのタイムスタンプは正しくて、NASの File Station の表示だけがへんな感じなのですが、NASの時刻設定は、GMT+9 としていてこれ以外に設定すべきところは思い当たりません。

設定が悪いのか、バグなのか今のところよくわかりません。

ちなみに、スマホから自動アップロードしたファイルでは、NAS内でも、それをダウンロードしても正しい時刻となっています。

 

 

 

マニュアルやヘルプがちょっと残念!

台湾製品でありながら、完全日本語対応といってよいほどです。中国製品にありがちな妙な言い回しとかへんなフォントで気持ち悪くなる心配はありません。ただ、一見正しい日本語でローカライズされていますが、操作を導く記述としては表現に正確性を欠いていて何度読んでも意味が不明な部分があります。正しい操作ができないかもしれず最悪の場合大切なデータが喪失してしまうかもしれません。

幸い、QTSで操作中に開いているウインドウを閉じたりすることなく、言語設定をすぐに変更できるので、英語版を読んでやっと理解に至ることが実際何度かありました。

おそらくは、機械訳ではなく人による訳だとは思いますが、翻訳者がNASのしくみをよく理解せず、かつ実機を操作せずに訳文を作成したのかもしれません。 

バージョンが進んでいるのに、校正にこうした不備が見られるのはちょっと意外でした。

 

表記にも注意を払ってほしいところがあります。たとえば、実際は「home」という名のフォルダが日本語表記上、「ホームフォルダ」または「ホームフォルダー」となっています。長音の棒の有無はともかく、フォルダ名は実物どおりに、かつフォルダ名であることが明確になるよう表記上の工夫をすべきでしょう。

 

  

 


2018/12/15~  追記(ここから)

 

 

iSCSIを使ってローカルPCにディスクを追加する

iSCSIとは、「IPネットワーク越しに接続したストレージを、ローカルドライブのように扱えるようにする技術」と説明されます(TECH.ASCII.jp の記事より)。ディスクスペースを提供する側を「iSCSIターゲット」と呼びます。iSCSIの接続先であり、今回はこのNAS内に設定します。

iSCSIターゲットを利用する側を「iSCSIイニシエーター」と呼びます。今回は、ディスクを追加したいローカルPC(Windows 10 Pro)です。

はじめての作業なので、いくつかの疑問がありますが、とにかく設定してみます。

  • ”IPネットワーク越し” が可能なら、インターネット越しでもできそうですが、できるのでしょうか? ---①
  • 複数のPCから 同じiSCSIターゲットに同時にイニシエートすると共有ディスクのように扱えそうですが、排他制御など どうなっているのでしょう?---②

○  iSCSIターゲット の設定

  1. QTS の [コントロールパネル]-[ストレージマネージャー]-[iSCSI]-[ポータル管理]で、[iSCSIターゲットサービスを有効にする]にチェックをON、[iSCSIサービスポート]はデフォルトの「3260」で、[適用]



  2. 同じ画面の[ターゲット管理]から[クイックコンフィギュレーションウィザード]を進める
  3. ウィザードで、ターゲット名、CHAP認証を使用することにしてパスワード、NAS内のどの領域を使用するか、その容量、配分の仕方 を設定する

     

  4. ターゲットリストで設定したターゲットのステータスが「準備完了」になっていることを確認する



○ iSCSIイニシエーター の設定(Windows 10 Pro)

  1. [コントロールパネル]-[管理ツール]-[iSCSI イニシエーター] を開き、[ターゲット]欄にこのNASの ローカルIPを入力して[クイック接続]([iSCSIイニシエーターのプロバティ]ウインドウ)



  2. [検出されたターゲット]リストに 直前の手順で設定したターゲットがあることを確認する。このときステータスは「非アクティブ」
  3. ターゲットを選択して[接続]
  4. [詳細設定]で開く別のウインドウで [CHAP ログオンを有効にする]をONにして、[名前][ターゲットシークレット]を入力する(上記①3.の ターゲット名 と パスワード のこと)



  5. [OK]で [iSCSIイニシエーターのプロバティ]ウインドウ に戻るので、[検出されたターゲット]リストでターゲットのステータスが「接続完了」になっていることを確認する


○ ディスクのフォーマット

  1. イニシエーターの設定の結果、新しいHDDをSATAやUSBに接続したのと同じ状況になっているので、[コントロールパネル]-[管理ツール]-[コンピューターの管理]-[ディスクの管理]を開くと「未割り当て」のディスクが確認できる



  2. パーティションスタイルをGPTとし、NTFSフォーマット、ドライブレターを設定してフォーマットすると、エクスプローラで新しいドライブが使用可能になっていることがわかる

 

iSCSI は、以前Hyper-V を体験したときにディスクをマウントするためにちょっと使用した程度で、Serverでない方のWindowsで使用できることは知りませんでした。Windows 7から実装されているようです。

さらに、Windowsには、異なる2つ以上のディスクを1つの連続したディスクとして扱う仕組み(記憶域プール)があります。iSCSIで確保した領域も対象にできるはずですが、OSが入っているPCのディスクとネットワークで接続しているディスクを組み合わせることは、その接続が切れたときに全データが喪失しそうでちょっと怖い気がします。

 

さて、この項の冒頭の疑問で、やってみてわかったことを書きます。

① インターネット越しに iSCSIイニシエートできるか?

