夏の前日が最終話でした。
夏の前日 吉田基已
美しいキャッチフレーズ「それはたしかに恋だった」
モクモクと湧き上がる入道雲に、登場人物たちの込み上げる情熱がオーバーラップする。ゆっくりと始まった美大生の生活。就職活動を行わなければならない4年生の憂鬱な毎日は、いつも河原でひとり行う風景画。その美大生の誰も見ていない憂鬱な横顔に惚れた年上の画商の女性の物語は悲恋で終わる。
年上の画商に気に入られ、あっという間に結ばれた関係は、年下の美大生のわがままで終わってしまう。とても残念な終わり方であったが、勝手な男の美学ではあるものの、真っ直ぐで美しい。
偶然で唐突な出会いと順調に進んだはずの恋の色彩は、親友の恋人への関心で霞んでしまう。それ以上に許せないのは進まない筆と、年上の彼女に対する真剣な恋心だ。お互いが嫌いになったわけではなく、浮気をしたわけでもないのに、全てが許せなくなって終わってしまった恋の行方は、あまりにも清潔で、ずっと結ばれない片思いのようでした。
ドラマ化してほしい作品のトップはいつも夏の前日です。いつかしてほしいなと思います。
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購入金額
700円
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購入日
2014年06月07日
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購入場所
amazon
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