タコシーさんのレビューを見て無性にほしくなりAmazonでこのキット(LCR-T4)を買ってしまいました。
一応の目的としては劣化したアルミ電解コンデンサのチェックができればいいなとか、そんなところです。
さらに基板実装状態のコンデンサでもそれなりの容量が測定できると嬉しいなと思っていました。
結果的には、測定方法や多機能であるが故の測定シーケンスなどの影響で、基板実装状態での容量測定はできませんでしたが、なかなか使えるキット(部品はすべてはんだ付けされているのでほぼ完成品に近いですが)だなと思いました。
■ 測定精度
LCR-T4には取説は付属していませんが、初回使用時にキャリブレーションをする必要があります。
詳しくはタコシーさんのレビューで..。
アルミ電解コンデンサだけなのですが、いちおうきちんとした測定器(KEYSIGHT 4980A)との測定結果の比較をしてみました。
測定したアルミ電解コンデンサは、とある故障した測定器(1998年製)から取り外したものです。
だいぶ古い測定器ですので、アルミ電解コンデンサが容量抜けをしていないか4980AでチェックするついでにLCR-T4でも測定してみたという感じです。
測定項目は、静電容量(μF)と、ESR:等価直列抵抗(Ω)です。
4980Aのほうは測定周波数、測定電圧およびDC BIASの設定が可能なので、アルミ電解コンデンサで一般的な測定条件の120Hz、AC500mV, BIAS:DC1Vに設定しました。LCR-T4は測定条件の変更はできないのでそのまま測定です。
なんだか4980AのESR測定結果が妙に抵抗値が高くて奇妙な感じです。
LCR-T4の測定結果は、静電容量は多少の差はあるもののほぼ合っています。容量抜けの測定には十分使えるのではないでしょうか?
定格16V,33μF ⇒ 36.98μF, 1.49kΩ(4980A)、41.49μF, 0.31Ω(LCR-T4)
定格50V,2.2μF ⇒ 2.21μF, 16.38kΩ(4980A)、2.3μF, 6.0Ω(LCR-T4)
定格16V,10μF ⇒ 10.24μF, 1.51kΩ(4980A)、11.53μF, 3.4Ω(LCR-T4)
定格6.3V,100μF ⇒ 96.74μF, 117.15Ω(4980A)、105μF, 5.2Ω(LCR-T4)
定格50V,2.2μF ⇒ 2.18μF, 18.61kΩ(4980A)、2.3μF, 5.8Ω(LCR-T4)
定格50V,4.7μF ⇒ 4.74μF, 10.28kΩ(4980A)、4.9μF, 3.1Ω(LCR-T4)
定格10V,33μF(無極性) ⇒ 34.00μF, 496Ω(4980A)、40.4μF, 1.2Ω(LCR-T4)
↑の写真は全然違うコンデンサの測定シーンです..。測定結果の数値と写真の測定結果とは何の関連もありません。
■ インサーキット測定
基板実装状態での測定(インサーキット測定)ができればいいなと思って試してみました。
測定対象は、10年ほど電源入れっぱなしで酷使された挙句壊れてしまったACアダプターです。
基板実装状態では..。なんとダイオードとして測定されてしまっています。
確かに基板上にはダイオードも実装されているので、測定シーケンス上ダイオードチェックが先に行われてしまったのだと思います。
そしてインサーキット測定にはさらに続きがありまして、今度はアルミ電解を外して測定してみました。
...。これはいったいなんでしょうか? 容量抜けを起こしているためか、部品として認識されなかったような感じです。
念のためにこのアルミ電解を4980Aで測定してみたところ、3μF程度でした。定格が680μFなので、だいぶ容量抜けしていたようです。
■ チープなケース
純正のケースキットは組み立てるのも大変そうなので、Seriaで適当なケースを買ってきて押し込みました。
基板の裏に適当な静電対策スポンジを貼り付けて、ケースに押し込みました。
動作確認用に買った006P電池もうまい具合に納まりました。(ゆくゆくはUSB電源にしたいですが)
■ 使ってみました(2018/02/27更新)
2009年頃に購入した玄人志向のVIPower製 USB2.0/eSATA HDDスタンドが動作しなくなってしまいました。HDDスタンドのLEDは点灯するのですが、HDDが動かない(文字通りモーターが回らない)状態です。
もういい加減古い製品なので捨てようかと思っているのですが、手元にLCR-T4もあるのでACアダプターのアルミ電解コンデンサーの容量を測定しました。
付属のACアダプターは、AC100-240Vで、無駄にワールド電圧対応しています。
出力は +12V 2Aと+5V 2Aのデュアル出力になっています。
内部は、よくあるACアダプターの部品配置で、中央部の黄色い部品が1次側の平滑用アルミ電解コンデンサ、やや上にある赤い部品はトランスです。トランスより上が2次側の回路で、トランスの下が1次側の回路になっています。
ACアダプターの出力を調べてみると、+12Vは2Aで+12V-5%(11.4V)を下回ってしまいます。
+5Vはもっとひどくて、定格出力電流の1/2の1A時点で5V-5%(4.5V)を下回ってしまっています。
とはいえ、曲がりなりにも出力が出ているので半導体が壊れているということはなく、アルミ電解コンデンサの容量抜けの可能性が高いだろうと思いました。
ということで、主なアルミ電解コンデンサの容量を測定してみました。
アルミ電解コンデンサの寿命は、メーカーのカタログなどでは初期値から-20%というものが多いのですが、今回は初期値がわからないので単純に定格容量の-20%を下回ったものを寿命と判断しました。
ということで、↑の表の一番上、1次側のアルミ電解コンデンサの容量抜けの可能性が高そうです。
ただし手元には400Vのコンデンサがないのと、素人がACアダプターを分解してコンデンサ交換というのも危険すぎるので、解析はここまでにしたいと思います。
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購入金額
1,200円
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購入日
2018年02月05日
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購入場所
Amazon
タコシーさん
2018/02/06
aPieceOfSomethingさん
2018/02/09
コメントありがとうございます。
久しぶりにレビューを書いたものの、今週は仕事も忙しくなかなか時間が取れませんでした。
40年前のコンデンサも容量抜けしていなかったんですか。それはすごいですね。
このテスターとオシロキットで、実家に置いてあるターンテーブルの回転が妙に早くなってしまったVictorのアナログプレーヤーと、トイレ(自動で蓋が開閉するはずが開きっぱなしになってしまった)の修理に挑戦してみたいと思っています。
トイレの方は2~3年前に同じ故障で修理してもらったのですが、その時1.5万ほど取られたのに数年でまた故障してしまったので、まず自力で修理してみようと思います。