イニシエータ側からターゲットを検索する際DDNSネーム(myQNAPcloudアプリ で取得したmyqnapcloud.com のサブドメインネーム)ではiSCSIターゲットを検索できなかったので、なにか別の方法か設定が必要なようです。後の課題です。

 

② 複数のクライアントPC(テストでは2台)から同一のiSCSIターゲットを同時にイニシエートした場合どうなるか?
イニシエートは実際に同時に重複してできてしまうし、両方のPCからファイルへアクセスできます。

たしかに、QTSのマニュアルには、「ターゲットとイニシエータは、1対1にしないとファイルが壊れるかもしれない」との記述があります。

実務現場ではおそらく、ユーザーがiSCSIターゲットへ直接接続するようなことはなく、管理者がディスクをiSCSIでサーバーにマウントしたうえで、ユーザーにはファイルごとに排他制御の有効なSMB共有プロトコルを介してディレクトリの共有をおこなうという運用を行っているのかと思います。

1対1で接続する運用である限りは安全で、確実に接続を切ったあと他のPCからイニシエートするという使い方なら問題ありません。あたかもUSBの外付けドライブを外して他のPCに挿して使うかのようです。
つまり、あるPCからイニシエートしてフォーマット、データを書き込みをしたあと、イニシエートを解除、他のPCからイニシエートした場合、フォーマットもデータも保持されている、ということです。

 

 

LAN内のWindows 10機からこのNASのiSCSIターゲットをイニシエートして作成したドライブのパフォーマンス。NASにHDDが1本しか入っていない(もちろん非RAID)状態です。

 

 

同じ状態のNASのSMB共有に同じクライアントからアクセスしたときです。

 

 

用途によっては使い分けたほうがよいのかもしれないけれど、パフォーマンスについてだけなら大きく違わないのかな、という感じです。たしかに同じ物理ドライブに対して同じファイルを飲み書きするテストなので、接続方式によってあまりにも違うと、なぜだ?ということになりますが。

 

余談ですが、Windows Update はディスク容量に余裕がないと完了できないことがあります。ドライブ内を整理するなどクリーンアップしても容量がたりない場合やファイルを整理することが難しい場合、何かドライブを追加しておくと、Update プログラムが勝手に空き容量のあるドライブを探してそこにキャッシュディレクトリを作るようです。公式ヘルプには、USBメモリやSDカードでよいとありましたが、今回、iSCSIでイニシエートしたドライブでもOKでした。

iSCSIドライブのおかげでキャッシュディレクトリは確保できるようになったので更新が止まることはなくなったものの、しばらくすると今度は、いくつめかの更新で肝心の Cドライブの空き容量が不足しました。結局、ファイルの整理・移動などの作業を行うしかない状況となってCドライブからiSCSIのドライブへ数GBのファイルを退避したのでした。

 


 

 

SSL証明書を導入してみる(タダで)

SSLとは、Secure Socket Layerの略で、送信データを暗号化して送るしくみのこと、SSL証明書は、「証明書の所有者の情報の表示」と「SSL暗号化通信の実現」を行います。

 

https://www.securestage.com/jp/information/ssl.php より

 

ざっくり表現すれば、これによりインターネット(web)経由のやり取りを安全に行う(盗聴や情報漏えい改ざんなどから守る)ためのしくみです。証明書を取得してこのサーバー側になるこのNASに設置して使用します。

もう少し具体的には、別機のブラウザからこのNASに接続するときに(特にインターネット越しに)、http://... ではくて、よりセキュアな https://... でアクセスできるようにするということです。

証明書には無料・有料がありますが、機能(セキュリティレベル)や有効期間など目的によって選択します。

最も簡単には、QNAP から証明書を購入してしまうことです(3年で44.99ドル + 2ヶ月無料)。

しかし、今回は、汎用的かつ無料な方法を試します。

なお、QTS4.3以降では、無料証明書の 「Let's Encrypt(レッツ エンクリプト=暗号化しよう)」の設定がQTSの画面で可能になっているようです。

 

 

【証明書を取得する手順 (https://sslnow.ml/ (SSLなう!) を利用)】

このサイトは、Let's Encrypt の証明書の取得する手順をWebでかつ日本語で完結させてくれます。

10分程度の作業で終わりました。

 

  1. https://sslnow.ml/ を開いて、画面の指示にしたがうだけです。
    詳しい手順を書いてくれている人がありました(感謝)。https://qiita.com/tappie/items/76881fdf7996c57a105a 
  2. ドメイン名の所有確認では、このNASのweb公開フォルダ直下に、指定のとおりのフォルダ名、ファイル名、内容でトークン(ファイル)を作成します。これを証明局のサーバが確認して(このNASのファイルを証明局が読みに来る)OKなら「サーバで使用する SSL 秘密鍵」、「cert.pem (サーバ証明書)」、「chain.pem (中間証明書)」が発行されます。
  3. 発行された秘密鍵、証明書、中間証明書を QTSの、[コントロールパネル]-[セキュリティ]-[証明書とプライベートキー]の [証明書]欄、[プライベートキー]欄、[中間証明書]欄にそれぞれコピーペーストします。[適用]。

    発行された鍵や証明書はファイルに保存しておいてもよいのですが、有効期間が3ヶ月で、取得の手間もかかららないので、コピペだけでよいことにします。

 

以上の手順で、実際にLAN外(インターネットごし)のPCからこのNASに https:// でアクセスしたところ、PCのプラウザでワーニングは出なくなり、プラウザのアドレス欄の左端に鍵が閉じたアイコンが出るようになりました。そのプラウザで証明書を確認すると、設定したとおり機能しているようです。

 

 

 

 

なお、これらを適用して実際に機能しているのに、QTS の [myQNAPcloud]では、SSL証明書が「インストールされていない」ステータスのままです(謎)。

 

 

 

ちなみに、以下の方法では マニュアルどおりに設定しても機能しませんでした。情報が古いか、説明が違っているのか、操作が誤っているのか、わかりません)
SSL 証明書を使用し、QNAP NAS 接続のセキュリティを強化する(QNAPオフィシャル)

 

【証明書を取得する手順 (www.selfsignedcertificate.com を利用)】(失敗1)

  1.  http://www.selfsignedcertificate.com/ で、このNASのホスト名(myid11234.myqnapcloud.com)を入力し、[Generate]
  2. .certファイルと.keyファイルをダウンロード
  3. QTSで、[コントロールパネル]-[セキュリティ]-[証明書とプライベートキー]の[証明書]欄、[プライベートキー]欄 にそれぞれ、.certファイルと.keyファイルをエディタで開いて内容をコピペ
  4. [適用](鍵と証明書データがNASにアップロードされる)
  5. [コントロールパネル]-[webサーバー]-[webサーバー] で https の設定を有効にする

 

 

ここまでマニュアルのとおりに設定しても、証明書が有効にできません。証明書が信頼されていないものなのか、NASの設定なのかバグなのか、謎です。

現状で、このNASに対してインターネット越しに https でアクセスすると、「この接続ではプライバシーが保護されません」的なエラーになります。セキュアでないことを覚悟すれば、http で開くことはできます。

 

 

 

(失敗2)

さらにもう一つ、openSSLを試したかったのですが、このNASに openSSL のクライアント(?・証明書の発行を受けるために必要)をインストールすることができず、また、Windows版のクライアント も ランタイムDLLがなぜか機能せず使えなかったので、断念しました。

https://slproweb.com/products/Win32OpenSSL.html

 

 


 

 

microSD のフォーマットで、exFAT が読めない (2018/12/27 追記)

このNASは、USBに挿すメディアのフォーマットがFAT32なら正常に読めますが、exFAT だと読めません。QTS4.3以上ならアドインを有料で購入して対応させる方法があるようですが、QTS4.2では、方法がありません。

しかたなく SDカードのフォーマットをFAT32にすることにしました。これによる弊害は、1つのファイルのサイズが4GBまでに制限されることくらいで、デジカメ(SONY NEX-F3)側はかなり長い動画でも取らない限り FAT32 でも問題なさそうです。(FAT32には2TBの壁もありますが、そんな大きさのSDカードはないので、ここでは問題になりません。)

exFAT は、FAT32 の拡張版で、32GBを超えるSDカードに適用されるようです。

公式的なフォーマッタ(SD Association の SDメモリカードフォーマッター)では、例えば64GBのSDカードに対しては、exFATしか選べません。
64GB のカードをFAT32にフォーマットするには、例えば バッファローの Disk Formatter Ver.2.08 のようなフォーマッタが必要になります。

 

デバイスやアプリが進化するのはうれしいことですが、フォーマットの種類が増えることで、なかには置いてけぼりになる機器もあるわけで、不便なために愚痴っぽくなるやら、寂しいやらです。

 

 


 

仮想マシン系のアプリが使えなかった(残念)(2018/12/29 追記)

QTS4.2のアプリを利用することで Docker や VM-Ware を使用することができるとQTS4.2の公式紹介ページにあって期待していたのですが、このNASには対応していませんでした。

QTSで Container Station や Virtualization Station のインストールアイコンが App Center にあり

ません。

 

https://www.qnap.com/qts/4.2/ja-jp/ より

 

調べると、対応機種リストにこのNASがありませんでした。

理由としては、Atom D525 が Intel-VT などの機能に対応していないので、そもそも、動作しないということが考えられます。

さすがに D525 では、並行する重すぎる処理はNASという本業に支障が出るかもしれないという判断もあったかもしれません。

発売された2011年頃は、そろそろ「仮想化」というワードがこの界隈で知られ始めた頃で、まさか単独のNAS機が仮想マシンの入れ物になることを期待して購入した人はいないと思われるし、考えてみれば、もし Atomで仮想化された何かが扱えたとしても実用的ではないはずです。

 

同じファームのバージョン(QTS4.2)でも新しい機種には対応しているようです。NASの型番でアプリの使える使えないを仕分けて対応しているのは、無用なエラーを起こさずNASを安全に使用させたいというQNAPの配慮がきめ細かく行き届いているとも言えます。

 

 

などなど考えていると、たしかに現行の新しい単独のNASは小型なものでも、サーバー機やPCと同等か少しスケールダウンしたくらいの性能を備えています。アプリはNASに特化したものだけでなく、汎用的なアプリケーションを含んで機能が統合化されているので、活用できる範囲が広がっているように見えます。上記の仮想化アプリなどはそういった機能のごく一部であって、NASのアプリの開発者は、あらゆることを想定しているようにみえます。

もはや、NASは、外付けHDDをだたLANに接続できるようにしただけの箱ではないのです。

 

家庭用では、もしかすると、部屋にPCではなく、NASが1台だけあって、IoTのコントロールだったり、映像/音楽/文書の保管や送出などを担い、NASのコントロールやデータの閲覧はスマホかタブレットで済ませるという使い方をしている場合もあるかもしれません。

 

業務分野では、NASが兼務できるタスクが増えるので、高性能統合型NASを導入することによって、マシン数の削減に成功している現場もあることでしょう。

 

 

そういうわけで、市販のNASが魅力的かどうかは、アプリの完成度とその使いやすさ、豊富さや統合性によるのだろうなと思います。ハードウエア的には画期的なディスクシステムが出現しない限り各社間で差が出せないですから。

 

 


 

 

 

このあと・・・ 

 

 

Webサーバーとしてイントラ、インターネットへ公開できるのか

Apache、MySQLは使えるらしい

 

 

HDDはタテ(1本の容量)にもヨコ(RAIDの構成本数)にもデータを保持したまま拡張できる(らしい)

 

QNAP NAS のデータを Dropboxなどのクラウドストレージにバックアップして二重化する 

 


 

 

 

カタログスペック

 

RAID Supported : Single Disk, JBOD, RAID 0/1/ 5/ 6/ 10, RAID 5/6 +Hot Spare, Global Hot Spare Drive

https://files.qnap.com/news/pressresource/datasheet/All_in_one_NAS_Business_Series.pdf より

 

 

[オークション写真]

 

 

落札価格:9,000円、送料 1,361円

電源:2,560円

ネジ:184円(12本)x2袋

  • 購入金額

    13,289円

  • 購入日

    2018年12月06日

  • 購入場所

    ヤフオク・bigtrade2014

28人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (8)

  • aPieceOfSomethingさん

    2018/12/12

    ちばとどさん こんにちは。

    とても詳しいレビューで参考になりました。
    QNAPのNASは古いモデルでもファームウェアが結構最近までアップデートされているんですね。
    すごいことだと思いました。
  • ちばとどさん

    2018/12/12

    aPieceOfSomething さん、

    QNAPは、ストレージにほぼ専業だけあるな、という感じがします。
    ハードウエアが基本性能をきちんとおさえた設計なので、新しいアプリを入れてもなんとかできているんだと思います。だから、公式に長い期間アップデート対象にできるんですね。
    そのアプリが地味だけどだいたいほしい機能は含まれていて意図したとおりに動くようにできているのも良いところだと思いますよ。
  • まこりんさん

    2018/12/13

    その後継のQNAPの869を使用しています。
    メモリはATOMの為、3GB位までしか認識しません。
    一応、2GB×2枚にしてデュアルチャンネル効果期待してますが・・・

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